iOSを越える実力!? インテル主催「Tizen」セミナーレポート (1/4)

文●小山安博

2013年06月24日 22時00分

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Tizenのデモ端末。筐体自体は「GALAXY S III」のようだ

 スマートフォン向けの「第3のOS」として期待を寄せられる「Tizen」。そのTizenを主導する企業のひとつ、インテルが開発者向けに技術セミナー「Tizen Developer Lab 東京」「Tizen Developer Lab 大阪」を開催(関連記事)。Tizenの特徴やアプリ開発のメリットなど、さまざまな情報が提供された。本稿では、「Tizen Developer Lab 東京」の模様をお伝えしよう。

HTML5とネイティブで開発できるTizen

 Tizenは、オープンソース陣営のLinux財団が開発を主導、ビジネス化をグローバルな企業が担当するという、ふたつの方向性からプラットフォームの構築が行なわれている。現在、OSとしてはバージョン2.1で、7月にはバージョン2.2が登場する予定となっており、これらをベースにSamsungが今年中にも端末をリリースする計画だ。

 Tizenは、ウェブ標準技術HTML5を最大限に活用したオープンなプラットフォームを目指して開発が続けられており、新しい市場の創造が目標だ。TizenとHTML5の組み合わせによって、デバイスメーカー、アプリ開発者、携帯キャリアには「新しいビジネスチャンスが生まれる」(インテルのソフトエア&サービス戦略本部アライアンス・マネージャー柳原明人氏)ことを想定している。

TizenとHTML5で新しい市場の創造を目指す

 プラットフォームの普及にアプリの拡大は欠かせないが、ウェブ技術をベースにしているため、従来のCやJAVAなどの開発者だけでなく、ウェブ系デザイナーなども「アプリ」開発をしやすいというメリットがある。Tizen側では、こうしたウェブ開発者も取り込んで普及促進を図りたい考えで、賞金総額4億円のアプリコンテスト「Tizen App Challenge」も実施中で、開発を盛り上げている。

 Tizenは、現在スマートフォン向けOSとして位置づけられているが、それだけでなくタブレット、テレビ、ネットブック、車載機器といったさまざまなデバイスをターゲットにしている。オープンプラットフォームのため、メーカーなどが自由に開発を行なえる、同じオープンソースのAndroidは「Googleの意志が強い」(ピーシーフェーズ技術本部アプリケーション開発部マネージャー・松園勝善氏)のに比べて、さらに自由度が高くなっている、としている。

幅広いデバイスをサポートし、クロスプラットフォームのアプリ開発が容易になる

 TizenのアプリはHTML5で開発できるが、例えば一時期FacebookがHTML5アプリで構築しながら、パフォーマンスが悪く、ネイティブアプリ化した点や、ゲームやアニメなどのアプリの動作が遅かった点など、松園氏は「もっさりとしたというイメージがある」と指摘する。ただ、Tizenは「HTML5と高い親和性があり、十分なパフォーマンスで動く」と強調。このHTML5アプリの快適な動作がTizenの目的のひとつだと話す。

HTML5は3D CGを標準で利用でき、その動作も開発機でも滑らかな動作になっていた

Tizenデモ端末での動作の様子。Goo Engine( http://www.gooengine.com )の「Pearl Boy」を利用している

 それに加え、オープンなHTML5でアプリを開発すれば、クロスプラットフォームでアプリを提供しやすくなる。多少の手直しをすれば、HTML5対応のほかのプラットフォームでも同様にアプリを提供できるので、逆に言うと、開発者がTizenをサポートしやすい。

 現在は、スマートフォン、タブレット、車載機、テレビ、カメラ、家電……とそれぞれ異なるOSのため、別の開発が必要だが、TizenはそれをひとつのOSでカバーすることが目標で、そうなればHTML5でさまざまなデバイス向けのアプリを開発でき、多様なデバイスに向けてサービスを提供できるようになる可能性がある。

これまではデバイスごとに開発をしなければならなかったが、Tizenがさまざまなデバイスをサポートすることで、複数のプラットフォームをカバーできる

 とはいえ、現時点でTizenはスマートフォン・タブレット向けのTizen Mobileと、車載機向けのTizen IVIの2種類だけだ。それでも、今後さまざまなデバイス向けの拡張が検討されており、将来的な発展が期待されている。ちなみに、Tizen MobileとTizen IVIは別のロードマップで開発されており、現状ではTizen Mobileの方が開発が進んでいるそうだ。

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