Android 特集・連載

【連載:スルッとわかる! 高速通信規格「LTE」-第2回-】

他社に先駆けて100Mbpsサービスを開始する、ドコモのLTE戦略とは?
《LTEインタビュー:ドコモ編》

文●石野純也

2012年11月15日 18時00分

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 2010年12月にXiを開始したドコモ。翌年の冬モデルには、Xi対応スマートフォンもラインナップし、エリアも前倒しで広げている。今年の冬モデルを発表する際には、2012年度末の人口カバー率を75%にすることも計画も明らかになった。
 ドコモは現在、3Gと同じ2GHz帯でLTEのサービスを行っている。速度は下り最大75Mbps上り最大25Mbps。また、冬モデルの発売と同時に、新たに1.5GHz800MHz帯でもLTEを開始する。1.5GHz帯は、15MHz幅を利用でき、都市は限定されるが下り最大100Mbpsでの通信が可能だ。

 こうした事実を踏まえ、ドコモで無線アクセスネットワーク部、無線企画部門の担当部長の平本 義貴氏にインタビューを行なった。


ドコモのLTEサービス「Xi」について
担当部長に聞いてみた!


――エリアについて、サービス開始当初から整備が進んでいます。当初は屋内だった75Mbpsエリアも、今は広がっているのでしょうか。

 2014年度には一気に112.5MbpsのLTEを
 全国に広げていきます

株式会社NTTドコモ
無線アクセスネットワーク部 
無線企画部門
担当部長


平本 義貴

 

 

平本氏:サービス開始当初は、基本的に屋外が37.5Mbps、空港などの一部屋内が75Mbpsでした。この屋外については、昨年12月から徐々に75Mbps化を進めています。ドコモは、都市部では2GHz帯でLTEのサービスを始めましたが、3Gで20MHz幅を丸々使っていました。ですので、その一部をLTEに切り替えています。

 3Gの電波を減らしながらLTEにしているので、一気に75Mbps化はできません。トラフィックの状況を見ながら、徐々に移行をかけています。ただ、ドコモとしてもXiにはかなり力を入れていて、すでに600万を超える方が利用しています。3G側のトラフィックが減れば、少ない周波数帯でまかない切れるようになるので、75Mbps化を進めることができます。

――現状、75Mbpsの基地局はどの程度あるのでしょうか。

平本氏:今年度末までに4000局の屋外基地局を、75Mbps化する予定です。

――普段都内で使っていると、まだLTEになっていないエリアも少なからずあります。一気にLTEにできない理由を教えてください。

平本氏:LTEは周波数の利用効率が3倍高く、3GをLTE化することでオフロードになりますので、ドコモとしてはLTE化を積極的に進めています。基本的にトラフィックの多いところから、面的に広げています。ただしLTE化には工事を伴うため、その進捗によってはLTE化が遅くなっているケースもあります。

――3GからLTEにするために、どのような設備の追加が必要になりますか。

平本3Gの屋内装置に、LTEの屋内装置を併設する形になります。同じ周波数帯を使っていればアンテナはそのままです。今年度から1.5GHz帯のサービスを始めますが、そこについては(今までサービスを行っていなかった周波数帯のため)アンテナ交換を伴う場合があります。ただし、過去の工事にあわせて1.5GHzに対応したアンテナを既に設置しているケースがありますので、その場合にはアンテナ交換は伴いません。

――都内で75Mbpsのエリアが少ない気がしますが、これは周波数帯域の問題でしょうか。

平本氏:スマートフォンの普及で3G側のトラフィックも伸びています。端末がないところで安易に切り替えると、お客様にご迷惑をかけてしまうので、慎重に行っています。


周波数帯域のマルチ化で
より快適なLTE環境を提供


――この冬モデルから、4機種800MHz帯のLTEも利用できるようになります(※1)。ここを、どのように活用する形になるのかを教えてください。

※1 2012冬モデルで800MHz帯に対応する機種:Xperia AX SO-01E、AQUOS PHONE ZETA SH-02E、ARROWS Tab F-05E、L-03E

平本氏:FOMAにも800MHz帯を使う「FOMAプラスエリア」がありますが、そこをLTE化するために活用します。主に郊外などのエリアが中心ですね。ただ、さらに先の話をすると、都市部でトラフィックが伸びてくれば、1.5GHz帯、800MHzでもLTEをやっていかなければなりません。また、FOMAプラスエリアは屋内での通信品質を確保するという観点でも利用していますが、トラフィックが伸びているので、来年度にはその部分もLTE化していきます。

――1.5GHz帯のLTEは、地方の都市が中心です。人口の多い、東名阪でのサービス計画はどうなっているのでしょう。

平本氏:1.5GHz帯も全国展開は進めていきます。ただ、期待されている100Mbpsや112.5Mbpsのサービスは、免許の都合で東名阪や九州ではできません。2014年度の頭から全国で15MHz幅を運用できるようになるので、今年度から来年度にかけて全国でネットワークを構築しつつ、先に基地局を作って5MHz幅で運用していきます。それをさばきつつに、2014年度には15MHz幅で一気に112.5Mbps化していきます。

ドコモに割り当てられている周波数と利用状況

ドコモのLTE戦略について聞いてきました!【連載:スルッとわかる! 高速通信規格「LTE」】

ドコモに割り当てられている周波数帯は、700MHz帯、800MHz帯、1.5GHz帯、1.7GHz帯、2GHz帯の5バンド。今後、この周波数帯を順次LTEに割り当てて使っていく予定だ。

