Facebookメッセンジャーに感じる素朴な疑問とiMessageがずるいところ

文●松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

2017年07月15日 12時00分

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Facebookのイベントにて。メッセンジャーのユーザー数が12億人であることをアピール

 筆者は2011年に米国に引っ越してきました。そのため、日本主体のモバイルアプリやコミュニケーションのスタンダードが、その段階で止まっているのです。

 具体的に困っているのは、LINEをまったく使わないということです。

 もちろん、日本で多くの友人がLINEでつながっていることは知っています。ただ、同世代の友人たちがLINEを使い始める前に米国に来てしまったので、彼らのフレンドリスト、もしくはアクティブなトークを続けるユーザーのリストの中に、筆者の名前はないのです。

 また、米国でLINEユーザーを見つけるのは至難の業です。同じアパートに住んでいるAndroidユーザーの夫婦は、「夫婦と他の友達とのコミュニケーションを分けたいから」という理由でLINEを使っているそうです。

AppleのiMessageがずるいところ

 彼らはAndroidユーザーですが、もしiPhoneを購入していれば「iMessageを使っていると思う」と答えています。iMessageはSMS、米国ではTextという、電話番号を使ったシンプルな文字のメッセージのやりとりです。

 Appleはこれを拡張して、1通いくらという料金ではなくデータ通信を用い、強力な暗号化を追加しつつ、写真やビデオをやりとりできる仕組みとして出発しました。

 iMessageがずるいのは、米国で今でも使われているSMSと同じ標準アプリとインターフェースで利用できる点です。iPhone以外の人にはSMSとして送られ、iPhoneが相手ならiMessage。送信するときの吹き出しの色以外、メッセージのやりとりに違いがありません。

 そこに、LINE発で人気が出たスタンプ(iMessageではステッカー)やアプリの機能、情報を添付する仕組みを整えて、開発者が利用できるプラットホームへと仕立てました。

 たとえば先日Amazonに買収された、Whole Foods MarketのiPhoneアプリにもステッカーが含まれていて、コミュニケーションに利用できます。もし相手がWhole Foodsのアプリを持っていなければ、ステッカーの下のリンクからダウンロードを促すことができます。

 もし魅力的なステッカーをアプリに含めることができれば、iMessageのコミュニケーション上でアプリのマーケティングができるようになり、これはアイディアだなと感じています。それも含めて「iMessageはずるい」(うまい)な、と思うわけです。

Facebookメッセンジャーは12億人のプラットホーム

 さて、日本人では前述のとおり、LINEが主要なメッセージングアプリです。英語圏ではWhatsAppやFacebookメッセンジャーが主要なメッセージングアプリとして活用されています。

 米国でも中国人はWeChat。しかも、ほとんどの人が、スマホに向かって喋りながらチャットをしています。同じアパートに住んでいる中国からの留学生に話を聞いてみると、中国語をキーボードで入力するのが面倒くさいから、音声をそのまま送信しているそうです。

 もちろん今のスマホには中国語の音声認識機能もあるはずなのですが、その精度が良くなかった頃から、声で直接送るというコミュニケーションが根付いているようで、チャット画面に話しかけるスタイルが定着したんじゃないかと話していました。

 さて、アメリカのメッセージングアプリの主流であるFacebookメッセンジャーは、本連載でレポートしたFacebookの開発者会議「F8」でもその取り組みが伝えられているとおり、Messenger Platformなるものを昨年から立ち上げています。

 Messenger Platformでは、開発者がボットを中心として、チャットのスクリーンでの情報提供やサービス提供、あるいはオンラインショッピングなどを展開できるようにする仕組みが作れるようになっています。

 メッセージングアプリのプラットホーム化は、WeChatやLINEなどを横見に見ながらのキャッチアップといえます。またAppleもiMessageのアプリ対応やビジネス向けのアカウントの発行などの新機能を出し、さまざまなアプリやサービスが、対話型インターフェースに移行していく流れが1つのトレンドになっています。

