LTEのエリアが広がる米国
料金プランの選択肢が魅力
編 他に印象が残ったものはありますか?
石川 では、米国の通信事情について。
一同 (笑)
法林 そうだね、CESでの3人それぞれのモバイル環境を説明しようか。まず、アメリカ国民(というくらい渡米している)の、石川さんから(笑)。
一同 (笑)
石川 いやいや…、自分はベライゾンのSIMを契約していて、14GBくらい使いましたね。
一同 (どよめく)
法林 すごく使ったね。
石川 ヴァージンのルーターを使うことも考えていたんだけど、料金プランの変更があってベライゾンだけでいいやって。月いくら使うか毎月決められるんだけど、CESに行くタイミングで、12GBで100ドルの契約にした。ただ最終的にハワイで乗り継ぎしているときに動画を見たくなって、それでオーバーしたけど。ベライゾンはどこでもサクサク使えて、さすが米国NO.1だなって思いましたね。
編 ずっと「iPhone」に挿して使用していたのですか?
石川 そう。「iPhone」に挿してテザリングにしてメールも動画も見たね。あと今回は12月末から行っていたので、家にリモートアクセスして紅白歌合戦も見ていたし(笑)。
編 法林さんはどうでしたか?
法林 僕はTモバイルのプリペイドSIMをずっと使っているので、今回もそれを使ってグローバル版の「Xperia Z1」に挿して使ってました。さっき石川さんが言っていたヴァージンモバイルの件だけど、ヴァージンはWiMAX+3Gのルーターを出していて、昨年これを買った人が結構いたんですよ。1年間放置してもよくて、iTunesカードみたいなプリペイドカードを買ってチャージするんだけど、これをPC経由では使っていました。あとは「iPad mini」のAT&T版も買って、これはオンラインサインアップをして使えるようにしました。これで事足りましたね。
石野 あのオンラインサインアップの仕組みって、すごくいいですよね。
法林 日本もやるべき。
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▲お三方に、CESでのモバイル環境やアメリカの通信事情について語っていただいた(写真はイメージ)。
石野 僕はTモバイルの70ドルの月額プランで、チャージがある限りプランを変えられるので。Tモバイルは使いやすいプランをたくさん出していて、僕の契約したプランは端末で通信するのは無制限で、テザリングが2.5GBまで。プリペイドで買えて、LTEも使える。Tモバイルは対応周波数がちょっと特殊なんだけど、法林さんのように「Xperia Z1」を使ったり、自分は「iPhone」に挿していましたね。
法林 (石野氏が「iPhone」を使うと)似合わないんですよ。これが。
一同 (笑)
法林 こんなに「iPhone」が似合わない男がいるか、というくらい似合わない。
石野 いやいや、自分でも「iPhone」ジャーナリストかよと思うくらい、使いました(笑)。こんなにしっくりくる端末はない(笑)。まあ、画面やっぱり小さいな、と思ったんですけど、速度は速いところで20Mbpsくらい出ていて満足できました。ベライゾンよりTモバイルはエリアが狭いのですが。日本のように細かいところまでカバーしていはいないけど、CESの会場内はものすごく電波を強化しているので、サクサクでしたね。
法林 僕はよく分からないけど、日本で言うところのコミケの移動基地局を出すのと同じことだよね。
一同 (うなずく)
石野 ちゃんと対策している。会場がむしろ一番LTEがつながった。ただ一方で2.5GBまでのテザリングだと仕事用には心もとない。また、長い動画なら1本で1G以上なので、今回はパソコンにはWiMAXを使おうと思って用意したんです。WiMAXは、米国でも無制限で使えるんですよ。「World WiMAX」というネットから現地の事業者と接続して契約できる仕組みがあるので、使っていたんです。ただ、この課金システムがソフトバンクの孫会社になるクリアワイヤレスのものなんだけど、なぜか、カードで8回も課金された(苦笑)。
編 えぇー!?
