峠を越えつつある山火事と、空気の問題

文●松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

2017年10月17日 17時15分

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先週木曜日の午後のバークレー。ナパやソノマの山火事の煙が谷間に蓄積し、そこに北風が吹き、ちょうど谷間から南方向に吹き出し口のようにして流れてきた結果、昼間でも太陽を肉眼で直接見られるほどの厚さになっていました

 日本でも大きく報じられているナパバレーやソノマバレーの山火事。まだまだ燃え続けている状況でその被害も拡大しており、亡くなった人は40人に上り、サンタローサ、ナパ、ソノマなどの都市に大きな被害が出ました。

 本連載でご紹介したグレンエレンもソノマ地域とつながって大きな被害エリアとなっており、おそらく筆者が滞在したグレンエレンのバケーションハウスも、残っているかどうかわかりません。

 ただし、沈静化の兆しも見え始めているようです。地元のニュースでは、対処に当たっている消防士から、「峠が越えつつある」との見方が聞こえ始めました。

 山火事のニュースで使われる「contained」という単語は、山火事の制圧率を表しており、パーセントの数字とセットで使われます。各所の制圧率を見てみると、7ヵ所中の5ヵ所が50%を超えてきました。もちろんこれから新たな火事が発生する可能性もあるため、油断はできません。

 拡大し続ける被害に、ただただショックを覚えるしかないのですが、救援物資や募金も集まっており、その仕分けのボランティアも稼動し始めています。

深刻になってきた大気汚染

 カリフォルニア州サンフランシスコ湾のエリアは「サンフランシスコ・ベイエリア」や単に「ベイエリア」と呼ばれています。その湾をぐるりと囲む地域ごとに名前がついています。

 サンフランシスコからシリコンバレーのエリアはペニンシュラ、サンノゼなどを含むシリコンバレーの南部の地域はサウスベイ、オークランドや筆者の住むバークレーのエリアはイーストベイ、そして今回の山火事が発生した地域はノースベイから北の地域です。

 サンフランシスコからナパやソノマはだいたい70〜80kmの距離がありますが、この地域一帯で発生した煙が、先週、一気に南に押し寄せてきたのです。先週頭の段階から、バークレーではすでに若干焦げ臭いニオイがし始めていましたが、金曜日には空全体を煙が覆い、昼間でも太陽を遮るような厚さになってしまいました。

 日本ではインフルエンザや花粉症などのシーズンに、街中でマスクをしている人を見かけますが、バークレーでは滅多に見かけることはありませんでした。しかし街中のドラッグストアでマスクが売り切れ、街中でもマスク姿の人がほとんどになるほど。

 特に子供がいる家庭や学校では、この大気汚染には敏感に反応しており、子供が参加する屋外の活動やイベントは軒並み中止され、家の中窓を開けないようにしたり、空気清浄機を用いたり、車に乗るときは内気循環にするなどのアドバイスが報じられました。 Bloombergでは「サンフランシスコの空気の質は北京に匹敵する」(https://www.bloomberg.com/news/articles/2017-10-13/san-francisco-air-quality-matches-beijing-s-as-wildfires-burn)と、山火事によって大気汚染が進んでいる様子を報じていました。

空気の状況を知るための情報

 そうした注意喚起とともに共有されるいくつかのウェブサイトでは、空気の状況をリアルタイムで知ることができました。

 米国環境保護局(EPA)のウェブサイト「AirNow」では6段階で空気の質を表しており、金曜日の段階では「Unhealthy」という赤い表示が広がってしまっていました(https://airnow.gov/index.cfm?action=airnow.local_city&cityid=317)。

 ただ、このAirNowですが、先週末はアクセスする人が多すぎたのか、うまくマップを表示できない状況が続いていて、多くの人たちが空気の状況を知ろうとしていたのではないかと推測しています。

 Weather Bugというウェブサイトでも、EPAが定める基準(AQI、Air Quality Index)の空気の質を見ることができます。10月16日の朝の段階でバークレーはやはり「Unhealthy」(153)でした。ちなみにAQIは、オゾン、PM、一酸化炭素、二酸化硫黄、二酸化窒素の物質の含有量で割り出しているそうです(https://weather.weatherbug.com/life/air-quality/berkeley-ca-94704)。

 Weather Undergroundでは、AQIに加えて、何の汚染が進んでいるかを表示してくれますが、それによるとPM2.5が汚染の原因の中心だとわかります(https://www.wunderground.com/us/ca/berkeley/zmw:94701.1.99999/health?cm_ven=localwx_modaq&hdf=1)。

Weather Undergroundの空気の質の情報。米国環境保護局(EPA)の基準、AQIを用いています

 また、AQIの予想も見ることができ、火曜、水曜までは注意が必要ですが、木曜日には改善するとの予想です。ちなみに木曜日の夜から金曜日にかけては、弱い雨が予想されています。

マップとの組み合わせで情報を提供するサイトも多数

 こうした数字と予想とともに、マップも活用できます。

 イスラエルの企業BreezoMeterは、世界中の空気の質のデータをAPIで提供しており、ウェブサイトではマップを見ることができます(https://breezometer.com/air-quality-map/)。

BrezoMeterによる空気の質のマッピング。キャプチャを撮った10/16午前中、バークレーはオレンジのエリアにさしかかっています

 10月16日月曜日の段階のマップを見ると、山火事エリアであるナパバレー、ソノマバレー、サンタローサを中心に、BreezoMeter独自の空気の質を示すスコアは「ゼロ」。米国EPAの基準では最悪の500を示しています。ちょうど風が弱まっていることから、山火事の制圧には好都合ですが、空気はそこに固まって動かなくなっている状況がわかります。

 そこで、風の状況をアニメーションで表示してくれるWindy.comを見てみると、確かに、10月16日の午前中は、ほとんど風がない状態で、溜まった煙がそこに留まっていることがわかります(https://www.windy.com/?38.043,-122.480,10)。風向きの予測で、煙がいつ流れてくるかを把握することもできます。

風の現状と予測をマッピングできるWindy.comとBrezoMeterのマップを組み合わせると、自分のエリアにどのようなタイミングで煙が流れ込みそうかがわかります

 当面強い風は吹かないようですが、どちらかというと西風が吹き、火災地域の東側のエリアに注意が必要です。ただ、サンフランシスコ方面に流れ込むのと違い、丘を越えて流れていくことから、地表面の空気の質が急激に悪くなることは避けられるかもしれません。 また、風が弱い今週、山火事の制圧が進んでいくことに期待しています。少しでも雨が降れば良いのですが。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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