――複数の周波数帯を同時に運用するにあたっての、課題はありますか。

平本氏:基本的に異なるバンドでは干渉はありませんし、技術的には特に課題はありません。ですから、まず2GHz帯でLTEを展開し、容量対策として1.5GHz帯の基地局を打っていきます。2GHz帯で10MHz幅を使っているところに、1.5GHz帯をオーバーレイする形になります。

――700MHz帯も2015年から運用されますが、ここについてはいかがでしょうか。

平本氏:面的展開に関しては、2GHz帯と800MHz帯があります。700MHz帯は、トラフィック対策ですね。都市部など、特に容量が厳しいところに、オーバーレイで追加していきます。

――現時点でも、契約者数が増えたためか、特に上りの速度が出ないことがあります。

平本氏:加入者増に合わせてエリア化は行っていますが、夏以降、Xi端末が急速に伸びています。エリアによっては、バランスが取れていないことがあります。

――山手線のような、人が密集する場所はやはり大変なのでしょうか。

平本氏:山手線沿線に限らず都市部の駅は、全体的にトラフィックが高く、基地局を打つスペースの確保が難しいですね。ただ、新しい周波数は積み上げられるので、Xiへの移行を進めていくことが対策になります。また、ドコモでは「docomo Wi-Fi」も展開しているので、そちらを使っていただくことも考えています。

 ただ、Wi-Fiはあくまで3GやLTEとは異なり、ラインセンスがあって独占して使えるものではないため、品質の確保が難しいという問題があります。ドコモとしては、割り当てられている周波数を最大限使っていくというのが基本的な方針です。

――以前の会見で、ドコモは1つの基地局で6方向にエリアを作る「6セクタ化」で、周波数を有効に利用していると聞いたことがあります。LTEでもそれは同じでしょうか。

平本氏:基本的には同じです。一般的に3セクタの基地局に比べ容量は倍になりますが、LTEにして3Gで6セクタだったものを3セクタにしたら、本来3倍になるはずの周波数利用効率が1.5倍になってしまいますからね。手を抜けるような場所はないですし、それをしないとトラフィックをさばき切れません。

――LTEの導入に合わせて「CSフォールバック」という用語もよく耳にするようになりました。この仕組みを改めて教えてください。

平本氏:LTEは、現状、データ通信専用のネットワークです。音声サービスを行うには、3Gの回線交換を使わなければいけないんですね。Xiで待ち受けている状況で音声着信を受けると、ネットワークを3Gに切り替えますが、このことをCSフォールバックと呼びます。

「CSフォールバック」の仕組み

高速通信規格LTEの基礎知識

上位のネットワークから下位のネットワークに回線を切り替えて通信を途切れることなく継続する技術を「フォールバック」と呼ぶ。LTEはデータ通信専用の回線なので、LTEで待ち受けをしていても、音声着信時には3G回線に切り替えるという動作(ハンドオーバー)をして、「フォールバック」する必要がある。「CS(Circuit Switched)フォールバック」は、LTEから3Gへの切り替えを素早く行なうための技術のことで、LTEにおける標準仕様となっている

――音声通話に3Gを利用するということは、ネットワークすべてをLTE化するのはまだ当分先になるのでしょうか。

平本氏:そうですね。LTE上で音声通話を行う「VoLTE」という規格もありますが、まだ新しい技術なのでサービス開始については、状況を見ているところです。また、国際ローミングの受け入れの問題もあり、海外のユーザーが日本に来たときのために、2GHz帯に関しても5MHz幅は残す必要があります。VoLTEが標準になり、全世界がLTEに一本化しなければ、難しいですね。

――ドコモでは、いわゆる本当の4Gの「LTE Advanced」も研究を進めています。こちらについては、何が今のLTEと違うのでしょうか。

平本氏:大きく2つの技術が重要だという認識です。1つが「キャリアアグリゲーション」と呼ばれる技術です。先ほどからお話ししているとおり、現状だと1つずつの周波数帯でしか同時に通信できません。2GHz帯でいうと、最大でも20MHz幅が限界です。一方で、キャリアアグリゲーションを使えば、2つのバンドを組み合わせることができます。ドコモの例で言えば、2GHz帯と1.5GHz帯を組み合わせて通信することも可能になるというわけです。これによって高速化が図れます。

 もう1つ重要なのが、「HetNet」と呼ばれる技術です。単純に説明すると、狭い範囲をカバーするスモールセルの基地局を、すでにあるエリアの中に展開して、容量を上げることができます。高速化と大容量化、この2つが魅力的ですね。


 今回はドコモのLTE戦略と展望について、担当部長にお話しを伺った。

 次回は、一気に75MbpsのLTEサービスを全国展開させたauのインタビューをお届けしたい。


ドコモLTEまとめ

周波数帯域 帯域幅 下り最大速度
2GHz帯 5MHz幅
/ 10MHz幅(一部のエリア)
37.5Mbps
/ 75Mbps(一部のエリア)
1.5GHz帯 15MHz幅 112.5Mbps
(東名阪地域は2014年度)
800MHz帯 5MHz幅 37.5Mbps(一部の地域)
700MHz帯 10MHz幅(予定) 2015年1月開始予定

       

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