実測11Gbps超え!ドコモが5G通信の最新研究を公開

文●南田ゴウ

2015年11月26日 18時45分

 ドコモは11月26~27日、横須賀の同社R&Dセンターにて「DOCOMO R&D Open House 2015」を開催。次世代通信方式“5G”関連の最新技術など同社の研究成果を公開した。

 ドコモは7月22日に世界の主要ベンダー8社と行なっている第5世代移動通信方式(5G)に関する実験を拡大、計13社と実験や技術開発の推進で合意したと発表しているが、今回の技術公開はこれらベンダーとの共同研究の成果となる。DOCOMO R&D Open House 2015はドコモが研究開発中の技術を公開するイベントだが、今年は5G関連展示は複数の電波暗室を備えた別棟に集約して展示している。

 展示の冒頭、担当が5G開発の現状を解説。モバイル通信は10年ごとに大きな進化を果たしており、現在主流の4G(第4世代)LTEおよびLTE-Advancedは2020年以降に5Gに移行するロードマップが示された。ドコモの目標性能はピークデータレート10Gbps以上、無線区間の遅延は1ms以下、端末同時接続数100台など。現在は5G実験と要素技術検討段階で、今後は5Gの標準化を進めて2020年以降に商用化というプランだ。

モバイルワイヤレスアクセスの進化

ドコモの5G目標性能

5Gの主要技術

 5Gを構成する主要技術に含まれるのは、ソフトバンクグループのWireless City Planningが11月24日に実験試験局免許の取得を発表した「Massive MIMO」などの8要素。Massive MIMOは基地局のアンテナを増やすことで通信容量を拡大できる技術だ。

主要ベンダーとの研究状況

5Gのロードマップ

 電波暗室では15GHz帯の高周波数帯を用いたマルチビームMIMOにより受信時最大10Gbpsを超えるリアルタイム高速無線データ伝送を公開。ドコモとエリクソンと共同で進めるこの伝送実験は4ストリームのMIMO多重通信で実現している。今後は電波免許取得後に屋外実験を開始する予定。

 来場者の注目を集めていたのはノキアとの共同研究による5G通信による4Kストリーミング。8台の4Kテレビへの映像伝送のほか、5GのビームフォーミングをVRヘッドマウントディスプレーにより可視化するデモも行なわれた。

富士通との共同研究は超小型のスモールセル配置を想定した分散アンテナシステム。5Gにおいて早期割り当てが見込まれる3~6GHzの周波数での運用を想定する

ファーウェイとの共同研究は国際的に免許が不要な周波数帯(アンライセンス周波数帯)を用いたLTE通信デモ。11n比較で約1.6倍通信容量が向上

NECとの共同研究は5GHzの周波数帯を用いたMassive MIMO。最大16ストリームのマルチビーム多重実験が実施されている

ファーウェイと共同で中国で実施した2.3GHz帯を用いたマルチユーザーMIMO伝送実験の様子

サムスンデジタルシティ周辺公道では、高速移動環境における伝送実験を実施。時速60キロで移動時に最大2.59Gbpsの通信に成功


■関連サイト

mobileASCII.jp TOPページへ

mobile ASCII

Access Rankingアクセスランキング