Android 特集・連載

【連載:スルッとわかる! 高速通信規格「LTE」-第1回-】

コレだけ押さえれば大丈夫! LTEの基礎知識

文●石野純也

2012年11月12日 18時00分

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 ここのところ、テレビや雑誌で目にしない日はない「LTE」というキーワード。理屈は分からなくても回線速度の速さを活用することはできるけれど、なぜ速いのかが分かればLTEがもっと面白くなってくる! ここでは、全4回にわたって、LTEに関する基礎知識から、ドコモ、au、ソフトバンクの各ネットワーク担当の方へのインタービューまで、LTEの今を徹底的に掘り下げてみる。


高速通信規格LTEのしくみを学んでみよう!


 冬商戦のキーワードとして、高速通信規格の「LTE」がにわかに注目集めている。LTEとはデータを送受信するための通信方式で、正式名称は「Long Term Evolution」。2012年10月時点での最高速度は、下り最大75Mbps、上り最大25Mbpsとなる。現在日本で主流の3Gに対して、3.9世代と呼ばれた通信の技術だが、特に米国ではマーケティング上の観点で端数を繰り上げして、4Gと称されるケースが多くなってきた。こうした現状を受け、国際連合の組織のひとつであるITUも、3.9世代に属するLTEを4Gと呼ぶことを許可している。

 LTEの特徴は高速、大容量、低遅延という3つの特徴がある。簡単に言えば、ダウンロードやアップロードの速度が速く通信できる端末の数も増えネットにアクセスした際のレスポンスもいいということだ。同時に使用している端末の数や基地局との距離などの影響も受けるため一概には比較できないが、LTE接続時の体感は3Gより大きく向上している。

LTEを採用するメリットとは

高速通信規格LTEの基礎知識


 では、なぜLTEにはこうした特徴があるのか。理由のひとつは、無線の「変調方式」を3Gから大きく変えているところにある。LTEは「64QAM」という通信の仕組みを採用しており、これによって同時に送受信できるデータの量を増やしている。図にすると以下のとおり。仕組みを単純に説明すると、信号と信号の距離を近くして情報の密度を上げているということになる。

LTEの特徴:「64QAM」変調方式を採用

コレだけ押さえれば大丈夫! LTEの基礎知識


 このように見ると高速化の仕組みはシンプルだが、一方で距離が短くなってしまうためお互いの干渉が増えてしまう。これを解決するのが「OFDMA」という技術だ。OFDMAは日本語で直行周波数分割多重方式と呼ばれ、周波数ごとにユーザーを分けて通信を行う仕組みだ。大雑把にまとめると、3Gが周波数や時間を共有していたのに対し、LTEでは周波数を細かく分けて、ユーザー同士がぶつからないように管理しているということになる。

LTEの特徴周波数を分割

高速通信規格LTEの基礎知識


 LTEでは無線を束ねる「MIMO」(マイモ)と呼ばれる技術を採用している。これは複数のアンテナで電波を受け、そのぶん通信を高速化する仕組みのこと。計算は単純で、基地局側、端末側でそれぞれ2つのアンテナを用いれば、速度は2倍になる。現状では、各社とも2×2(基地局2、端末2)のMIMOが利用されているが、規格上はさらに増やすことも可能だ。

LTEの特徴「MIMO」技術で通信を高速化

高速通信規格LTEの基礎知識

周波数とLTEの関係について


 LTEに限った話ではないが、携帯電話は特定の「周波数」を使って通信を行っている。たとえばドコモの2GHzなどがそれにあたり、この数値が高ければ高いほど、光に特性が近くなる。光が障害物にあたると途切れてしまうように、電波も、周波数が高くなると建物などの陰に周りこみにくくなる。逆に、周波数が低いほど屋内にも浸透しやすい。ソフトバンクが800MHz帯を「プラチナバンド」と呼ぶのはそのためで、少ない基地局で広い範囲をカバーできる――つまり、費用対効果が高い設備投資が可能になるというわけだ。

 一方で、800~900MHz帯などの低い周波数は、都市部などでは電波が飛びすぎてしまうことが弱点として挙げられる。結果として1つの基地局に通信が集中してしまえば、品質の低下につながる。どの周波数帯も、一長一短なのだ。周波数によって電波の飛び方が違うということは、当然エリアも変わってくる。KDDIの場合、iPhone 5は2GHz、冬モデルのAndroidは1.5GHzと800MHzというように、端末の種類によって対応周波数が異なる。こうした場合、LTEで通信できる場所も、端末によって変わってくることには注意が必要だ。

