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【2013夏スマホ特集 国産スマホメーカーに訊く!-第4回-】

ハイスペックと使いやすさを体現した「ELUGA P」が生まれた経緯は!? パナソニックインタビュー

文●mobileASCII編集部

2013年06月28日 11時50分

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panasonic

 国産スマートフォンを製造しているメーカーに、2013年夏モデルの訴求ポイントを聞くと同時に、これまでのスマートフォン開発の歴史を振り返ってもらうインタビュー特集。

 第4回目は、「ELUGA」シリーズを展開しているパナソニックモバイルコミュニケーションズの商品企画担当、ソフト開発担当、カメラ開発担当、市場分析担当の4名に、夏モデルの「ELUGA P」に込めた思いを語ってもらった。

パナソニックモバイルコミュニケーションズ株式会社
商品開発グループ
企画担当課長

野中 亮吾

要素開発グループ
第二チーム

ソフト開発担当課長

岩間 智大

要素開発グループ
第二チーム

主任技師

石原 崇

商品企画グループ
市場分析チーム

主事

高木 美穂

 


新モデル「ELUGA P」は、
「ELUGA X」から

どのように進化しているのか?


編集部 : この夏モデルの「ELUGA P」のスペック表を見てみると、他社のハイエンド機と肩を並べる内容となっていると思うのですが、なぜ「ELUGA X」という名称ではなかったんでしょうか?

野中氏 : 今回発表した「ELUGA P」のキャッチフレーズになっているのが『Premium Usability& Premium Quality in Palm from Panasonic』というものなんですが、これは『手の中にプレミアムな使い心地とクオリティをパナソニックから』という思いが込められています。前作の「ELUGA X」から一切のスペックを落とさずクオリティを保ち、片手でも楽々と操作ができる使い心地を実現しているという意味です。「ELUGA X」は、アーリーアダプター層にアピールするような雰囲気を持たせていましたが、「ELUGA P」は“使いやすさ”を前面に押し出しています。

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▲「ELUGA X」(右)と比べると、「ELUGA P」(左)は一回りコンパクトになっているのがわかる。

編集部 : これから先の「ELUGA」シリーズは、「X」ラインと「P」ラインに分かれていくという感じになっていくのでしょうか?

野中: それに関しては、今のところ何ともいえません。「ELUGA P」は、ある意味「ELUGA X」を発展させたモデルだといえますので、ライン分けはそれ程を意識していないんです。ハイスペック+使いやすさを体現したのが「ELUGA P」だという位置付けです。

編集部 : 「ELUGA X」の最先端スペックモデルといった感じのイメージを、「ELUGA P」で転換してきたのはなぜなのでしょう?

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野中: 「ELUGA P」を開発するにあたって、「ELUGA X」を買ったお客様と、検討はしたけど買わなかったお客様からの声を集めてみたところ、「サイズが大きすぎる」や「ボディの角が手のひらに当たって痛い」などといった意見が寄せられました。そこで、その前の「ELUGA V」の時から採用していたスクエアなデザインを、「ELUGA P」では角を丸めたラウンドフォルムにして、持ちやすさにケアした形としたんです。

編集部 :「ELUGA P」のデザインチームは、「ELUGA X」のときのチームとは変わったんでしょうか?

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野中氏 : いいえ。デザイナーをはじめ、デザインチームのメンバーはほとんど一緒なんです。

編集部 : 以前、モバイルアスキーで「ELUGA X」のレビューをやらせていただいたとき、スペックや端末の満足度は高く評価をしたのですが、デザインが少々残念だと書いてしまいました(苦笑)。「ELUGA P 」では、どのあたりがデザインポイントとなっているのでしょうか?

野中氏 : モバイルアスキーのレビューは読ませていただきました(笑)。フロントキーのデザインについて書かれてましたね。今回の「ELUGA P」では、ホームキーの素材に、人工ダイヤの「ブラックジルコニア」素材を使って、プレミアム感と耐久性を持たせたのがデザインポイントのひとつです。あと、「ELUGA V」のときに開発した「ラインフレームディスプレイ」工法を進化させて、ボディの横幅を約65mmに抑えることに成功しています。

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▲人工ダイヤとも呼ばれる「ブラックジルコニア」素材をホームボタンに採用。非常に硬度が高く、耐久性に優れている。

編集部 : ホームキーのデザインは、スッキリとして高級感が増したように思います。「ELUGA X」で特徴的だった「メタルフレーム」は採用されなかったんですね?

