ついにiOS向けにATOKがリリースされました。AppleはiOS 8で対応したサードパーティーキーボードに対して、日本人がこれだけ過剰反応することに対して、正確に理解してくれているでしょうか。
もしそうであるならば、Bluetoothキーボードでの利用や、文字入力をカーソル位置に表示する(インライン入力)といった、iOS標準の文字入力に閉じた仕様について、早く改善してくれることを期待します。しかしともあれ、まずはiOSでもATOKが使えるようになったこと対して、素直に歓迎したいと思います。
ATOK for iOS | |||
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価格 | 1500円 | 作者 | JUSTSYSTEMS CORPORATION |
バージョン | 1.0.1 | ファイル容量 | 68.4 MB |
カテゴリー | ユーティリティ | 評価 | (2.5) |
対応デバイス | 全機種 | 対応OS | iOS 8.0以降 |
筆者の入力デバイスへの愛情
筆者はキーボードやマウス、トラックパッドなど、入力デバイスに対して、やや強すぎる興味を持っています。スマートフォンは、入力デバイスがマルチタッチディスプレーになり、デバイスそのものが入力デバイスのような存在になったせいか、よりいっそう愛情を持って利用しています。
ケータイの頃からそうでしたが、よりスピーディーに正確に入力できるようになることにこだわり、それこそケータイにATOKが搭載されている機種を試したり、2タッチ入力(ポケベル打ち)に対応するケータイを慎重に選んだりしていたのが懐かしい思い出です。
スマートフォン時代になって、モバイルデバイスがハードウェア(組み込み)からソフトウェアの進化へと舵を切ったにも関わらず、iPhoneは文字入力に関して、そのカスタマイズ性などを実現してきませんでした。今回お話を伺った、ジャストシステムで開発を担当する入江賢治氏も、iOSのキーボードの自由度の低さからAndroidを選ぶ時期があったと言います。
なぜこれだけ文字入力にこだわるか、という理由は、本連載でも触れてきた通り、まだまだ文字を中心としたコミュニケーションの領域が大きいからでしょう。LINEやSMS、メール、Twitterなど、基本的に文字に依存しながらのコミュニケーションが続いています。
大きな必要性がそこに眠っているからこそ極めたい。ともすれば、文字を書く仕事という職業病的な部分もあるかもしれませんが。
iPhone 6 Plusの左右寄せテンキー秘話
ATOK for iOSは、パソコンのATOKと同様のATOK EV Engineを搭載したとのことです。変換スピードや精度、校正支援などの機能を、これまでのスマートフォン向けのATOKとは異なるレベルで搭載した、妥協のない性能を誇るそうです。
ただ、6月のWWDC14でiOS 8でキーボード拡張が実現するとの情報を得てからリサーチを始めたことから、開発期間は「実際のところ、非常に短かった」(入江氏)そうで、仕上がりによっては批判があってもリリースを延期するかもしれないというほど、スケジュールは逼迫した状況だったそうです。
そんななかで、開発に1つの問題があったそうです。それは、iPhone 6 Plusでのメモリー問題。
ご存じの通り、iPhone 6 Plusは画面サイズが1920×1080ピクセルに拡大されています。そこに起因して、iPhone 6などと同じサイズのキーボードを描画してしまうことで、メモリー不足に陥る事象があったそうです。そのためテンキーのサイズを小さくする必要があったため、幅寄せして移動できるようにしたとのこと。
しかし、そのおかげで筆者は、右手でiPhone 6 Plusを持ってフリック入力をすることができるようになったのです。テンキーを小さくした理由の部分は何とかしたい気がしますが……。