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【法林岳之・石川温・石野純也の「モバイル座談会」-第15回-】

法林岳之、石川温、石野純也の3氏が語る「2014年スマホ春商戦展望」前編

文●mobileASCII編集部、小林誠

2014年02月10日 07時55分

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 1年で一番端末が売れる時期とも言われている、スマホ春商戦。1月にKDDIがau春モデルとして、新たに大型のファブレットやコンパクトスマホを投入したが、各通信キャリアの春商戦の戦いはどうなるのか。激動の春商戦の動向を3人の識者に聞いた。


ケータイライター

法林岳之氏

 ケータイ業界のご意見番的な存在。WEB媒体「ケータイWatch」の連載など、初心者にもわかりやすい解説でおなじみ。人気の「できるポケット」シリーズほか、著書も多数。


ケータイジャーナリスト

石川温氏

 スマ-トフォンなどモバイル情報について世界中を飛び回って取材し、テレビや雑誌、WEBなどで活躍中。週刊メルマガ「スマホ業界新聞」(http://ch.nicovideo.jp/226)を配信中。


ケータイジャーナリスト

石野純也氏

 宝島社で編集に携わり、数々のケータイ関連誌を立ち上げる。独立後はケータイジャーナリストとして関連業界を取材し、WEB、雑誌、新聞などの媒体で記事を執筆。主な著書は『モバゲータウンがすごい理由』(マイナビ新書)など。

 

ドコモは「Tizen」を見送り!
いったり何が起きたのか?

編集部(以下、編) 今回はスマホ春商戦の話を伺いたいと思いますが、その前に、まず1月16日にドコモが第3のOS「Tizen」搭載のスマホの導入見送りを発表した件について。

石川温氏(以下、石川 出なくなったのは残念だったなあと。

法林岳之氏(以下、法林) あんまり決めてかからないほうがいいかもしれないよ。まあ出ないだろうけど。

石野純也氏(以下、石野) いや、もう出ないですって。

石川 今年の初めにいろんな人と『「Tizen」の2号機は出るのか』みたいなことを予想していたんですけど、まさか1号機すら出ないとは。

 「Tizenの2013年進捗、今後の展開」を開催

▲2013年度内にドコモから投入される予定の「Tizen」であったが、見送りとなった。

法林 笑えないよ……。

 ドコモはもう、何もやらないんでしょうか?

石野 どうやら白紙撤回っぽいですよ。

石川 雑誌の休刊と一緒ですよ。休みってなによ?っていう。

石野 発表直後に、広報に確認したら「見送りというのは、現状開発していた機種の発売を見送るということ」なので、少なくともこれまで作っていた端末はもう確実に出ない。ボツです。

石川 本当に、急にぽしゃったんだなあと思って。

 やめることになったのは、「Android」スマホの在庫があるから、「Tizen」の在庫まで持ちたくない、ということなんでしょうか?

石野 それはそうです。

石川 うーん、まあ、そうだろうし。

 ドコモは「iPhone」の発売も始まりましたし……。

石川 だけど、だったらもっと早く決めてもよかった気はするんですよね。

石野 そうですね。「iPhone」の発売を決めた時点で、見送る判断はできたと思うんで、ドタバタしているなあと。CESではドコモの岩崎さん(注:副社長)が2月くらいと言っていたのが、その翌週くらいには見送りでしたから…。本当に、直前で決まったんだろうなあ。端末もできているし、コンテンツプロバイダにも声をかけて、実際にコンテンツも作り始めていたので。

法林 コンテンツプロバイダは早くから動いていたし、ドコモの岩崎副社長の話もあるし、だから必ずしもドコモ側だけで「やめよう」という話になったのではないという気がしている。

石川 サムスン電子が糸を引いている?

法林 要するに、ドコモだけの話ではないのかなという気が、ちょっと…。それがセンシティブな話なら、今後ドコモはその話をしないだろうし…。わりと上のほうで決まったという気がしますね。それがサムスン電子なのか、チップとかで協力すると言っていたインテルの話なのか、ほかが出すなら俺も出すと言っていた、Orange(注:フランスのキャリア)なのか。何にせよ、ドコモとは別のところから話が出て、「Tizen」は流れたのかなって気はしますね。

 人の異動とかは関係ありますか?

