マイナス10度より寒いと、いくら厚着をしても手足の末端が冷たくて痺れてくる。そんな時に便利なのが、電池やバッテリーを搭載するソックスやグローブ。デジタルガジェットではないが、今回は番外編と言うことでサーミック社のインナーソールとパワーグローブを使って、手足を保温する技を紹介しよう。
乾電池駆動で足裏を温めるインソールヒーター
マイナス10度を超えるところだと、靴下を重ねて履いても、寒さでつま先がびりびり痺れてくる。マイナス10度だと暖かい、なんて言う数千メートル級の高山に行く人はどうしているのだろうか。と思っていたら、電池やバッテリーで暖まる靴底を敷くことがあるという。確かに、USBアイテムなどで、ホッカイロのように使える製品があるのは知っているが、アウトドアで使えるとは思っていなかった。
そこで調べてみると、Therm-icというオーストリアの会社がいろいろと製品を出していた。ちょうど、1月にアイスクライミングの予定があったので、アルピニストも使っているというインソールヒーターを試してみることにした。今回はアウトドア用品の楽天ショップ「IDA-ONLINE」から撮影用の機材をお借りできた。
足と手を温める製品をチョイスするにあたって、グローブはバッテリー駆動のみだったため、インソールヒーターはあえて乾電池動作の製品にしてみた。
足の保温には「PowerPack Basic+ThermicSole ClassicSet」、電池ケースとインソールヒーターのセットで、価格は9504円(税込)となる。
足先のしびれがなくなりマイナス15度でも普通の状態に
インソールヒーターはそのまま靴の底に入れる。ケーブルが出ており、それを電池パックに接続すればいい。電源は電池パックでオンオフする。インソールヒーターは大きいので、自分の足のサイズに合わせてカットする。できれば、セットする靴のソールを外して、同じサイズにカットしよう。ソールははさみでカンタンに切ることができる。
後は、ケーブルが出ている面を下にして、靴にセットし、ケーブルを電池パックに接続すれば完了。電池パックは靴の後ろにクリップで装着する。このアイテムを使っているアルピニストの中には、80cmとか120cmの別売り延長コードを利用し、上着のポケットに電池ケースを入れている人がいる。好みの問題だろうが、ズボンの中を通すのが面倒だし、電池の重さも負担にならなそうなので靴に装着することにした。前日、室内でテストしたところ、電源をオンにするとすぐ靴の中が暖かくなった。そのままだとあっという間に汗をかいてしまいそうなレベル。
翌朝、さっそく氷壁でのアイスクライミングにチャレンジしてみた。今回は、長野県の岩根山荘の前に設置されたアイスツリーに伺った。気温はマイナス15度。晴れていたし風が穏やかだったので、太陽光に当たっていればなんとかなるが、日陰にいると防寒着を着込んでいても寒くなってくる。
さて、早速「PowerPack Basic+ThermicSole ClassicSet」を装着して動き回ってみた。特に熱くもならず、普通に動ける。あまり効果が体感できなかったので、片方の足を切ってみたら、あっという間につま先が痺れ始めた。インソールヒーター、すごい威力だったのだ。気温が低いので、熱いとは感じなかったのだが、あるのとないのではケタ違いの保温力だった。
靴に電池ケースをセットしているとは言え、歩くのはもちろん、アイスクライミング時にも支障はなかった。アイスクライミングは、登山靴にアイゼンという金属の刃を装着し、氷壁を蹴り込んで上っていくのだが、それでもケースが外れるようなことはなかった。まあ、ウェアをブーツの上にかぶせるので半分固定されているようなものなのだが。
駆動時間は気温や電池などの条件により、大きく異なる。海外サイトの情報によると、平均的な状況だと、真ん中のレベルで4時間ほどという。1日中持つとはいかないようだが、乾電池は手軽に安価に交換できるので、バッテリーより柔軟に運用できるとも言える。