Samsungに詰め寄るHuawei、中国では特許訴訟に勝利

文●ASCII.jp編集部

2017年04月13日 10時00分

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 3月中旬に満を持して最新のフラッグシップスマートフォン「Galaxy S8」を発表したSamsungだが、同社にとって風向きは必ずしも良好とは言えない。要因の一部がHuaweiだ。Huaweiは端末のシェア争いで猛攻をかけるだけでなく、4月初めには中国における訴訟でSamsungに勝訴を収めた。

MWC直後のバルセロナの空港では大々的に「HUAWEI P10」をアピールしていた

中国でSamsungに勝訴したHuawei

 訴訟はHuaweiが地元中国の福建省泉州市中級人民裁判所でSamsungを相手取って起こしていたもの。ここで同社は、Samsungが20機種以上のスマートフォンとタブレットで自社の特許を侵害したと主張、Samsungの中国での子会社3社を訴えていた。2016年5月のことだ。

 「20機種以上」には、Samsungのフラッグシップ「Galaxy S7」も含まれているという。特許はアイコンやウィジェットのデザインやレイアウトなどユーザーインターフェイス(UI)が関係した特許のようだ。Huaweiは該当する製品の販売台数を3000万台とし、これに対して損害賠償を求めていた。

 今回、裁判所はこの主張を大筋で聞き入れ、Samsungに対し損害賠償金として8千万人民元(約13億円)の支払いを命じた。HuaweiはApple、Googleに対しても同様の訴訟を起こしているようだ。

 Reutersなどの報道によると、Samsungは提訴された後に、北京の知財権裁判所でHuaweiを反訴しているという。2社はこのほか、米カリフォルニア北部連邦地方裁判所、深センの人民裁判所でも戦っており、ここでは4G通信が関連した特許が含まれる模様だ。

Huaweiの特許出願件数はZTEに次いで2位

 一方で、Huaweiは英国では、特許料の支払いが求められている。Samsungとの訴訟の判決がおりたのとほぼ同時期、英国のイングランド・ウェールズ高等法院はHuaweiに対し、英国だけでなく、世界で販売するスマートフォンに対してライセンス料を支払うようにと命じた。

 これは、米国の特許保有会社であるUnwired Planetが自社がもつ特許に対するライセンスの支払いについて、どの地域を対象とするかでHuaweiと争っていたもの。裁判所は今回、英国のみとするHuaweiの訴えを退けて、世界ベースとするUnwired Planetの主張を支持した。特許は4Gに関するもので、同社が以前にEricssonなどから取得したFRAND(公平で、合理的、かつ非差別的な条件)特許と言われている。Unwired PlanetはGoogle、Samsungに対しても特許侵害で訴訟を起こしていたようだ。

 スマートフォンは訴訟の多い市場だが、特にスマートフォンで携帯電話市場に参入した新興ベンダーは、スマートフォンでの特許戦争に巻き込まれないために多数の特許を保有することで防御できる。これによりクロスライセンスが可能になるからだ。

 Huaweiは2016年に3700件近い国際特許を出願している。これは同じ中国のZTEに次ぐ数となる。

マーケティング強化、端末側ではAI、VR

 Huaweiは世界スマートフォン市場でNo.3の地位を揺るぎないもものにし、いよいよ2位に向けて歩みを進めることになる。スマートフォン事業を率いるRichard Yu氏は、「今後1~2年でAppleを超える」と宣言してはばからない。言葉通りになれば、早ければ今年ということになる。

 もっとも台数でAppleを超えることができても、Appleは最後の敵。射程距離にはSamsungがあるはずだ。Samsungは自社と同じAndroidベンダーであり、ソフトウェアとハードウェアすべてを手がけるAppleに対してSamsungの方がHuaweiと立ち位置が類似している。実際、ゆくゆくはSamsungはHuaweiに越されるという見方をするアナリストもいる。CNBCはDrexel Hamiltonのアナリスト、Brian White氏の「将来的に中国勢がSamsungを倒すだろう。そして、それはおそらくはHuaweiになる」との見解をレポートしている。

 だがスマートフォン市場そのものが転機を迎えているだけに、”イケイケ”でやってきたHuaweiもこのまま順調に端末事業を拡大できるのかはわからない。

 Huaweiは3月31日、2016年通年の監査後業績を発表した(Huaweiは非公開企業なので、業績を公開する義務はない)。それによると、2016年度の同社の全体の売上は前年比32%増の5216億人民元(約8兆7316億円)、だが371億人民元に到達した純利益の伸びは、前年比でわずか0.4%増に止まっている。

 同社はコンシューマー向けの端末事業のほかにネットワーク、法人(ICTソリューション)の3つの事業の柱を持ち、最も大きいのはネットワーク事業で、全体の55%を占めている。

 端末事業は前年から43.6%増加し、1798億800万人民元(約4兆円)に。出荷台数は前年同期比29%増の1億3900万台到達を発表している。なお、この業績発表前の2月末、コンシューマー事業の利益が社内で設定していた目標に達しなかったと、Reutersが報じている。

 純利益が伸びなかった一因が、マーケティングだろう。Androidスマートフォンはスペック、デザインともに大きな差別化を測ることが難しく、マーケティングにどれだけ投資できるかが成否を分ける。Samsungに並んで、世界中の主要空港などで展開しており、2016年、HUAWEI P9で初めてグローバルでのマーケティングキャンペーンを実施した。欧州のオペレーター39社と組んだジョイントマーケティングも展開した。

 しかし、スマートフォン市場そのものの成長が鈍化する中、マーケティングだけでは長期的な成長は図れない。Samsungの背中を見てきたHuaweiは、そのことを熟知しているはずだ。端末部門トップのYu氏は以前、Financial Timesの取材に対し、デザイン、それにAIやVRといった新しい技術の取り込みを考えていると語っている。


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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