「Emoji」に親しみつつ、感じる音文字の可能性

文●ASCII.jp編集部

2017年05月18日 17時00分

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 絵文字は「Emoji」として、米国をはじめとする世界中で日常的に使われるようになりました。日本で1999年に使われ始めた絵文字は、白黒の液晶でもきちんと識別できるようにデザインされていましたが、スマートフォンで用いられるようになった現在は、文字と言うよりも、ほぼイラストと言うべき存在に進化しています。

 筆者のお気に入りは、Emojiに関するニュースを扱っているウェブサイト「Emojipedia」と、そのTwitterアカウント(@emojipedia)です。日々、絵文字に関するニュースや、最新機種やOS、Unicodeでの絵文字の実装状況などを知ることができます。

筆者お気に入りのEmoji情報サイトの「Emojipedia」

 原稿執筆時点で一番上に固定されているTwitterの投稿は、2017年に追加される最新の絵文字のまとめビデオ。カーリングの石や、アメリカでは定番の中華のテイクアウトのボックス、ブロッコリーなんかも2017年の新作なんですね。

 Appleは絵文字をコミュニケーションの中でより円滑に利用できるように、メッセージアプリに入力した文章の中で、絵文字に変換できる単語にマークを付け、絵文字混じりの文章を手軽に作れるようになりました。

 日本語入力を使っていると、単語入力中に絵文字が候補に挙がってくるので、入力しながら絵文字混じりの文章を作ることができます。英文でも推測候補が出てくるのですが、やはり一度文章を作ってから絵文字に変える方が効率的、ということでしょうか。

 ちなみに、「I got an apple.」という文章では、「apple」の部分をリンゴの絵文字に変換できます。もっと入力システムが賢くなると、「I bring some apples」と書いたら、「some apples」の部分をリンゴの絵文字3つに変えてくれる、見たいなことができるようになるのでしょうか。

英語圏でのEmojiのさらなる効率的な入力方法は開発されるのでしょうか?

サウンドロゴとコミュニケーション

 筆者は大学時代に、広告表現の授業を履修したことがあります。その授業の中でサウンドロゴについて扱われてたことを記憶しています。サウンドロゴは、商品名や企業名を識別できる短い音のことで、個人的には日本のテレビのほうが、アメリカよりも発達しているような印象を持っています。

 アメリカのテクノロジー業界ですぐに思い浮かぶサウンドロゴは、Intelのものです。IntelのCMはもちろん、それを採用しているPCメーカーのコマーシャルでも流れるため、耳にする頻度も高いと思います。なんとなく最近は不明瞭になっている気もしますが、一応PC向けのプロセッサも競争がありますので。

 マクドナルドも、サウンドロゴが定着しました。日本では、ポテトが揚がる音まで、マクドナルドのものだと印象づけられています。香りや味、満腹感と言った音以外の感覚までセットで記憶させられるため、サウンドロゴとしては強敵ですね。

 携帯電話で言えば、端末メーカーのNokiaや、米国の携帯キャリアT-Mobileが、共通の着信音を導入していました。絵文字をiPhoneに取り入れたAppleは、意外とサウンドロゴをコミュニケーションに活用していませんね。Macの起動音も広告でガンガン流しているわけでもありませんし、iPhoneは起動音がしませんし。

 ただ、iPhoneの標準の着信音(オープニング)やメッセージ音(トライトーン)は、多くの人が「メッセージが届いた」と認識する音になっています。内蔵されているサウンドもだいぶ増えていますし、iPhoneの場合、無料の音楽制作アプリ「GarageBand」を導入すれば、自分で着信音をiPhoneで作ることもできますので、人と違う音にして識別することも、そんなに難しくありません。

識別と音声入力デバイス

 さて、我が家には、Amazon EchoとGoogle Homeという2つの音声アシスタントデバイスがあります。これらにはディスプレイがないため、すべての操作を声で行なわなければなりません。

 最近、Amazon Echo Showという7インチディスプレイを搭載したデバイスが登場し、音声アシスタントに画面が付きました。ビデオチャットや映像ニュースを楽しむ事ができる機能性質が追加された反面、やはり音声だけでのコンピューティングでその用途を拡大していくには、まだ厳しかったのではないか、という印象も受けます。

