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【アプリマーケット分析】「Pandora」「iTunes Radio」の時代が到来!? モバイル音楽配信サービスの今と未来

文●佐野正弘

2013年08月07日 18時00分

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モバイル音楽配信

“ストリーミング”と“パーソナライズ”で変わる
音楽配信サービス


  スマートフォンの普及によって、大きな変化の兆しが見える音楽配信サービス。海外では新しいストリーミング型の音楽配信サービス(※編集部注)「Pandora」が人気で、先日、Appleがそれをモデルとした「iTunes Radio」というサービスを発表するなど、新しいサービスが広まりつつある。ここではスマートフォン時代のモバイル音楽配信市場の現状と、今後の展望について考察してみた。

※編集部注:インターネットからスマートフォンに音楽などのデータを取り込む際に、受信をしながら逐次再生する転送方式。データをダウンロードして視聴する場合と比べて待ち時間は短く、またデータが手元に残らないため、違法複製のリスクに対して安全とされている。

その人に合った楽曲を配信する、新たな音楽配信スタイル

 まずは、今、海外で注目されているAppleの新サービス「iTunes Radio」について紹介しよう。「iTunes Radio」とは、その文字通りインターネットを介して音楽を配信するストリーミングラジオサービスといえるもので、今年の6月にアメリカで開催されたAppleの開発者向けイベント「WWDC」で発表された。この秋に投入される新しいAppleのOS「iOS7」に合わせて、アメリカで提供を予定している、新しい音楽サービスだ。
 この「iTune Radio」が従来のストリーミング音楽配信サービスと異なるのは、再生中の楽曲に対して“いい”“悪い”のチェックをすることで、その人に合った楽曲を選んで流す仕組みとなっていること。「iTunes Radio」で聴いた楽曲だけでなく、「iTunes Store」で購入した楽曲の履歴などを参照しながら嗜好を分析してくれるので、より精度の高い“パーソナライズ”(一人一人の属性や購買・行動履歴に基づいて最適化されたものを提供)ができるようになる予定だ。

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▲iOS7で提供が予定されている「iTunes Radio」。その人に合った楽曲を再生してくれるパーソナライズ機能を備えたストリーミング音楽配信サービスだ。

「iTunes Radio」は、楽曲の再生中に音声広告を挟むという“広告モデル”を採用することにより「無料」で提供される予定(広告を削除するには、有料の「Music Match」を契約する必要がある)。また、「iTunes Radio」で再生中の楽曲は、そのまま「iTunes Store」でその楽曲をすぐに購入できる仕組みも整えるなど、ダウンロード型の音楽配信につなげて収益を上げる仕組みも整備されるという。いわば音楽の「フリーミアムモデル」を実現するサービスといえるだろう。

「Pandora」は2億を超える会員を獲得

 広告モデルを採用することにより無料で楽曲をストリーミング配信し、その後、ダウンロード型の楽曲購入につなげる。こうした音楽配信の仕組みは、実は米国ではすでに2005年頃から存在しており、高い人気を獲得している。それが冒頭で紹介した「Pandora Internet Radio(以下Pandora)」だ。
「Pandora」は「iTunes Radio」同様、パーソナライズ機能を備えたストリーミングラジオサービス。サービス範囲は米国やオセアニアの一部に限られるが、無料で利用できる気軽さと独自の強力なパーソナライズ機能、そしてスマートフォンやタブレットへの対応を積極的に進めたことによりユーザーを拡大し、現在では2億を超える会員を獲得するに至っているのだ。

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▲現在、アメリカで大人気の「Pandora」だが、現状は残念ながら日本でサービスは行われていない。

スマートフォンへの移行で低迷する日本のモバイル音楽配信

 米国では、このような新たなスタイルの音楽配信マーケットが成長を見せているが、一方で、ここ日本のマーケットを見ると厳しい状況が続いている。その理由は、やはりフィーチャーフォンからスマートフォンへの移行により、従来人気を獲得してきた“着うたフル”などのダウンロード型音楽配信サービス利用者が減少しているからだろう。
 日本レコード協会の「有料音楽配信売上実績」をみると、「着メロ」「着うた」「音楽ビデオ」などを含んだモバイル音楽配信の売上は、2008年の約798億をピークとして急激に減少。2012年には約347億と、ピーク時の半額以下にまで、急速に減少しているのが分かる。
  一方で、Appleの「iTunes Store」などを含むパソコン・スマートフォンでの「インターネットダウンロード」による売上をみると、2008年の約90億から2012年には約179億と倍増しているが、売上規模でみるとまだそれほどではないというのが現状だ。もちろんスマートフォンの普及状況にもよるが、フィーチャーフォン時代のような音楽市場を確立できているとは言い難い状況と言えるだろう。

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▲こちらは日本レコード協会から発表されている資料をもとに作成した、有料音楽配信サービスの売上実績チャート。

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