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【法林岳之・石川温・石野純也の「モバイル座談会」-第18回-】

法林岳之、石川温、石野純也の3氏が語る、世界最大のモバイル展示会「2014年MWCを振り返る」 後編

文●mobileASCII編集部、小林誠

2014年03月24日 07時55分

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2014年MWCを振り返る 後編
ソニー、サムスン電子はどうなる!?


 今回も引き続き、スペイン・バルセロナで2月下旬に開催された世界最大のモバイル展示会「Mobile World Congress(MWC)」について。後編では、主に現地で発表されたソニーとサムスン電子の2014年のフラグシップモデルについて話をうかがった。


ケータイライター

法林岳之氏

 ケータイ業界のご意見番的な存在。WEB媒体「ケータイWatch」の連載など、初心者にもわかりやすい解説でおなじみ。人気の「できるポケット」シリーズほか、著書も多数。


ケータイジャーナリスト

石川温氏

 スマ-トフォンなどモバイル情報について世界中を飛び回って取材し、テレビや雑誌、WEBなどで活躍中。週刊メルマガ「スマホ業界新聞」(http://ch.nicovideo.jp/226)を配信中。


ケータイジャーナリスト

石野純也氏

 宝島社で編集に携わり、数々のケータイ関連誌を立ち上げる。独立後はケータイジャーナリストとして関連業界を取材し、WEB、雑誌、新聞などの媒体で記事を執筆。主な著書は『モバゲータウンがすごい理由』(マイナビ新書)など。

 

「Xperia」はノイキャン!
「GALAXY」の防水は大丈夫?

 まずは、「Xperia Z2」を発表したソニーモバイルについてですが、いかがでしたか?

石川温氏(以下、石川) ソニーは正直、半年に1回フラッグシップを投入するのは大変だなぁって感じました。3兄弟(注:「Xperia Z」、「Xperia Z1」、「Xperia Z2」)という言い方をしていましたが、あまりに似すぎているなという気もします。今回は、驚き感というのは少なかった。4Kで撮れるとか、ノイズキャンセリングとか、ソニーらしくてソニー好きは追ってくると思うのですけど、どこまで一般の人に響くかというと、正直よく分からない。4Kで撮れるっていっても4Kテレビを持っている人は少ないし、10秒撮影したら60MBになるようなファイルサイズというのは、使いにくい。どこまでソニーファン以外に伝わるのか……。

法林岳之(以下、法林) フラッグシップ機として普通に売れるんだろうけど、それって「Xperia」でなければいけないのかいと思うところもある。4Kの話なんてまさにそうで、何のために搭載されているのか。もちろん、4Kは身近になるかもしれないけど、現状ではテレビがあれだけの値段がして、パソコンのモニタの4Kだってまだまだ限られているので、どこまで4Kが必要なのかと。やっぱり、再生環境がないとダメだと思うし、技術オリエンテッド(注:技術視点)なソニーの悪い癖がでたかな。逆に言うと、今回は、やりようがなかったんだろうけど(苦笑)。

一同 (苦笑)

石野純也氏(以下、石野) そもそも、なんでカメラの4Kを推したんだろうなと。

法林 うん、「4K"も"できます」という表現ならよかったのに。

法林、石川、石野の3氏が語る「2014年MWCを振り返る」 後編

▲MWCで発表されたソニーの新しいフラグシップモデル、「Xperia Z2」。

石野 ノイズキャンセリングのほうが、単体で楽しめてインパクトがあると思うし……。

法林 実は、今回はウォークマンアプリに、結構手が入っているんだよね。

石野 そうなんですよ。日本でのウォークマンの売れ行きとかを考えても、ノイキャンをプッシュすべきだし、そう思って(他媒体で)原稿をそういう風に組み立てたらめちゃくちゃ読者の反応がよかった。グローバルで考えると、そこまでノイキャンの訴求力はないのかもしれないけど、そこを強く言わなかったせいもあって、ボワっとしているなという感じがしています。端末は全然悪くないので、あとは日本でのマーケティングを考えなきゃいけないんじゃないかな。カメラがキレイというのはメーカーはプッシュしてますが、それは「Z1」や「Z1 f」も同じこと。あと、カメラは(「Xperia Z1」同様)“メシマズのカメラ”(料理の写真がおいしそうに見えない)が……改善はしているそうですが。

一同 (笑)

法林 不用意なことを言わないほうがいいよ(笑)。加藤社長(注:ドコモ)も読んでいるっていっていたし。

石野 そうそう、インタビューしたとき、加藤社長もこれ読んでいますよって。

 おぉー(笑)。

石野 なので、カメラ機能は変わらないですが、“音楽”でアピールすれば「Z1」との差別化もできるのではないでしょうか。それよりも、今回はサムスンの「GALAXY」のほうが心配ですね。すごくぼんやりした機種という印象かなと。

石川 今回のサムスンの「GALAXY S5」は、少し寄せ集め感はありますね。すでに各メーカーが載せている機能を、全部載せましたという感じで。今回、防水機能が搭載されていますが、他のメーカーから「防水大丈夫?」と言われていたりもしますが…。

 技術的な話ですか?