 Facebookはメッセンジャーも、月間アクティブユーザーが12億人を突破しています。

 最近ではしばしば、「FacebookよりInstagramの方が良い」とFacebook疲れからInstagramをメインに使っているユーザーを見かけますが、実はInstagramもFacebookのアプリであり、Facebookのプラットホームから逃れているわけではありません。

 メッセンジャーも同じこと。FacebookやInstagramはしないけど、メッセンジャーは活用している、あるいはFacebookのニュースフィードはさほど見てないけど、メッセンジャーでは毎日コミュニケーションを取っているという人も、結果的にはFacebookのプラットホームの中にいるわけです。

 FacebookがなんとしてでもSnapchatを買収したかった理由もそこにあります。FacebookやInstagramなんて使わないよというSnapchatユーザーが、Facebookプラットホームの中にいる状態を作りたかったわけです。

しかし、メッセンジャーは悪い方向に発展している

 筆者もFacebookのアプリ自体は、土日にちょっと見る程度になってしまいました。

 本来であれば、その理由について自分で分析したいところですが、とりあえずここでは「どういうわけか、そうなった」程度にしておきたいと思います。というのも、あまり深い理由があったり、Facebookに疲れたとか、嫌なことがあったとか、きっかけとなる出来事があったわけではないのです。

 しかし、メッセンジャーは毎日使っています。iPhoneやiPadにはメッセンジャーアプリがありますし、パソコンでも「m.me」にアクセスすると、メッセンジャーだけのページが開き、モバイルアプリのように利用する事ができて便利です。

 そんなメッセンジャーですが、iPhoneアプリについては、最近不満が多くなってきました。本来のメッセージングの使い勝手の良さがおろそかになってきていると感じているからです。

 そう思い始めた大きなきっかけは、MyDayという機能の搭載の時でした。MyDayは簡単に言えば、Snapchatのストーリーのマネです。写真やビデオを24時間だけ友達に見せることができるビジュアルのステイタスメッセージみたいなものです。

 いや、それはInstagramも盛大にマネしてうまくいっているんじゃないかと思われるかもしれませんが、“なぜか”メッセンジャーにも同じ機能が搭載されているのです。

 そのせいで、ユーザー体験に問題が起きました。

 メッセンジャーのチャットリストの画面の下部、中央にカメラボタンが配置され、間違って押してしまうと必要のないカメラ起動が起きてしまいます。

 また、最新バージョンでは改善されていましたが、多くのアプリで下に引っ張り下げて最新情報を読み込むというジェスチャーが採用されていますが、一時期までのメッセンジャーでは、下に引っ張り下げるとカメラが起動してしまったのです。

 個人的には、メッセンジャーはメッセージをやりとりしたいだけで、写真を撮るために利用するものではないと思っていたので、この「カメラ推し」の改変は非常に不満が募りました。まあ確かに写真をメッセージで送ることもありますが。

 そして7月から、Facebookはメッセンジャーのアプリでのディスプレイ広告のベータテストを世界展開することになりました。いままで友人の名前が並んでいたはずのメッセンジャーのリストに、企業広告が入るようになるということです。

 もちろんFacebookが広告によってビジネスをしていることを否定するわけではありません。また、企業とのメッセージでのやりとりはあり得ると思いますし、その対話のきっかけに広告があっても良いでしょう。

 ただ、ここには非常に高い精度が求められます。少しでも違和感のある広告が入った瞬間、メッセンジャーの雰囲気はぶち壊しになってしまうでしょう。

 なぜなら、友人との間で交わしているプライベートな空間だからです。広告も自分で取りいれることは良しとしますし、センスが合えばOKでしょうが、勝手に入ってきたものがずれていたら、メッセンジャーという場とその企業のイメージは台無しになってしまいます。

 それも含めて「iMessageはずるいな」ということで。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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