米ヴイエムウェア、「VMware Fusion」を正式リリース

文●MacPeople編集部

2007年08月07日 04時29分

米ヴイエムウェアは現地時間の6日、Intel Mac上で動作するx86マシンの仮想化ソフト「VMware Fusion」を正式にリリースした。対応マシンはIntel Mac、対応システムはMac OS X 10.4.9以上。ビルド番号は51348。価格は、ダウンロード版/パッケージ版ともに79.99ドル。5ユーザー向け/10ユーザー向けのダウンロード版はそれぞれ249.99/499.99ドル。日本国内からでも同社のウェブサイトで購入できる。

VMware Fusion

VMware Fusionでは、ディスクイメージとして作成した仮想ボリュームのほか、Boot Campで作成した物理ボリュームからの起動も可能だ

VMware Fusion

「VMware Tools」と呼ばれるプログラムをWindowsに組み込むことで、Mac OS X側とのドラッグ&ドロップでのファイルのコピー、システムの時刻やマウスカーソルの同期などが可能だ。VMware Toolsは一部を除いてほぼ日本語化されている

ほとんどのPC用OSに対応

VMware Fusionでは、WindowsやLinuxなどをIntel Mac上で動作させることができる。x86マシンの仮想化ソフトであるため、Windowsのほとんどのバージョンを利用可能だが、マイクロソフト(株)のライセンス規約上、Windows VistaのHome Basic/Home Premiumを動作させることはできない。なお、XPやVistaをBoot Camp環境にインストールしており、VMware Fusionでそのボリュームを使う場合はOSのライセンスは1本で問題なく、多くの場合は再アクティベーションの必要もない。

VMware Fusion

ほぼすべてのWindowsとLinuxが動作するが、WIndows VistaのHome版はマイクロソフト(株)のライセンス規約で仮想マシンへのインストールが禁止されている

VMware Fusion

Windows VistaではHome版以外であっても、著作権保護コンテンツの再生が禁止されているなどの制約があり扱いづらい。お勧めは、現在でも入手可能なWindows XPだ

UnityでMac OS XとWindowsがシームレスに

VMware FusionではUnity(ユニティー)機能により、仮想マシン上のWindowsのデスクトップを消して、WindowsのウィンドウとMac OS XのウィンドウをFinder上で同じように扱える。WindowsとMac OS Xのウィンドウ間でドラッグ&ドロップでのファイルのやり取り(コピー)も可能。Windowsのウィンドウにはドロップシャドウがつくうえ、Exposeでも複数のWindowsのウィンドウが、通常のウィンドウと同様に独立して縮小表示される。Unityモード時はWindowsの「スタート」メニューやタスクバーは非表示となるが、「Applications」メニューから「Launch」を選べば、インストールされているすべてのソフトがリストアップされたランチャーを呼び出せ、ここから各ソフトを起動できる。なお、UnityのほかフルスクリーンやMac OS Xの1ウィンドウとして表示することも可能だ。

VMware Fusion

Mac OS XとWindowsのウィンドウをシームレスに扱える夢の環境が実現

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Windowsのウィンドウにもドロップシャドウがつくほか、Exposeでも通常のウィンドウと同じ扱いになる

VMware Fusion

Windows Media Playerなどの特殊な形状のウィンドウの場合は、Mac OS Xネイティブで動いていると錯覚するほどデスクトップになじむ

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「スタート」メニューやタスクバーは非表示となるが、ランチャーから各種ソフトを起動可能

DirectX対応でゲームもプレー可能

マイクロソフト(株)のマルチメディアAPIであるDirectX 8.1に対応しており、同API対応したゲームなどをプレーできるのも特徴だ。残念ながら、Mobile Intel 945GM Expressシリーズのチップセット内蔵のグラフィック機能「GMA950」を使うMacBookやMac miniでは、DirectX 8.1は利用できない。

VMware Fusion

DirectX 8.1対応により、数年前のゲームであれば快適に動作する

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グラフィック機能をチップセット内蔵のGMA950でまかなっているMacBookやMac miniでは、DirectX 8.1を使えない

3種類のネットワーク機能

ネットワーク機能としては、ホストとなるMacとIPアドレスを共有する「NAT」、独自のMACアドレスを生成してネットワーク上でホストのMacとは別マシンとして扱える「Bridged」、ホストのMacとの通信のみが可能な「Host Only」の3種類。ホスト側のMacの任意のフォルダーを仮想マシン上のWindowsからネットワークドライブとして直接アクセスすることも可能だ。

VMware Fusion

「NAT」では、ホストであるMacに割り当てられているIPアドレスをシェアするため、ホスト側のネットワーク環境が変わってもそのまま使える

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Mac側のフォルダーをWindows上で扱うには、環境設定の「Shared Folders」でディレクトリーを指定すればいい

VMwareにしかない注目機能

競合する米パラレルズ社の仮想化ソフト「Parallels Desktop for Mac」にはない機能としては、2つのCPUコアのエミュレーション、64ビットOSの対応がある。64ビットOSを利用する場合は仮想マシンに8GBまでのメモリーを割り当てられる。サーバーOSの運用や各種テストに重宝するだろう。なお、64ビットOSを利用するには、Core 2 DuoもしくはXeonを搭載するマシンが必要だ。Mac Proを除く初代Intel Macが採用するCore Duoは32ビットCPUのため非対応。

VMware Fusion

Intel Macでは当たり前のデュアルコアをエミュレートできるのは、現在のところVMware Fusionだけだ

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64ビットのサーバーOSなどを動かせるため、ファイルサーバーはMac OS X Server、ウェブ/メールサーバーはVMware Fusion上のWindows Serverという使い分けも可能

現在入手できるのは英語版だが、Boot Campなどと同様に日本語キーボードに対応しており、「カナ」「英数」キーでの入力スクリプトの切り替えも可能だ。なお日本法人であるヴイエムウェア(株)によると、日本語版の発売計画はあるがリリース時期や価格などは未定のこと。


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