石野 HTC……。

石川 そう、HTCの二の舞になるんじゃないか、みたいなことを言うんですよね。

石野 「HTC J butterfly」(注:auのHTL21、2012年冬モデル)は防水にしてキャップに問題がありましたが、それと同様で大丈夫かということですね。

法林 すごく勝手なことを言うと、サムスンが防水をやりたいのなら、まず日本で先に「防水端末」を出して、そこで揉まれたうえでグローバルに出すべきだったと思う。

石野 そうですよね。「GALAXY J」を防水にすべきだったんですよ。

法林 それがなくて、今回いきなりグローバル向けのフラッグシップで(防水端末を)出しちゃうわけですから、やはり、リスクはありますよね。日本市場で求められているクオリティは、かなり高いものなので。そのあたり、たとえばLGなんかは日本でまず出して一定の評価を得ていて、「Optimus」なんてキャップレス防水の先陣を切って、うまくいったし。「isai」も特に何も問題が起きてないので。なので、今回それをせずに出すのが気になるところですね。

石川 しかも、今回はワールドワイドで出すわけだからね。

法林 出荷台数が違うよね。

石川 台数が多いので、相当大変なんじゃないかと、他のメーカーの人が言ってました(笑)。

 (笑)。

石野 防水って日本向け機能と言われてきたけど、今回、サムスンの発表会で防水対応ですと発表されたときに、「うわー」って盛り上がっていました。グローバルでは、防水機能はソニーががんばって続けてきましたが、一定の認知度を得たのかなと感じましたね。そういう意味では、日本向けの機能も、ちゃんと海外で受け入れられると、いえるのかもしれません。

 なるほど。ちなみに「GALAXY S5」は、フラッグシップモデルと考えた場合はどうなんですか?

石川 フラッグシップは現状、皆似たり寄ったりになってしまうので、個性は出にくくなってきていますよね。だからこそ、たとえばサムスン電子の「GALAXY Note3」やソニーの小さいプレミアムラインが活きてくる。各社、フラッグシップモデルは今後も作っていくでしょうが、そこから生まれる“派生モデル”でいかに個性を出していくかということが勝負になってくる気がします。

法林 そうですね。フラッグシップモデルの役割は、しっかりシリーズのイメージを高めることなんです。今回の日本での冬モデルでいえば「Xperia Z1」でイメージを高めて、「Xperia Z1 f」で刈り取る(注:ユーザーを獲得する)というようなスタイルが、世界的にも標準になっていくのかなと。たぶん、「iPhone」もそうだったんだろうけど、「5s」でイメージ高めて「5c」を売ると思っていたら、「5c」が思ったより高くて売れなくて…。そもそも、日本ではどちらも実質0円だし(笑)。

一同 (笑)

石野 「5c」は今後どうするんでしょうね。

法林 「5c」を今のうちに5色全部そろえとこうかな。次のモデルないかもしれないし。

存在感増すファーウェイ
レノボはブレイクするか!?

 Androidスマホ市場は成熟してきましたが、今後、ソニーとサムスン電子以外のメーカーがその牙城を崩す可能性はあるんでしょうか?

石野 ファーウェイは日本では全然ダメですけど、ヨーロッパでは存在感が増している。「Ascend P6」(注:日本未発売)は店頭での扱いもよく台数が出ていますし、2大メーカー、3大メーカーに食いつこうという努力が見える。機種も広がっているし…。ただ、まだ昔のファーウェイの面影が少し残っているのは気になりますが…。

石川 それでいうと、おもしろくなってきそうなのがレノボ。Googleからモトローラを買ったのが大きいし、日本から優秀な広報マンを送り込んで日本のプレス対応をしていたので、日本への参入もありそうだなと。当然、中国市場を狙っているのでしょうし、モトローラブランドを使って米国市場にも参入するのでしょう。モトローラの持っていた特許を使ってちゃんと作って、売れるというのは、ほかの中国メーカーにはできないことなので。

石野 ファーウェイも特許持っているけどね。

石川 レノボはブランドもある、特許もある、販路もある、キャリアとのコネクションもあるということを考えると、レノボ・モトローラ陣営はこれからおもしろくなりそうな存在ですね。

 以前、法林さんが「富士通とシャープはスマホのディスプレイでがんばっている」と仰ってましたが、今回ソニーとサムスン電子はそれを追随できなかったように見えます。これについては、どうでしょう?

法林 今回、ソニーかサムスン電子のどちらかのフラッグシップモデルが、(ディスプレイで)フルHDを超えてくると思っていたんですよ。だけど、蓋を開けてみたら超えてこなくて、意外でしたね。なんだ、まだダメなのかって。

石野 そしたら中国メーカーが(フルHD越えモデルを)出してしまった。それは、MWCとは関係ないんですけどね。

法林 そうそう。ディスプレイに関しては、結局、中小型の液晶や有機ELは高品質なモノを作っている会社があまりないので、まだ世界では争いにはならないんですよね。ただ、今年中にディスプレイでフルHDオーバーするものが、何機種か出てくるんだろうなというのは、なんとなく今回のMWCで感じ取れました。

石野 うん。

法林 4Kの動画が撮れますっていうけど、だったら次は10インチとか小型のタブレットとかで「4Kが見れます」って流れになるだろうし。

一同 (うなずく)

法林 あとファーウェイに関しては、個人的にがんばっているなと思っています。特に今回はデザインがグッとよくなってきている。もしかしたら日本人デザイナー効果が……!?

石野 あの人(注:ファーウェイの日本人デザイナー)の効果ですか(笑)。

法林 若干、そんな気がしなくはないんだけど(笑)、どちらにせよ全体的な仕上がり感が良くなった。あとは、怒られるかもしれないけど、ネーミングと会社のロゴ(が受け入れられるか)なのかなと。

石川 キャッチコピーと(笑)。

法林 あのへんが、ちょっとね。だけど、デザインがだいぶ良くなっているので、入り込む余地が出てきている。まあ、日本市場でどうかはまた別の話だけど。

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