野中氏 : 4辺が直線で結ばれる場合には「メタルフレーム」が有効なのですが、「ELUGA P」はラウンドフォルムでいこうという方針になりましたので、今回は「ラインフレームディスプレイ」を進化させた「フルグラスデザイン」という形で狭額縁を実現しました。ただ、「メタルフレーム」も、また活かせるときがあるんじゃないかと思っています。

編集部 : 画面のサイズが、「ELUGA X」の5.0インチより、4.7インチと小型になりましたが、ディスプレイはフルHD解像度です。「ELUGA P 」の外観デザインを見たときに、商品性としてはHD解像度のディスプレイでも十分だったんじゃないかという印象を持ったのですが。

野中氏 : 4.7インチとしたのは、初めてスマートフォンを使われるという方でも、片手で楽々と操作ができるようにしたいという思いから、あえてダウンサイズすることにしました。ただ、4.7インチでもフルHD解像度ディスプレイにすることにはこだわりました。「ELUGA P 」はフィーチャーフォンからの乗り換えユーザーをターゲットにしていますが、そういったお客様は1台の端末を長くお使いになる傾向がございます。ですから数年後でも陳腐化しないようにフルHD解像度ディスプレイを搭載することにしたんです。「P905i」というフィーチャーフォンを開発しているときにもディスプレイの解像度論争があったんですが、このときもすぐに陳腐化しないようにとVGA解像度のものを採用したという経緯があります。もしあのときQVGAに留めていたら、すぐに誰からも見向きされない商品になってしまったんじゃないかと思います。
 あと、「ELUGA P 」のディスプレイは、この2013年ドコモ夏モデルの中ではナンバーワンとなる473ppiの高精細さを誇っているんです。今年発売のブルーレイレコーダー「DIGA」からは、フルHD番組の持ち出しが可能となりましたので、それを再生するスクリーンとして、フルHD解像度のディスプレイにこだわったというのもあります。ぜひ「DIGA」との家電連携も試してみていただければと思います。

※ppi(pixel per inch)は、画素密度を示す単位。数値が高いほど高精細となる。

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▲ブルーレイレコーダー「DIGA」から、フルHD番組の持ち出しダビングが可能になった。

編集部 : ディスプレイサイズを小さくしたことによって、液晶部の消費電力も下がったんでしょうか?

野中氏 : そうですね。画面が小さければバックライトの灯数も減らせますので、5.0インチに比べれば消費電力は下がっています。そのほか、「ELUGA P」のディスプレイには、描画データをプールしておくためのメモリが搭載されています。これによって、静止画を表示している時にはCPUからのデータをストップさせることができるようになっています。

編集部 : 液晶にメモリを搭載したことで、具体的にどのくらいの効果があるのか教えてください。

野中氏 : たとえば「GALAXY S4」は、「ELUGA P」と同じ2,600mAhのバッテリーを搭載していますが、ドコモが定める実使用時間では45.1時間。対して「ELUGA P」は54.9時間と、ほぼ10時間の差をつけています。「GALAXY S4」のディスプレイは有機ELだという違いもありますが、アイドリングストップの効果は、さまざまなアプリの計測時に効いてくるんです。

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▲バッテリー容量は2,600mAhと、ボディサイズの割りに大容量のものを搭載。バッテリーは着脱可能だ。


指が触れなくてもディスプレイが反応する
「タッチアシスト」機能の活用シーンは?


編集部 :「ELUGA P」のアピールポイントは、使いやすさに関して集中しています。初めてスマートフォンを使うといったエントリー層にターゲットを絞ってきているという印象が強まってきていますね。フィーチャーフォンからの乗り換えユーザーをターゲットとするのは、パナソニックの方針なのでしょうか?

