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2.5GHz帯で新規周波数を勝ち取ったUQがスタートさせる『WiMAX 2+』って、どんなサービス?

文●mobileASCII編集部

2013年08月16日 19時30分

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 10月からUQコミュニケーションズが新たにサービスをスタートさせる「WiMAX 2+」。

 これは、これまでの「WiMAX」が単に進化したというものではなく、現状スマートフォンなどモバイルの通信回線で主流となっているLTEと互換性を持つ新たな通信サービスだ。
 はたして、「WiMAX 2+」とはどんなサービスなのか? UQコミュニケーションズへのインタビューと合わせて紹介していきたいと思う。

 まず、その前に今回のUQコミュニケーションズが新たに獲得した、2.5GHz帯の割り当ての経緯について振り返ってみたい。


新しく割り当てが決まった
2.5GHz帯
では何ができる?


 去る7月29日、総務省がKDDIグループのUQコミュニケーションズ株式会社(UQ)に新たに2.5GHz帯の周波数帯を、割り当てた。


 今回割り当てられた2.5GHz帯は、2009年にサービスを停止した「モバHO!」が使用していた周波数帯で、高度BWA(広帯域移動無線アクセスシステム)で用いることを前提に、総務省の諮問機関である電波監理審議会(電監審)が、割り当てる事業者の選定を審議していたもの。

 割り当てを申請していたのは
UQと、ソフトバンクグループの通信事業者であるWireless City Planning(WCP)の2社。電監審は、契約数、屋内エリア化の対応・高速化技術の導入計画などを検討した結果、UQへ割り当てることにした。

UQ、超高速モバイルブロードバンドサービス「WiMAX 2+」の提供開始について発表

▲柴山昌彦総務副大臣(左)から認定書を受領するUQコミュニケーションズ野坂章雄社長(右)。

 このたびUQに割り当てられたのは20MHz幅で、現在「WiMAX」サービスで使用中の30MHz幅と合わせ、連続した50MHz幅の周波数を使えることとなった。

 UQでは、まず新たに割り当てられた20MHz幅を使って、TD-LTE(※)と互換性を持つ「WiMAX 2+」のサービスを10月末から開始する。通信速度はこれまでの「WiMAX」の約2.75倍となる下り最大110Mbpsからスタートさせ、2017年には下り1Gbpsを超える高速通信サービスの提供を目指すという。

※TD-LTEとは、同じ周波数帯で「上り」と「下り」の通信を時間で分割する方式である「時分割多重」を採用したLTEの方式のこと。「上り」と「下り」で使う周波数帯を別にして運用する「周波数分割多重」という方式はFDD-LTE(docomo LTE Xiや、au 4G LTE、SoftBank 4G LTEなど)と呼ばれる。

UQ WiMAX2+

▲新規割り当てとなった2.5GHz帯の周波数を示す図。UQは、すでに割り当てられている2595~2625MHzのすぐ隣となる、2625~2645MHzの20MHz幅を獲得した。


下り1Gbpsを目指す「WiMAX 2+」を
展開するUQに話を聞いてみた!


 現状UQが展開している「WiMAX」についておさらいしておこう。これはドコモのXi(LTE)よりも1年以上早い、2009年7月1日からサービスを開始している高速通信の先駆け的な規格。携帯電話の世代では、LTEと同じく第3.9世代(3.9G)と呼ばれている。

「WiMAX」は、2.5GHz帯の10MHz幅を使った下り最大40Mbps、上り最大15.4Mbpsという速度で、定額プランで使い放題なのが特徴。他社のLTEのように、データ通信量の総量制限はなく、常時接続しておくような使い方に向いているサービスだ。

 そしてこの10月末からスタートする「WiMAX 2+」は、2011年3月に承認された「WiMAX 2」 (WiMAX Release 2.0)規格をさらに発展させ、TD-LTEとの互換性を持たせたもの。「WiMAX Release 2.1 Additional Elements(AE)」が正式な名称で、「WiMAX 2+」というのはUQが付けたサービス名だ。以下で紹介するような5つの特徴があり、今までの「WiMAX」と比べ、利便性で勝るサービスとなっている。

UQ WiMAX2+

▲2.5GHz帯でサービスを開始する「WiMAX 2+」の特徴がこちらで、1Gbpsを超えるスピード、TD-LTE方式との互換性がポイントだ。従来の「WiMAX」端末を継続して利用することも可能だ。

 続いては、この今、もっともホットな話題となっている「WiMAX 2+」について、UQの渉外部長と技術企画部長のお二人に、基本的な仕組みやサービスの内容などを聞いてみた。

