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【石野純也のソーシャルゲーム最前線-第9回-】

バンダイナムコゲームス浅沼氏が語る!ソーシャルゲーム好調の要因

文●石野純也

2013年03月15日 19時00分

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ソーシャルゲームやコンシューマーなど
出口はなんであれ、ゲームはゲームです


ケータイジャーナリスト・石野純也氏が、プラットフォーマーやゲーム運営会社にインタビューをしてソーシャルゲームの今後を占う「ソーシャルゲーム最前線」。今回は、コンシューマーゲームメーカーとしても知られ、ソーシャルゲームでも『アイドルマスター シンデレラガールズ』などの大ヒット作を飛ばすバンダイナムコゲームスの執行役員・浅沼氏に直撃した(取材日時:2013年3月5日)

バンダイナムコゲームス上席執行役員が語る!ソーシャルゲーム成長戦略

▲バンダイナムコゲームス 浅沼 誠:バンダイナムコゲームス 上席執行役員 第二事業本部長として、ソーシャルゲーム全般を担当。1988年にネットワーク入社、ネットワークとバンダイとの合併に伴い、バンダイに入社。ネットワーク事業部門の分社化に伴いバンダイネットワークスへ移り、バンダイネットワークス取締役に就任。その後2009年4月のバンダイネットワークスとバンダイナムコゲームスの統合に伴い、バンダイナムコゲームス入社後、執行役員NE事業本部 副本部長を経て現職に至る。

 ソーシャルゲーム市場の拡大を受け、今まで家庭用ゲーム機向けのゲームやアーケード向けゲームを開発してきたメーカーも、相次いで参入している。バンダイナムコゲームスは、そうしたメーカーの中の代表的な1社と言えるだろう。

 持ち株会社であるバンダイナムコホールディングスが公表している決算を見れば分かるように、この2~3年でソーシャルゲーム事業の売上全体に占める割合が急速に増している。売上は2011年度が150億円なのに対し、2012年度予想は460億円。規模にしておよそ3倍だ。1年でここまで成長する産業は、なかなか見当たらない。

 バンダイナムコゲームスには、『ガンダム』『アイドルマスター』『テイルズ オブ』など、アニメや家庭用ゲーム機で培ってきた、数々のキャラクターを抱えている強みがある。キャラクターの人気が高ければ、当然ソーシャルゲームも成功する――こう考える人もいるはずだ。もちろん、このコンテンツ力は、ソーシャルゲーム市場でも十分な武器になっている。一方で、それだけではここまで大きな成功には至らなかっただろう。同社のインタビューからは、モバイル事業に関する過去の経験や、ゲームに対する柔軟な発想が、成功の鍵であることも見えてきた。

 家庭用ゲームやアーケード向けゲームを開発してきた、バンダイナムコゲームスならではの苦労もあった。そもそも、ソーシャルゲームでゲームを開発するノウハウがない中での船出となり、開発者の意識も変えていかなければならかった。こうしたエピソードの数々を、同社の上席執行役員、第2事業本部、本部長の浅沼誠氏に聞いた。また、浅沼氏には今後のソーシャルゲームの方向性もうかがっている。そちらも合わせてご覧いただきたい。

――バンダイナムコゲームスと言えば、家庭用のゲームやアーケード向けのゲームが有名でした。そもそも、なぜソーシャルゲームを事業として始めたのか。まずはここからお話しください。

浅沼氏:元々、バンダイナムコゲームスはバンダイとナムコが統合した会社になりますが、そのほかにもバンダイネットワークスとバンプレストという会社がありました。その中で、バンダイネットワークスは以前からケータイ用のコンテンツを開発していました。1999年にiモードがスタートしてから、ドコモさん、KDDIさん、ソフトバンクさん向けにずっとコンテンツを開発してきていました。そのバンダイネットワークスを、2009年に統合しています。

 今でもそうですが、当時もプレイステーションや任天堂向けハードのゲームを作るコンシューマーゲームに、アミューズメントと言われるアーケードのゲームを作る業種がありました。もう1つがネットワークで、この部門はケータイやオンラインゲームを開発しています。また、当時のナムコにもモバイルをやっている事業部がありました。

 当時は、ちょうどモバゲータウン(現・Mobage)やGREEというプラットフォームが台頭してきたころで、今ほどではありませんでしたが、無料のゲームを配信するという画期的なビジネスをされていました。一方で、我々は、ドコモさん、KDDIさん、ソフトバンクさん向けに月額いくら、もしくは1本いくらの売り切りというビジネスをしていました。