 音声アシスタントデバイスを使っていると、いろいろな問題に直面します。基本的には少し離れたところから呼びかけるため、同じことを言っても、周囲のノイズによってはうまく認識しないことも多々あります。

 たとえばタイマーを設定するときも、必ずしも同じ言葉で呼びかける必要はありません。日本語に直すと「5分のタイマーを設定」でも「5分計って」でも、同じ意味として、5分間のタイマーをセットしてくれます。ただ、前述のノイズなどの環境と、筆者の非ネイティブの発音の組み合わせは、人工知能には違う言葉に届いてしまうことがあり、やはり難しい部分があります。

「絵文字+音」というアイディア

 日々、絵文字と音声デバイスを使っている中で、もう少し音を、コミュニケーションやコンピューティングに生かすことはできないか、というのが今日の本題です。

 3つの音階のパターンでコマンドを与えられたり、何かの状況や動作を、音階のパターンでフィードバックしたり、といった可能性はないかという話です。

 もちろん、言語の方が音としては情報量が多く優れている事は間違いありません。

 たとえば音声デバイスを操作するとき、前述の例に挙げたタイマーの場合、言葉なら正確に時間の長さを告げられますが、鼻歌の3音階で時間の長さをどうやって鼻歌で表現するのか。その表現方法の音のコードを覚える方が難しいのです。

 他方で、緊急地震速報が不安と緊急性を両立させるトーンに設計してあるように、音のパターンにもその意味合いや、もっと簡単に言えば雰囲気を盛りこむことができます。文字や言葉で説明するよりも、より直感的な伝達方法になるでしょう。

 一方的に伝えられるだけではなく、自分も音で発信する場面が、今後のコミュニケーションやコンピューティングに表れるのではないかと可能性を感じています。

直近の問題解決としての絵文字+音

 筆者はウォーキングして職場に向かうとき、ワイヤレスヘッドフォンをしています。一般的にはスマートフォンはポケットに入れる人が多いのですが、実際にはカバンにしまった方が邪魔にならず、歩きやすいです。そのため、なにかメッセージが届いたり、音声着信があった場合は、ヘッドフォンだけで操作してメッセージを音声で聴いたり、着信に応えたりしています。

 音声アシスタントと同様に、スマートフォンを音だけで使う場面が1日の中で少なからずあります。

 もちろんテキストのメッセージは、短いものが多く、雰囲気や意味合いなどを精査しなくても、正しく返信ができることが多いです。ただし、絵文字はときどき言葉のニュアンスを和らげたり、楽しさを伝えたりするために使われますが、これを音声で聴いたところで、いまいちその効果を正しく受け取ることができません。

 たとえば「今度行こう(クラッカーの絵文字)」というメッセージを受け取って、文字の部分だけ読み上げられたら、「あれ、あんまり乗り気じゃないのかな」と受け取るかもしれません。「クラッカー」と読み上げられても、声のトーンがいっしょなら、さほど盛り上がっている感もありません。

 耳だけで絵文字入りのメッセージを受け取る時、絵文字の雰囲気に合わせた効果音が鳴ると、耳でメッセージを聞くときにも、正しくニュアンスを受け取ることができるのになと思うわけです。

 増え続ける絵文字の1つずつに、そのニュアンスを反映する音を付けるというのは、想像以上に大変です。食べ物もたくさんあって、おでんの音、アボカドの音ってなんだろう、という話になってくるわけで。

 今のところは、音声で読み上げられる絵文字を、脳内で絵柄に変換して理解する、という一定の処理が必要ですが、これがもっと直感的になると、画面を見ながらのコミュニケーションでも音を楽しむような、そんなメッセージングの世界が訪れるかもしれません。

 そして、このことは、音声のみで利用するコンピュータの可能性や実用性を、より大きく拡げることになるはず。できれば、絵文字ならぬ「音文字」も、日本からグローバルスタンダードへと押し上げられる文化になると良いですね。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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