UQコミュニケーションズ株式会社
コーポレート部門

渉外部長


西川 嘉之 氏

技術部門

技術企画部長 兼
標準化推進グループマネージャー


河村 政志 氏

 

新規周波数を獲得したことで
「WiMAX 2+」を一気に展開

編集部:まずは、新規周波数の獲得おめでとうございます。

西川氏:ありがとうございます。今回、割り当てられた2.5GHz帯は20MHz幅で、当社がすでに「WiMAX」サービスで利用している周波数のすぐ隣になり、既存の30MHz幅と合わせて連続した50MHz幅となりました。

編集部:「WiMAX 2+」をスタートすると発表されていますが、スケジュールは一気に進んでいく形になるんでしょうか?

西川氏:当然いろいろと検討はしていましたけど、今回の周波数をいただかないことには何も始まりませんでしたので、割り当てが決まったいま、一気に準備しているところです。

編集部:サービスのスタートが10月末だということは、本当に時間がないと思うんですが、対応する端末やエリア構築は間に合うのでしょうか?

西川氏:まずは、モバイル「WiMAX 2+」ルーターを10月末のサービス開始に合わせて発売する予定です。エリアに関しては、既存の「WiMAX」の基地局に「WiMAX 2+」の設備を追加して進めているところです。

UQ

▲UQのホームページより、「WiMAX」のエリア検索マップ。ここで示されているエリアに重ねるように「WiMAX 2+」基地局が設置される。

編集部:今回「WiMAX 2+」のサービス開始までの流れを、改めてお聞かせいただけますか?

西川氏:当初は「WiMAX 2」という「WiMAX」完全互換の方式で進めていく予定だったのですが、いまや世界での移動体通信の主流がLTEに移行してきていますので、TD-LTEとの互換性も持たせた「WiMAX 2+」(WiMAX Release 2.1 AE)という規格が生まれました。なので当社では、「WiMAX 2」を飛ばして、新しく策定された「WiMAX 2+」規格を用いてサービスを展開していきます。「WiMAX 2+」は、当然いままでの「WiMAX」ともハンドオーバー(携帯端末と通信する基地局を移動中に切り替えること)して使えますので、「WiMAX」しかないエリアでも下り最大40Mbpsで使うことが可能です。

UQ WiMAX2+

編集部:計画していた「WiMAX 2」は、TD-LTEとの互換性はなかったんですね?

河村氏:そうです。業界団体であるWiMAX Forumがエコシステムを追求するため、TD-LTEと互換性を持たせた「WiMAX Release 2.1 AE」を考え出したわけです。「WiMAX Release 2.1 AE」ではLTE規格にあるようなショートメッセージや音声コーデックなどの規格はありません。

編集部:その「TD-LTE規格のデータ通信に関わる部分だけを参照」というのが、「WiMAX 2」に加えられた「Additional Elements」という仕組みなのですか?

UQ WiMAX2+

WiMAX Forumが策定した「WiMAX Release 2.1 AE」の規格を説明する図。「Additional Elements」というルールにより、TD-LTEとの互換性を持たせることができるようになった。

河村氏:「Additional Elements」は直訳すれば「追加要素」なのですが、「WiMAX 2」に“加えられた”というより、「WiMAX 2」を発展させて内包した新しい規格だと捉えた方が分かりやすいかもしれません。「Additional Elements」は装置的なハードの置き換えや、新しいソフトの書き換えが必要だというものではなく、「WiMAX 2+」(WiMAX Release 2.1 AE)という規格そのものなんです。

編集部:なるほど。端末か基地局側に「Additional Elements」対応の“何か”が必要なのかと思っていましたが、そういうことではないんですね。

西川氏:はい、そうなんです。

編集部:TD-LTEとの互換性を持たせることのメリットは、どんなところにあるのでしょう?

西川氏:すでに主流となりつつあって、導入コストが安いLTE用のチップや基地局設備を流用できます。また、既存のTD-LTEのエリアに「WiMAX 2+」を乗り入れさせることも可能です。ただ、これは技術的に可能というだけで、日本国内で行うのは現実的には難しいとは思いますけど。

編集部:TD-LTEと互換性があるということは、TD-LTE対応端末ならば、どんな機種でも「WiMAX 2+」を使えるのでしょうか?

河村氏:基本的に技術的な問題はありません。ただし、「WiMAX 2+」の契約者であることを確認する認証の方法など、さまざまな課題はありますので、そのあたりも含めて検討を重ねなければならないと考えています。

>>>次ページ 「WiMAX 2+」のエリアはどのように拡大していく?

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