特集・連載

【法林岳之・石川温・石野純也の「モバイル座談会」-第13回-】

法林岳之、石川温、石野純也の3氏が語る「2014年CES総括」前編

文●mobileASCII編集部、小林誠

2014年01月27日 07時55分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ITメーカーがクルマに近付く!
カギは「ホンダ」にあり!?

法林 連携するといえば、「クルマ」もすごくたくさん出てきたね。

 クルマとの連携というと、タブレットを載せるみたいな感じですか。

石川 いやそうではなく、従来はスマホやタブレットでクルマの状態を管理していた、バッテリーの残量チェックやカギがかかっているかということを、「GALAXY Gear」などウェアラブルを使ってやるとかですね。サムスン電子とメルセデスが展示をしていましたが、あれはいいなと思った。ウェアラブル端末がカギ代わりになるという感じで、ウェアラブルの可能性を感じた展示でした。組み合わせとしても、今流行りのクルマとウェアラブルだったので、良かった気がしましたね。

法林 昔から言われていることだけど、クルマは閉鎖空間なので、外とやり取りをしたいのに、なかなかうまくできていない。だから、カーナビとかカーオーディオのメーカーと組んで、いろいろとやってきた。今まではニュース、天気予報、地図を見せて道案内するだけだったけど、もっとクルマの中のことをできないのというのは、皆が思っていたこと。ただ、クルマ社会は国と地域によって、事情が異なる。たとえば、日本は車検があるけど、米国には基本的にない(注:州にもよるが日本のような一律の検査ではない)ので、米国ではクルマを買ったら、壊れるまで面倒を見たいという話になる。そんなときに「ここがおかしい」というのを表示できたら、クルマの管理がしやすくなるよね。クルマをスマホと連携するのが目的ではなくて、クルマの情報をクラウドに蓄積したいわけ。そのHubとして通信回線のあるスマホを使ったり、クルマに通信モジュールを搭載したり、ということをやろうとしている。結構、難しいとは思うけどね。

石川 CESには3、4年前からクルマメーカーが入ってきて様子が変わってきたんだけど、最初は電気自動車になったからCESに来ていた感じだった。それが、今年はITメーカーがクルマに寄り始めた。NVDIAやクアルコムとかですね。もともとクルマって前のクルマとの距離を調べたり、危険なときにブレーキをする、温度、タイヤの状況をチェックするセンサーを搭載していたり、周りの環境をチェックしている。これってスマホと同じなんですよ。GPSやセンサーをいっぱい搭載している。だからNVIDIAやクアルコムがアプローチしているんだろうと。チップセットメーカーとしてはスマホの成長が鈍化していくので、新しい市場に入っていこうとしているんだろうと思う。クルマメーカーとしても、自分たちでできることは限られているから、ITメーカーの協力がほしいだろうし。ちょうどいいタイミングでGoogleが「OAA(Open Automotive Alliance、Androidを車のプラットフォームにすることを目指す団体)」をやろうとしているので、スマホの取り組みをクルマに展開するよい機会だと思います。

一同 (うなずく)

石川 ただ、クルマメーカーがGoogleに近づいたのはいいものの、Googleのいいようにされて終わる気もしている(笑)。

 Googleから、クルマメーカーに近づいているという印象があったのですが。

石川 どうも、ホンダがいろいろと動いているっぽいですね。今週の日経ビジネス(注:1月20日号)にアップルがSiriを自動車対応にする記事がありますが、それはホンダから持ち込まれた企画らしいんだけど、ホンダはGoogleのOAAにも入っているわけです。どちらの陣営にもホンダが名前を出していることを考えると、ホンダがサンフランシスコのカギを握っているのではないかという気がしている。

法林、石川、石野氏による「2014年CES総括」前編

▲NVIDIA社のTegraビジュアル・コンピューティング・モジュール(VCM)搭載の車載システムなど、車関連の発表も目立った。

4Kテレビの
日本での普及は!?

 あとは4Kテレビの話はどうでしょう?

石川 テレビを追っているジャーナリストの人たちと、私たちとでは4Kに対する感覚が違うと思いますが、4Kの映像は実際にキレイだけど、どれだけの人が買い換えるかというのは、正直分からない。ただモバイルを追っている側から見ると、4Kのディスプレイもスマホの周辺機器的位置付けになったらおもしろい。スマホでも4K動画が撮れるようになってきたわけだし、文字コンテンツを表示するには4Kのほうがいいだろうし。「クアトロン プロ」を買った法林さんはどうですか?

一同 (笑)

法林 いや、「クアトロン プロ」は4Kじゃないからね。フルHD対応テレビだけど、4Kに近い表示ができるという。……ともかく、僕らの専門ジャンルではないけど、テレビって最後は結局テレビ放送なんですよ。どういうことかというと、昨年のパナソニックのテレビで電源を入れると、最初にネットの画面が出て、それをやめてよ、という声があった(注:スマートビエラのマイホーム機能)。テレビ屋さんの考えは、最初にテレビ番組が表示される。だけど、僕らPC屋の感覚は、電源入れたら、ディスプレイとして表示されると考えるわけ。その中に、テレビやネットがあったりすればいい。だから、4Kのディスプレイを4分割して、テレビとブラウザとメールと、みたいに分割して、同時表示してもいい。だけど、今の状況はそうなっていないんだよね。

 なるほど。

法林 もちろんスマホの解像度も高くなるだろうけど、フルHDのスマホがあるのに普通に売れているスマホはHDだったり。そういう状況を見ていると、高解像度はどうなの? というのは思う。

石野 だけど、4Kもディスプレイとしては安くなっている。DELLから安いのが発売されたし、スマホのコンテンツも4K対応が増えて、4K出力に対応すればスマホをHubとして4Kディスプレイにつなぐということもあるかな。

法林 と言ってもDELLの4Kディスプレイを、テレビとして居間に置く人がどれだけいるか。そこを、超えられないと思うんですよ。テレビの側にいる人たちが、4Kをテレビじゃないものとして見てくれることが大事なんじゃないかなと思う。

石野 値段がこなれてくれば、皆4Kにいくと思いますけどね。

法林 いや、今のテレビの売れない状況を考えるとね。これから4Kの放送が始まったとしても、それで4Kのテレビを買うかというと疑問。

石川 4Kはキレイなものを見たい、という人間の欲望は満たすんだけど、4Kコンテンツが増えるのか、さっぱり見えてこないんですよ。

法林 4Kのコンテンツが全体の一割に満たない、という話をシャープの人があるインタビューで答えていたね。

石川 今のフルHDの4倍の容量ということは、1本の映画が数十GBですよ。それは固定網でも無理という気がする。

石野 モバイル網では絶対に無理ですよ。

法林 米国はケーブルテレビということですけど、日本では光回線で送れるのか? それはどこまで踏み切れるのか……難しいですよね。

 4Kの展示は多かったのですか?

法林 4Kパネルは山ほどあった。

石野 出展されているテレビはほぼ4Kですからね。

法林 だけど「それで?」と。4Kは分かったんだけどさ、という。

石野 日本ではこんなサイズは置けないとも思ったし。

一同 (うなずく)

 第14回「2014年CES総括」後編へ続く
(2/3公開予定)

<< PREV 1 2 NEXT >>

mobileASCII.jp TOPページへ