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【法林岳之・石川温・石野純也の「モバイル座談会」-第20回-】

法林岳之、石川温、石野純也の3氏が語る、「スマホCPU、今後どうなる!?」

文●mobileASCII編集部、小林誠

2014年04月07日 07時55分

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スマホCPUといえばSnapdragon!
その牙城が崩れることはあるのか!?


 現状、日本におけるスマホCPUは、クアルコム社製のSnapdragonが一人勝ちという状態。はたして、今後、他メーカーが巻き返す可能性はあるのか? 3氏が、CPUの今後について語る。


ケータイライター

法林岳之氏

 ケータイ業界のご意見番的な存在。WEB媒体「ケータイWatch」の連載など、初心者にもわかりやすい解説でおなじみ。人気の「できるポケット」シリーズほか、著書も多数。


ケータイジャーナリスト

石川温氏

 スマ-トフォンなどモバイル情報について世界中を飛び回って取材し、テレビや雑誌、WEBなどで活躍中。週刊メルマガ「スマホ業界新聞」(http://ch.nicovideo.jp/226)を配信中。


ケータイジャーナリスト

石野純也氏

 宝島社で編集に携わり、数々のケータイ関連誌を立ち上げる。独立後はケータイジャーナリストとして関連業界を取材し、WEB、雑誌、新聞などの媒体で記事を執筆。主な著書は『モバゲータウンがすごい理由』(マイナビ新書)など。

 

王者クアルコムに挑むのはどこ!?
MediaTekの急成長に注目!

編集部(以下、編) 今回はスマホやタブレットのCPUについて、お話をお伺いしたいと思います。日本では、かつてスマホのCPUとしてNDIVIA社のTegraやはテキサス・インスツルメンツ社のOMAPなどが採用されておりましたが、現状はクアルコム社のSnapdragonがほとんどです。まずは、そんなスマホCPUの歴史を振り返っていただきたいと思います。

石野純也氏(以下、石野) Tegraは採用メーカーがほとんどないのが厳しい。「Tegra K1」はアーキテクチャをPC用のSoC(注:CPUやGPU、メモリなど複数のパーツをひとつにまとめたチップ)と同じにして、パワフルにしたこともあって採用するメーカーは出てくるみたいなんですが、スマートフォンではなく、採用されるであろうデバイスはタブレットやゲーム機。やはり、かつてモデムを持っていなかったのが、かなり響いている。GPUの出来はシェアにもう関係ない気がしている。

 なるほど。

20

「Tegra K1」は、ハイクオリティなPCゲームを駆動する能力を持つというが…。

石野 クアルコムが強いのは、3GやLTEのモデムをちゃんと押さえたからであって、インテルが今モバイルでダメなのも、理由がそこにある。MWCで測定器とか出展されているんですけど。たとえば、有名なところだとアンリツでしたっけ?

法林岳之氏(以下、法林) アンリツ(注:神奈川県の電子計測器メーカー)だね。

石野 ああいう測定器が、各国のキャリアのサーティファイ(注:認定)をするための試験用のプログラム一式を持っている。そこが対応しているモデムがクアルコムですとなれば、メーカーも楽だからクアルコムのものを使いましょうとなってしまう。NVIDIAがモデムを作っても、じゃあそれプログラムを書いてください、追加の費用がかかります、となって厳しい。元々、クアルコムは通信技術の会社だったというのがデカイのかなあと思います。

 やはり、そこがSnapdragonの強い理由ですね。

石野 ただし、現状レノボのスマホやタブレットが採用するチップって、台湾のMediaTekが多いんですよ。その中でフラッグシップモデルにはクアルコム社のものが採用されていて、そこをすごく強調していました。「なんでクアルコム、クアルコムって言っているんですか?」って聞いたら、広報さんが「うれしいんですよ、それが」って言ってました(笑)。

法林 (笑)。

石野 クアルコムのブランドが使えて、うれしいという感じだった。逆に言うと、レノボのシェアが伸びてきているけど、ほとんどのチップは非クアルコムということ。そう考えると、これから新興国市場が広がるという中で、クアルコムも悠長なことを言っていられないのかなと感じました。

一同 (うなずく)

石野 ただ、クアルコムも新興国市場は当然考えていて、Snapdragon410でトリプルSIMに対応するなど、その動きは今回のMWCで見えた。

石川 温氏(以下、石川) クアルコムが強いのは、プラットフォームと一緒になって開発するというところで、「Android」のリファレンスモデルもそうだし、それをベースに「Windows Phone」でも作れるようにするといっている。これから「Windows Phone」で逆転するチャンスとしても十分可能性はあるし、戦略が上手いなという気はしています。クアルコムは安く作る仕組みを準備しているので、プラットフォームと組み合わせて作っていくと、自ずとその選択肢になっていくのかな。

 クアルコムのSnapdragonって、日本ではLTEの普及とともに広がった印象があります。

石川 そうですね。そして、今のクアルコムのミッションはノキアがライセンスを持っているGSM(注:第2世代の通信方式。海外で普及)を、LTEにすることと言われています。GSMベースの端末はフィーチャーフォンばかりだから、乗り換えてもらうために安いプラットフォームをいくつも準備していると。

石野 そう。だけど、その安いところをMediaTekに取られている。

法林 クアルコムが強いのは変わらないと思うけど、下の市場がどうなるかわからないよね。かつてMediaTekが強くなるだろうと言われていたけど、ちゃんと製品が出ているし、気がつけば日本でも流通している。パソコンのCPUみたいにインテルがいて、対抗にAMDが一応いるけど……みたいになるのに結構な年数がかかっているので、まだ他にも対抗馬は出てくるんじゃないのかなとは思いますけどね。

一同 (うなずく)

20

日本では発売されていないが、レノボのスマートフォンS930はCPUにMediaTekを採用している。

法林 Firefoxの25ドルスマホとかもそうだし。昔と違って、チップを作るのってファブレス(注:生産設備を持たない会社)が当たり前になっています。昔は、CPUを作るのに焼く工場が必要だったんだけど。

石野 今は全部ファブレスですもんね。

法林 うん、あとはそれがどれだけ政治的に動けて、ということになるだろうし。あとはMediaTekもそうだけど中国勢はどうしても、リアルに政治的な話が絡んでくる。米国が中国の通信機器を入れたくないみたいなね。そこら辺は読めないけど、対抗馬は今後も出てくる。それで、皆がそれぞれの生きる場所を見つけられれば、継続していくだろうし。

石野 そういった意味では、NVIDIAのTegraがハイエンドに振り切ったのは悪くないんですよ。

法林 インテルだって要注意というか、クアルコムに挑める一番手じゃないですか。勝てるかどうかは別ですけど、挑める立場にある。

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