法林 永田さん(注:現ドコモ関西支社長、前Tizenアソシエーション・議長)のは関係ないとは思うけど、杉村さん(注:現Tizenアソシエーション・議長)に旗振り役が変わったから……。

石野 杉村さんになって、少し弱くなったような。

石川 弱くなったよ。だから昨年の段階でフェードアウトさせようとしていたのかな、という雰囲気はなんとなくあるかなあ。

石野 だったら異動のタイミングで中止にすべきだったとも思うんですよね。

法林 だからドコモ側の思惑の話もあるし、サムスンなら日本側と本国側の話があるだろうし、グローバルのレベルでの話もあるだろうし、その中から「やめる?」という話が上がってきたのかなと。最終的に誰が決断をしたのか、というのは見えないです。昨年の段階ではいろんなところから「いつに出す」、「いつくらいに出したい」という話があった。なので、開発は遅れているけど年が明けたら出るんだなと思っていたら、こういう状況になったわけですから。

 この”「Tizen」の見送り”というドコモの決断は、正しいと思いますか?

石川 正しいと思う。一番混乱するのは店頭のお客さんだから。ドコモショップに行ったら、3つのOS何が違うのって、一から説明しなきゃいけないわけで。それは、ショップの店員にとっては負担だし、お客さんにとっても納得できる買い物ができなくなる。そう考えれば「iPhone」と「Android」に集中するというのは、正しい。それに、これだけ「Android」が成熟している段階で、そこに今から新しいプラットフォーム立ち上げて追いつくのは大変ですよ。賢明な判断だったし、もっと早く決断してよかったと思う。

石野 うーん、だけどやると言っていた以上は出してほしかった。こんな混乱を招くような、ギリギリのタイミングでやめるって言うのは、プラットフォームを運営する上での信頼も失うし、まずかったと思います。

法林 グローバルの中での「Tizen」の位置付けというものあるので、市場に出るか出ないかは分からないけど…。石川さんが言ったようにドコモのプラットフォームで考えると、すでに「iPhone」と「Android」があって、そこに「Tizen」が加わると、当然「Tizen」にも「しゃべってコンシェル」とかドコモのサービスを対応させないといけなくなる。ドコモ側もある程度リソースをかけないと、「Tizen」でいろいろ動かせないわけです。そこを冷静に考えると、そんなことするより(すでに市場に出ている)「Windows Phone」を作ったほうがよくないかという気はする。だからやめたのはそれでいい。まったく未知のものに、どこまでやるか分からないものにリソースをかけるより、法人からの要望もある「Windows Phone」をやったほうがよくないかと思うんで。サムスン電子や他のメーカーがリソースを「Windows Phone」でやるかもしれないし。

石川 インテルのイベントで杉村さんに話を聞いたけど、「Tizen」はサムスン電子以外のメーカーの確保が難しいようで…。昨年のバルセロナ(注:MWC、世界最大のモバイル向け展示会)ではファーウェイが参加すると言っていたけど、結局は逃げちゃう形になり、サムスン電子以外のメーカーではどこが「Tizen」をやるんですかとなったときに、なかなかいなかった。本来なら、(ドコモと近い関係にあった)NECやパナソニックが「Tizen」を作って、日本人が使いやすくて、ドコモがやりたいスマホを作れば、それでうまく丸まったんです。しかし、ツートップ戦略をやったことでそれらのメーカーが撤退してしまい、結果として「Tizen」をやるメーカーがなくなってしまった。そう考えると、ドコモは戦略をミスったのかなぁという気はしますね。

石野 次のバルセロナ(2014年のMWC)はブースも出すし、新端末も発表されますね。

法林 サイトはまだ存在するんだね。

石川 「Tizen」はまだありますね。

石野 うん、「Tizen」自体がなくなったわけではないからね。

法林 ここでこけると痛いよね。

石野 うん、日本はでかい市場の1つですし。

法林 前回も言ったけど、日本は揉んでくれる市場ではあるわけで。

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