松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」

ブラックフライデーからサイバーマンデーに アメリカで爆買いが発生するホリデーシーズン (1/2)

文●松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

2017年11月23日 09時00分

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今はアメリカのECサイトもブラックフライデー一色です

 アメリカで暮らしていると、11月以降の2ヵ月は本当にゆったりとした空気が流れるようになります。その本番と言えるのが、今週のサンクスギビング(感謝祭)です。

 アメリカではサンクスギビング当日は11月の第4木曜日に設定されており、今年は11月23日。時差はありますが、日本も勤労感謝の日で祝日ですね。日本の場合、休みの日だけが休みなのですが、アメリカのサンクスギビングはその前の週の金曜日頃から休みの人が増え始めて、週明けの月曜日まで10日ほど休暇にしてしまう人もいます。

 ちょうど6年前の11月に米国に来た当初、「サンクスギビングは街中が休みになるけど、直前の水曜はどこもものすごく混むから、買い物は火曜日には済ませておいた方がいい」と言われました。その忠告は正しかったのですが、その前の月曜日もスーパーマーケットは十分混んでいました。

ブラックフライデーを飲み込むサイバーマンデー

 さて、感謝祭の翌日の金曜日(つまり今年は11月24日)は「ブラックフライデー」と呼ばれる大セールの日です。店によっては金曜日の午前0時に開店し、セール品の争奪戦が深夜から展開されます。ブラックフライデーのブラックは黒いインクのことで、年末商戦の黒字を作りにいく契機みたいな位置づけととらえておけばよいでしょう。

 2005年にShop.orgが使い始めた言葉が「サイバーマンデー」。ブラックフライデーの次の月曜日にオンラインショッピングの売上が急増することに由来しているそうです。ブラックフライデーで手に入らなかったものをオンラインで、という流れが想像できます。

 とはいえ、感謝祭は家族でゆったりとターキーを楽しむ人も多く、そんな団らんの夜に出かけていって寒空の下行列を作るのはちょっと……と考える人がいるのも当然です。

 加えて、一家団らん中でも、スマートフォンやタブレットで買い物ができるため、最初からオンラインで済ませれば良いじゃないかと。こうして、サイバーマンデー以前のブラックフライデーからオンラインのセールを楽しむ人が多くなっているようです。

2017年のブラックフライデーのお目当てはなにか?

 さて、デジタル製品における今年のブラックフライデー・サイバーマンデーの目玉商品は何でしょうか。

 スマートフォンについては、iPhoneやAndroidスマートフォンが通信会社のショップや家電量販店などでセールとなる場合が多いのですが、iPad ProやMacBook ProといったタブレットやノートPCの方が150ドル以上の値引きがあって、お得感が高いように思います。

 またスマートスピーカーは、Amazon Echo DotやGoogle Home Miniといった小型モデルが30ドルという価格になり、家に1つではなく複数個設置してもらう契機にしようとしています。

 またPlay Station 4やXbox Oneといったゲーム機も100ドルほどの割引きになっていますが、2017年の大ヒット製品で品切れ続出のニンテンドースイッチが「セール」のリストに載ることはまずありません。

 そのほかには4K対応テレビやセットトップボックス、スマートホーム製品なども一様にセールになっているのですが、今年を代表するガジェットかと言われるとそういうわけでもなく、値引きセールを購入のきっかけにするといった程度の注目度ではないでしょうか。

 このように方向感に欠ける印象が、2017年のブラックフライデーのデジタル機器のセールといったところです。

 iPhone Xやニンテンドースイッチのように、多くの人々が手に入れたい製品は品薄でセールにならないうえ、これらの製品は「代わりが効かない」決め打ちで購入するものであることから、「安いから選ぶ」という意識が働かないのではないでしょうか。

 特にiPhone Xは1000ドル以上の価格と安くないことも、財布の紐を固くしているような気がします。

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