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高木氏 : フィーチャーフォンの“Pケータイ”の稼働数はまだまだ相当多いというデータがあります。“Pケータイ”のイメージは、「安心」だったり「使いやすい」といったイメージだとの調査データが上がってきていますので、次もパナソニックの製品を使いたいというお客様に、違和感なくお使いいただけるよういろいろな工夫を凝らしてあります。もちろん、他のフィーチャーフォンのユーザーが使っても、パナソニックらしい使いやすさを感じていただけると思っています。

編集部 : フィーチャーフォンとスマートフォンでは、ユーザーの使い方が相当変わってきていて、デバイスとして別のものという捉え方もあるかと思うのですが、パナソニックとしては、スマートフォンの中にフィーチャーフォンを融合させていくという方向性なのでしょうか?

岩間氏 : たとえばキャリアメールへの依存度が下がって、『LINE』のようなアプリに移行してきていたりと、スマートフォンが普及してきてから使用するサービスが大きく様変わりしてきています。しかしながら、文字入力やその他のメニューの使い方などを指で操作するというところは変わりませんので、ローカルな部分の使い勝手では、フィーチャーフォンの良さも取り入れていけると思っています。

野中氏 : 特に文字入力に関して、「ELUGA P」には従来の“Pケータイ”  のように十字キーや10キーを使って文字入力や修正ができる「ケータイキー」を採用していますので、フリック操作が苦手な方でも使い慣れた方法で操作していただけるようになっています。

編集部 :「ELUGA P」には、タッチパネルに触れなくてもディスプレイが反応する「タッチアシスト」機能があります。どんな場面で活きてくるのでしょうか?

野中氏 : タッチパネルに触れなくても画面が反応する「ホバー」機能は、他社にもありますが、「ELUGA P」のタッチアシスト機能は、およそ1.5cmほど離れていても反応するほど高感度なんです。座標をとる精度もかなり高く仕上がっており、12種類の機能を設定できました。タッチ間違いを防ぐためのガイドが表示されたり、写真フォルダの中身をプレビューできたりと、用途は多いですよ。

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▲指が画面から1.5cmほど浮いた状態でも、タッチパネルが反応する「タッチアシスト」機能を搭載。

編集部 :「ホバー」機能でガイドやプレビューが表示されても、結局はタッチして決定するんですよね?

野中氏 : カメラのシャッターやロック画面の解除、電話の受話、Webブラウザのスクロール・リンクの進む/戻るなどは触れずに実行できるのですが、基本的にはタッチパネルに触れて決定をする操作思想になっています。パソコンのマウスでも、カーソルONのときに情報を出し、決定する場合にはクリックしますよね。思ってもいない誤操作を防ぐためにも、タッチで決定することをベースとしています。

編集部 : 他社にはインカメラや赤外線を使って、ジェスチャーコントロール機能を提供しているスマートフォンもありますが、パナソニックの場合は「ホバー」に限定したのは理由があるんですか?

野中氏 : ジェスチャーコントロールでは、インカメラや赤外線センサーを使いますので電力がかかりますし、精度を高めにくいので思ったように動いてくれないという問題が残ります。それに大げさな手振りなどを人前でするのは恥ずかしいという声もあります。やはり座標がしっかりととれる「ホバー」機能の方が確実性という意味では優れていると思います。ジェスチャーコントロールでは、「この電話には出たくないな…」と思っていても、センサーが反応してうっかり出てしまったりすることもあり得ますが(笑)、「ホバー」機能なら、受話アイコンの周りで円を描いて座標に認識させますので、誤操作が減らせるんです。

編集部 :「ホバー」機能を使っても、消費電力は変わらないのでしょうか?

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岩間氏 : 従来からある、タッチパネルと指の間の電圧変化を検出する「静電容量」技術を応用したものですので、消費電力はほとんど変わりません。

編集部 : 指で触らなくても認識するという技術は、本当に不思議な感じがして愉快ですね。

野中氏 : 余計な話ですけど、プリインストールしているライブ壁紙に「星降る夜空」というものがあるのですが、指を近づけると夜空の星がどんどん集まってきます。そしてタップすると集まった星がバーッと弾け散るんです。実用上、何の意味もありませんが楽しいですよ。私どもは「波動砲」と呼んでるんですけど(笑)。

編集部 : では、その「ホバー」機能を活用したゲームなんかもできそうですね。

野中氏 : そうですね。どなたかに作っていただきたいですね。いろんな可能性が広がると思いますよ。

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