周波数帯によって電波の特性は違ってくる

高速通信規格LTEの基礎知識


 利用する周波数は国によって各キャリアに割り当てられており、LTEでは、ドコモが2GHz帯、1.5GHz帯、800MHz帯を、KDDIが2GHz帯、1.5GHz帯、800MHz帯を、ソフトバンクが2.1GHz帯を利用している。
 このほか、ソフトバンクが傘下に収めるイー・アクセスも、1.7GHz帯(諸外国では1.8GHz帯と呼ぶ)でLTEのサービスを行っている。一方で、LTEはデータ通信専用の規格だ。音声通話をデータ化して行う「VoLTE」(ボルテ)という規格もあるが、現在、国内で導入しているキャリアは存在しない。よって、音声通話には従来同様、3G回線を活用している。周波数には限りがあり、各社とも3GとLTEを同じ周波数帯の範囲で分けて使っているというのが現状だ。

LTEはデータ通信専用規格
 音声通話時には3Gに切り替えて使う

高速通信規格LTEの基礎知識

LTEはデータ通信専用の回線なので、LTEで待ち受けをしていても、音声着信時には3G回線に切り替えるという動作(ハンドオーバー)が必要になる。


 この周波数帯を束ねて使えるのも、LTEの技術的な特徴と言えるだろう。各社の通信速度が最大37.5Mbps、75Mbps、112.5Mbpsとなっているのは、そのため。お気づきの方もいるかもしれないが、37.5Mbpsの2倍が75Mbps3倍が112.5Mbpsで、周波数を使えば使うほど速度も上がっていく。周波数は各社に免許が割り当てられており、3Gとの込み具合を見ながら徐々に増やしているというのが、現在の状況だ。

LTEの周波数幅と回線スピードの関係

高速通信規格LTEの基礎知識

日本のLTEでは、5MHz幅を1つの単位として採用している。規格上5MHz幅での下り最高速度は37.5Mbpsだが、これを束ねて10MHz幅にして使えば75Mbps、15MHz幅にすれば112.5Mbpsと増速できる仕組みだ。


 たとえば、ドコモの場合、2GHz帯で、主に5MHz幅を使って下り最大37.5Mbpsの速度でサービスを行っている。
 同社は2GHz帯に20MHz幅を持っているが、この内の5MHzぶんをLTEに、そのほかの15MHz帯を3Gに割り当てているため、この速度になっている。75Mbpsのエリアではこの割合が異なり、LTEと3Gで半分ずつ周波数を分け合っていることになる。5MHzのブロックを3つ束ねれば、原理上、最大速度は112.5Mbpsだ。ただ、合計15MHzぶんをLTEに振り分ける計算になるため、周波数に余裕がなければ実現するのは難しい。ドコモが新たに1.5GHz帯を活用するの背景には、こうした理由がある。

周波数帯とLTEの関係(ドコモの場合)

LTEの基礎知識 【連載:スルッとわかる! 高速通信規格「LTE」】

ドコモには、5つの周波数帯域が割り当てられており、LTEとして現在本格的に稼働しているのは2GHz帯の5MHz幅。1.5GHz帯の15MHz幅でサービスは、2012年度中に、盛岡市、仙台市、郡山市、新潟市、富山市、金沢市、小松市、福井市、松山市、徳島市、高松市、高知市、那覇市から始まる予定となっている。


 少々ややこしいことに、ドコモの冬モデルは、下り最大100Mbpsとうたわれている。これは、端末側がこの速度に対応していないため。112.5Mpbs出せる端末は、春ごろに登場する予定だ。
 逆に、イー・モバイルから発売中のWi-Fiルーター「Pocket WiFi LTE(GL04P)」は20MHz幅を使った場合の速度は下り最大150Mbpsになるが、こちらについてはネットワーク側が対応しておらず、理論通りの速度にはならない。このように、LTEではネットワークと端末の双方に、対応カテゴリーが設けられている。どちらかが欠けていると、低い方に基準が合わせられてしまうため、端末を選ぶ際には、こうした知識も頭の片隅に置いておいた方がよさそうだ。もちろん、3Gの時と同様、実際の通信速度は同時に利用しているユーザーの数や、基地局との距離などにも大きく左右される。

端末カテゴリ表

  1 2 3 4 5
下り最大通信速度 10Mbps 50Mbps 100Mbps 150Mbps 300Mbps
上り最大通信速度 5Mbps 25Mbps 50Mbps 50Mbps 75Mbps
最大周波数帯域 20MHz 20MHz 20MHz 20MHz 20MHz
対応変調方式(下り) 64QAM 64QAM 64QAM 64QAM 64QAM
対応変調方式(上り) 16QAM 16QAM 16QAM 16QAM 16QAM
サポートするMIMO(下り) オプション 2×2 2×2 4×4 4×4

2013年春以降に発売になる端末は、カテゴリー4に対応したモデルが増えてくる予定となっている。


 ここまで紹介したLTEの“基礎知識”を踏まえたうえで、各社が持っている周波数や、3GとLTEの運用スタイルを見ていくと、それぞれの違いが理解しやすくなるはずだ。

 次回は、LTEサービスのXiを2010年12月から展開してきたドコモのインタビューをお届けしたい。

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2013年5月3日、一部記事内容を修正しました。
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