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【夏野 剛のモバイル業界への提言-第8回-】

保険業界に本格参入を!? 夏野流ドコモ成長戦略(2013年2月掲載)

文●小林 誠

2013年02月28日 20時00分

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Eコマースで成功を
収めるのは簡単ではない

保険業界に本格参入を!? 夏野流ドコモ成長戦略(2013年2月掲載)

 2012年12月に掲載した本コラムで、ケータイキャリア3社のシェアが均衡化するという話をした。近い将来を見越して、すでに各キャリアとも新戦略を打ち出している。

 ドコモは、アマゾンを目指す、と加藤社長が言っているようにEコマース事業やコンテンツ事業を強化している。実際、1月30日にはファッションサイトを運営する「マガシーク」の買収を発表し、有機野菜や無添加食品の会員制宅配サービスを提供する「らでぃっしゅぼーや」の買収も昨年実施した。

 KDDIは、「auスマートバリュー」を提供するなど、インターネットプロバイダ事業とキャリア事業の融合を進めている。ソフトバンクは、海外のキャリアを買収するなどして、規模の拡大に努める戦略だ。

 KDDIの戦略は通信業界の王道とも言えるもので一番わかりやすい。ソフトバンクは一番お金がかかるが、人口が減少傾向にある日本以外の市場に目を向けるのは当然のこと。

保険業界に本格参入を!? 夏野流ドコモ成長戦略(2013年2月掲載)

▲ドコモは「dショッピング」でEコマース事業を展開している。

 それでは、ドコモの戦略はどうだろうか? Eコマース事業は、一見するとリスクが小さく、数千万の顧客を抱えるドコモにとって打ってつけのビジネスにみえる。ただし、ネットショッピングは検索して購入するのが主流で、必ずしもドコモユーザーがドコモのショッピングサイトで購入するとは限らない。

 また、Eコマース業界は競合他社が多いため、この分野で大成功を収めるのには、先行している企業に匹敵する品揃え、配送の仕組みを整え、競合にはない価値を消費者に提供する必要がある。もし本気でEコマースで勝負するなら外部からの人材登用や大規模な買収も検討すべきだ。Eコマースのプラットフォームづくりだけなら、そうお金はかからないかもしれないが、大成功を収めるには、巨額の資金が必要になる。

 Eコマース事業に本格参入するのもいいが、私がドコモにぜひやってもらいたいことは、規制業界や旧態依然とした業界に風穴を空け、国民の生活を向上させるためにプラスになる付加価値をつくっていくことだ。

 規制業界では、国の規制によって業界が守られているため商品・サービスの料金が高止まりしている傾向がある。保険業界がまさにそうだ。保険外交員などの人件費やCMなどの広告宣伝費が上乗せされた高い保険商品を販売する大手保険会社が大きなシェアを占めている。安い保険料のネット保険はあるものの、消費者は結局“信頼できる”という理由から大手保険会社に決めてしまうのだ。

保険業界に本格参入を!? 夏野流ドコモ成長戦略(2013年2月掲載)

 では、ドコモほどの信頼のある会社がネット保険を本格的に始めたらどうか? 安いうえに企業としても信頼できる。消費者にとっては申し分ない。現在、「ドコモ 医療保険」や「ドコモ ワンタイム保険」といった小規模なサービスはあるが、ドコモにはDCMXのようにクレジットカード業界を震撼させるようなことをしてほしい。

 もちろんゼロから大きなサービスを立ち上げるのは大変なこと。しかし、ドコモには豊富な資金と人材がある。ドコモならできるはずだ。誰もやれないこと、新しい価値を生み出すことにチャレンジしてほしい。

夏野 剛(なつのたけし)
元NTTドコモ執行役員で「iモードの父」。慶應義塾大学大学院の政策・メディア研究科特別招聘教授をはじめ、ドワンゴの取締役などさまざまな分野で活躍中。夏野氏のメルマガサービス「週刊『夏野総研』」(月額525円)がスタートした。ニュースキュレーション、既存ビジネスの解説や読者からの質疑応答コーナーなど、内容は充実。詳しくは、以下のサイトをチェック!
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