 モバゲータウンもグリーも、我々から見ると非常に画期的で、これからどういう時代が来るのか、そこにはどう対策をして、どうビジネスをするのかを考えていました。我々には自社IPと言われるパックマンのほかに、ガンダム、集英社さんからお預かりしているコンテンツがあります。その中で、まずは『太鼓の達人』をモバゲータウンで無料配信することを始めています。「ここから先は有料なのでうちのサイトに来てね」という形で、プロモーションを兼ねています。これには賛否両論ありましたが、結果として有料会員が非常に増えました。

 このころは、同時に、良くも悪くもキャリアによるケータイのコンテンツビジネスが頭打ちを始めていました。一方で、SNSゲームと言われるところが会員数を延ばしている。それなら我々もということで、DeNAさんと『ガンダムロワイヤル』を始めました。これが、2010年12月のことです。

――実際にソーシャルゲームを配信してみて、いかがでしたか。

浅沼:元々ケータイ向けのゲームは作ったものを修正、改善することは多かったものの、あくまで本体があって、それを補うという考え方でした。ところが、今のソーシャルゲームは極端に言うと50%のエンジン部分を作って、ゲームの内容は運営をしながら変わっていきます。頭では分かっていましたが、それが具体的にはどういうことなのかが分かりました。

 この世界は知れば知るほど深いですし、マーケティングデータをどう読めばいいのかもだんだん分かってきます。作って、収めて、焼いて、売るという、従来のゲームと180度違うとまでは言いませんが、遊ばれ方は相当違います。

 また、『ガンダム』で無料というのは本当にいいのか。ここには喧々諤々がありました。一方で、実際にやってみたところ、ちょうど年を超えたあたりですごい数字が出ている。「すごい、こんなことがあるんだ」と思いました。パッケージのゲームを5000円、6000円で売るのとは違う、オンラインでビジネスが成功するのがどういうことなのかを、身を持って学べました。

 何を学んだというと、ユーザーの嗜好が変わってきたことです。嗜好が広がったとも言えるかもしれません。というのも、ソーシャルゲームがあるために、パッケージが売れなくなるわけではないからです。今までパッケージしか見ていなかった人が、MobageやGREEも遊ぶ。そういったことが見えてきました。

――ここまで根本的に考え方が異なると、開発陣が適応するのも難しそうです。ソーシャルゲームは、どのような体制で開発してきたのでしょうか。

浅沼:確かに、苦労している人間もいます。一方で、我々は、例えば『ガンダムロワイヤル』であれば、パッケージゲームを作った部門が担当しています。全員が全員そうというわけではありませんが、基本的には『ガンダム』チーム、『ワンピース』チーム、『ドラゴンボール』チームという形でやっています。

――つまり、ゲームの種類ではなく、コンテンツごとにチームが分かれているということですね。

浅沼氏会社の都合で考えると、コンシューマー事業、ネットワーク事業というような形で部署を作りがちですが、ユーザーさんはそうではないですからね。我々の都合で『ガンダム』を作っているゲームの部署が3つも4つもあるのはあくまで大人の都合で、極端に言うと迷惑にもなります。

 出口はなんであれ、ゲームはゲームです。ですから我々は、『ガンダム』であれば『ガンダム』チームが1つ1つしっかり作って、コンシューマーゲーム機にはこう出す、ソーシャルゲームにはこう出すという戦略を練るようにしています。

 元々、我々のミッションは持っているIP(Intellectual Property=知的財産権や版権のこと)を展開することです。それに従い、あれよあれよしている間に、今に至ります。

>>次のページでは、ヒットを生み出した秘訣にさらに迫る!

バンダイナムコゲームス コンテンツ PickUp!-①-

『ガンダムロワイヤル』

 

▲モビルスーツのパイロットとなり、最強のパイロットを目指して“出撃”で様々なミッションをクリアしていく。ユーザー同士が“闘技”においてバトルで競い合うことで、数百種類のモビルスーツをコレクションしていく要素も楽しめる。


対応機種:Android、iPhone、ケータイ
ジャンル:RPG
料金:アイテム課金性
配信元:Mobage
URL:http://rx.sp.mbga.jp/_gndm_top

(c)創通・サンライズ
(c)創通・サンライズ・MBS

 

バンダイナムコゲームス コンテンツ PickUp!-②-

『ONE PIECE グランドコレクション』

 

▲冒険で『ワンピース』の登場キャラをモチーフにした“フィギュア”をゲットし、手に入れたフィギュアで自分だけの一味を結成! 冒険を進めると現れる巨大ボスに勝利できれば、“メモリアルカード”ゲットのチャンス! アニメの名シーンが描かれているので、コンプリートして物語をつなげよう。


対応機種:Android、iPhone、ケータイ
ジャンル:ソーシャルゲーム
料金:アイテム課金性
配信元:Mobage
URL:http://www.mbga.jp/_onepi_top

(c)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション  (c)NBGI

 

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