AI処理が3倍高速化&DSDVサポートのSnapdragon 845搭載機は2018年初頭に登場か

文●石野純也 編集●ゆうこば

2017年12月07日 15時30分

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Snapdragon 845。サイズは100円玉より一回り小さい

 名称や外観が先行して発表された、クアルコムのハイエンド向けチップセット「Snapdragon 845」。その全貌が、米ハワイで開催中のSnapdragon Tech Summitの2日目(12月6日、現地時間)に明かされた。

 Snapdragon 845は、現行のSnapdragon 835を正常進化させたSoC(System on Chip)で、AIの処理能力が3倍に向上。CPUやGPUも進化しており、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、MR(複合現実)などの技術を、より取り込みやすくなっている。

Snapdragon 845は835と比べてAIの処理が3倍高速化

 まずは、SoCの構成を見ていこう。Snapdragon 845は、CPUにクアルコムがARMのCortexに独自カスタマイズを施した「Kryo 385」を採用。パフォーマンスを担う最大2.8GHz駆動のコアが4つ、省電力用となる1.8GHzのコアが4つのオクタコア構成で、前者が25~30%、後者が15%、Snapdragon 835より性能が向上しているという。

 製造プロセスルールは、Snapdragon 835のときと同様、10nm FINFET。サムスン電子が製造を担当するのは、12月5日(現地時間)に明らかになったとおりだ。

「Kryo 385」や「Adreno 630」「Hexagon 685 DSP」「X20 LTE modem」などで構成される、SoC(System on Chip)
CPUのパフォーマンスは、最大で30%向上している

 GPUには、グラフィックスの処理能力が30%向上しながら、同時に消費電力を30%低減した、「Adreno 630」を採用。カメラの映像処理には「Spectra 280 ISP(Image Signal Processor)」を、DSP(Digital Signal Processor)には「Hexagon 685 DSP」を採用。

 ネットワーク性能も向上しいており、モデムには下り最大1.2GbpsのLTE-Advancedに対応した「Snapdragon X20 LTE modem」を搭載する。

GPUは性能、省電力性ともに30%性能が上がった「Adreno 630」
ISPには、「Spectra 280 ISP」を採用する
モデムは下り最大1.2Gbps対応の「Snapdragon X20 LTE modem」

 Snapdragon 835比で3倍高速化したというAIの処理は、CPU、GPUとDSPが担う。ファーウェイ傘下のハイシリコンが開発した「Kirin 970」のように、AIに特化したNPU(Neural network Processing Unit)を搭載しているわけではなく、用途に合わせて最適なチップを使い分けていくというのがクアルコムの方針だ。

 元々、Snapdragonでは、グーグルの「TensorFlow」、フェイスブックの「Caffe/Caffe2」を採用していたが、新たにTensorFlow Lite、Open Neural Network Exchange(ONNX)もサポート。グーグルのAndroid NN APIにも対応する。

機械学習の処理にはCPU、GPU、DSPを使い、その性能は最大で3倍向上しているという
対応する機械学習のライブラリも、大幅に拡充された

 こうした機械学習のライブラリーを、CPU、GPU、DSPで処理することで、カメラのシーン認識をしたり、被写体の背景にボケ効果を加えたり、音声認識の精度を上げたりできる。

 クアルコムによると、過去にはモトローラがランドマーク・ディテクション(特定の景色や建物を特定する機能で、Moto X4に搭載)に、OPPOが顔認証やカメラに、同社の機械学習処理エンジンを活用しているという。こうした機能が、Snapdragon 845では、より高速に動作する可能性がありそうだ。

機械学習を用いることで、さまざまな機能が実現する
モトローラやOPPOなどのメーカーが、クアルコムのエンジンを使ってきた

最高2K解像度×2のVR対応や、画像処理性能も向上

 没入感の向上も、チップセットの特徴のひとつで、ルームスケールの6DoF(自由度)に対応。解像度も2K×2に上がり、VRゴーグルに利用した際の性能もSnapdragon 835比で向上している。

 こうした処理を中心的に担うのがGPUのAdreno 630で、省電力性が高まったことから、VRコンテンツの再生時間も3時間超に拡大したという。

ルームスケールの6DoF対応で、駆動時間も伸びている

 没入感向上のための、もうひとつの取り組みが、ISPの進化だ。先に挙げたSpectra 280 ISPは、Ultra HD Premiumに準拠した映像の撮影が可能。色深度、色域も広がり、ノイズリダクションの性能も向上している。

 このISPで処理した映像は、DxO Markで100点を記録。これは、Snapdragon 835を搭載し、現行モデルでは最高得点となるグーグルの「Pixel 2」を上回るスコアだ。

 クアルコムの基調講演では、「競合A」として紹介されていたが、アップルの「iPhone 8 Plus」が出した94点も超えている(なお、「iPhone X」は97点となる)。

IPSが進化し、色深度や色域が広がった
DxO Markでは、100点を記録。最高得点だった「Pixel 2」を上回った

5CC CAにも対応し、2018年1月から搭載機種が発表か

 内蔵されるモデムも、Snapdragon 835に登載されていた「X16」から「X20」に進化した。これによって、LTEのカテゴリー18に対応。5つの周波数を束ねる5CC CAが可能になり、下り最大1.2Gbpsを実現する。

 クアルコムによると、最高速度だけでなく、スループットも20%程度向上しているとのことだ。2つのSIMカードで同時にVoLTEの待受けが可能な「DSDV(Dual SIM Dual VoLTE)」もチップレベルでサポート。60GHz帯の802.11adに対応するなど、Wi-Fiの性能も向上しているほか、Bluetooth 5.0も利用できる。

5CC CAに対応。DSDVもチップレベルでサポートする

 12月5日(現地時間)に開催された基調講演では、中国メーカーの小米(シャオミ)が、Snapdragon 845を搭載した、フラグシップモデルを開発中であることを明かした。クアルコムによると、サンプル出荷はすでに開始されており、2018年早々には、これを搭載したスマートフォンが登場することになる。

 Snapdragon 835を搭載した端末は、120種類程度発売されたが、Snapdragon 845も同レベルのバリエーションになる見込み。早ければ、年始に米ラスベガスで開催されるCESで、第一弾の端末が登場する可能性もありそうだ。

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