石野 登録できなくてエラーが出たんだけど、エラーが出たぶんも、なぜかカードだけは通ったようで…。最終的に返金されたんだけど、クレジットカードにいっぱい記録が残ってしまったし、ドル払いだからレートで損得とかあったりして、とにかくトラブルが多かった。日本から来た人から、お金をとる仕組みがちゃんと作れてない感じですね。昨年の夏から課金をしているんだけど、技術力がない。WiMAX陣営の苦しさを感じた。
編 うーん。
石野 それと、今回CESに行って1つ感じたことがあって、日本ではパケット通信の容量制限が7GBや3GBが当たり前だけど、自宅でのWi-Fi接続に関しては制限を気にせず使っている。ですが、今回、海外に2週間弱居て、テザリングに2.5GBという容量制限があると、やはり心理的に負担感があって節約しちゃうんですよね。日本ならTwitterで流れてくる動画をすぐにチェックするけど、海外だとそれを控えていました。あと、通信が頻繁に発生するソーシャルゲームも遊ばなくなるんですよ。なので、そういう点から考えると、改めてWiMAXの”無制限”はいいなと思いましたね。最終日には課金の恨みもあって、GoogleドライブにCESの写真を20GBくらいアップロードしたし(笑)。
法林 酷いね!(笑)
石野 まあ、そういうこともできると。だから今UQは苦戦してますけど、こういうときにはWiMAXはいいなと思いました。
編 CESの取材という環境ですと、通信回線はスマホで直に使うよりも、テザリングで使うほうが多いのでしょうね。
法林 そういうこともあると思うけどね。
石野 あと、日本では3GBか7GBで、MVNOで月1GBなどの容量制限がありますけど、選択肢が少ない。
法林 米国ではiPad向けの料金プランで、250MBまでというのもある。
石川 一日プランのやつですね。日本ではどこでもサクサク使えるけど、米国はネットワーク環境がまだよくないんです。LTEがようやく強化されてきたので、これから使う人は増えてくると思いますけど。あと、米国って料金プランは細かいけど、けっして安いわけではないんですよ。10GBまでは100ドルプランなど、安くしようと思えばいくらでも安くできるんだけど、そのせいもあってか極力使わないでおこうって心理になる部分もあると思う。
法林 日本も容量別で細かくプランを選べるといいんだけどね。もともと音声通話のときはいろいろ選択肢があったのに、パケット定額だけでなくね。
石川 スプリントとTモバイルはポストペイ(後払い)型の無制限プランがあり、ベライゾンとAT&Tはデータシェアプランが普通になっている。スマホとタブレットで容量を考えて使っていて、ああいうプランが日本でも増えてくるといいですね。
石野 日本の良さも再実感しましたけどね。LTEはサンフランシスコとかLAとかも入るけど、それは都市部だけで、町の外れになると3Gも入らない。グランドキャニオンに行ったんですけどダメでしたし。日本なら富士山でも入るのに(笑)。
石川 いや、グランドキャニオンは入らなくてもいいんじゃない(笑)。富士山は上だから電波が入るけど。
法林 グランドキャニオンに匹敵する場所って、日本でどこだろう……。
石川 樹海とか。
一同 (笑)
法林 黒四ダムかな。だけど、黒四ダムでも電波入るんだろうな(注:ダム自体はケータイの電波が入る)。
石川 ハワイのダイヤモンドヘッドなんか、頂上に行くとベライゾンの電波バリバリ入ったし。
石野 (アメリカは)金の掛け方の強弱がすごいですね。お金を出す人がいてデータ通信を使いそうな場所はきっちりエリアを作るけど、観光を楽しむところはEDGE(GSMネットワークによる通信を高速化する規格)が入れば放置みたいな。
法林 ただ、今回は通信環境的には、米国でLTEがだいぶつながるようになって良かった。
石野 昨年に比べたら、はるかに快適になりましたよ。
米国のタブレットはKindle多し!
Windowsタブレットは5万円が良い?
編 そういえば、米国ではタブレットを持っている人は多いのですか?
石野 多いですよ。
石川 みんな使っていますよ。半端ない。
石野 「Kindle」も多いですね。
法林 「Kindle」は多いね。
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▲米国では「Kindle」をはじめ、タブレットの普及率は高いようだ。
石野 「iPad」が圧倒的に多いし、あとは「Kindle」。たまに「Nexus」と「GALAXY Tab」。CESではレノボも「ThinkPad8」タブを出しましたし、昨年も言いましたが、今年はWindowsタブレットの可能性を感じますね。ソニーはなかったけど「VAIO TAP 8」とかが開発されたら、すごくほしい(笑)。
石川 ただ、Windowsタブレットが、小さかろう安かろうとなっていて、安いところでのヒットはネットブックの二の舞いになる気がする。
法林 Androidタブレットは2万円台のものがあるけど、Windowsタブレットはある程度スペックを積んで、5万円くらいだといいかな。これが3万円台になると、沈没する。
石野 消耗戦になりますよね。
石川 普通の人からすると、今10万円以上のノートPCってありえないじゃないですか。
一同 (うなずく)
石川 あれは、ネットブックの影響が大きいと思っていて、PCの価値を下げてしまった気がする。その二の舞いになってしまうと、業界的にどうなのか。
石野 Windowsになると、フロント面で差別化できないですしね。タイルUIで決まってるし。
法林 他のタブレットやスマホも、似たようなものだけどね。ただし、では端末の形状を変えるのがいいかって話になるし…。
石野 確かにそうですよね。ただ、何かもうひと工夫ほしいところです。
編 今回はCESの話というよりも、アメリカのIT事情という感じになってしまいましたが(笑)、このあたりでCES総括は終了とさせていただきます。どうも、ありがとうございました。
次回へ続く
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