端末セットが基本に? 2018年の格安SIM業界を予想する

文●正田拓也

2018年01月11日 12時00分

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 2018年になりました。本年もよろしくお願いします。

 毎年最初にその年の予想をしているが、2018年の今年は今までのような格安SIM同士の戦いではなく、3大キャリアも含めて大混戦という予想を立てている。

 ユーザー目線においては、いよいよ格安SIMとの垣根がなくなるのではと思っている。

格安SIMも端末セット販売がメインになる

 今年の予測としては、一部業者の淘汰が進むほか、いわゆる「SIMフリー機」と呼ばれているが、メーカーが自社ブランドとキャリアに囚われない販売を行なう端末の伸びが進むのは間違いない。そして、何もよりもさらに格安SIMの一般化が進むと思われる。

 その理由としては、端末のセット販売。3大キャリアとそのサブブランドが推し進めてきたものがいよいよ格安SIMにも本格的に浸透してくる。

 すでに業界上位の楽天モバイルがY!mobile、UQ mobileを意識したかのように端末価格を全面に押し出した広告を展開し、長期契約付きで安く端末提供を進めている。

 IIJmioも「コミコミセット」として端末のローン販売と月々の料金をセットにした価格を展開しており、2年目から支払い額が高くなる仕組みなどは楽天モバイル同様で、ウェブサイトでもワイモバイルとの料金比較を掲示している。

 一方、OCN モバイル ONEも同じNTTの冠を持つNTTレゾナントの「gooSimseller」などで回線契約が必須条件の「らくらくセット」と称して端末の割引販売を行なっている。

 機種やキャンペーンによっては音声通話契約の最低契約期間分の料金を払っても家電店で単体購入するよりもお得という価格設定になっており、極めて戦略的だ。

 こちらは前の2社と違い、あくまで端末の割引販売にとどまっている。端末のローンも選択できるが、格安SIMにかかる料金とは別。2年目から高くなったりすることもない。

 楽天モバイルやIIJmioは継続利用する人ならばお得な面もあるが、OCN モバイル ONEのgooSimsellerの場合は回線の縛りも短く、回線を使わなかったとしてもお得なため、端末購入の選択肢としても一部で話題になっている。

基本料金は横ばいだが、付加サービスや質で差別化

 データのみで月間3GBが約1000円という“相場”は2015年からあまり変化はないが、回線の質や付加サービスなどはだいぶ変化している。2017年は音声通話の定額サービスが一気に充実し、普及した年でもあるが、2018年も付加サービス拡充の流れは止まらないと思われる。

 完全な定額通話は楽天モバイルが提供しているが、通話料が高い3つの番号だけ完全定額とするオプションがOCN モバイル ONEからはじまっている。

 さまざまな番号にかけまくる人ならば完全な定額が有利だが、特定の人と長電話をするという人にはうれしいオプション。月額800円で提供され、そのほかの番号の10分までの定額と組み合わせると月額1300円のオプションとなる。

 また、この連載でも何度か紹介している月額480円からのBIGLOBE「エンタメフリーオプション」は2017年に対応範囲が拡大した。

 指定されたサービスに限るものの、動画配信サービスをいつでもどこでも容量制限なく楽しみたいという人には現在のところ唯一無二のサービスとなる。

 BIGLOBEがKDDI傘下に入った現在は、伝送速度や安定性という質も充実してさらに使いやすくなった。

楽天モバイルは「スーパーホーダイ」を開始
楽天モバイルは「スーパーホーダイ」を開始

 長期契約者限定となるが、楽天モバイルが低速時の速度を1Mbps(ただし12:00~13:00と18:00~19:00は300kbps)としている「スーパーホーダイ」を開始した。これは長期契約とセットで端末価格を割り引いたり、楽天のポイントが与えられるもの。

 高速通信容量が2GBのプランを選んだとしても、混雑時間帯を除く低速時には最大1Mbpsの通信ができるとなれば、2GBであっても問題なく使えそう。

 1Mbpsが安定して出ていれば動画視聴もほぼ可能。アプリで高速/低速の切替は自由なので、普段は低速モードで利用し、必要なときだけ高速に切り替えるという使い方をすれば、実質的な使い放題を実現できそうだ。

 こういった流れがあるため、特定サイト向けの通信容量をカウントしないオプションや、音声通話に関する新しいオプションなどは2018年も登場すると思われる。

楽天モバイルは第4のキャリアになるのか??

 「スーパーホーダイ」で長期契約を主体とし、Y!mobile、UQ mobileを意識したサービスに転換しているかのような楽天モバイルだが、NVNOではなく自ら無線ネットワークを設置する第4のキャリアを目指す発表を行なった。

 総務省から楽天に周波数割り当てが決まれば、という条件の話ではあるが、それが実現すれば2019年中にサービスを開始するとしており、2018年にも大きな動きがあるはずだ。

 そうなると現在の楽天モバイルのサービスにも大きな変化が訪れる可能性は高い。現在の楽天モバイルはドコモから無線ネットワークを借りて提供しているが、同じグループで自前のネットワークを持ってサービスを開始した場合にどのような扱いになるかはわからない。

 現在のスーパーホーダイでは2年や3年の契約もあるが、2019年中にサービス開始となれば、今から2年や3年の契約だと楽天が自前のネットワークでサービスを開始しているころまで契約していることになる。

 楽天モバイルが突然にサービスが終了したり、ドコモと競合するためにサービスの品質が大きく変化することはこれまでの経緯からしてもないはずだが、もっと有利なサービスが出てきて、既存ユーザーは残念な思いをする可能性はあるかもしれない。

 ただ、新たに割り当てられる周波数帯の2つのうち1つの3.4GHz帯は最新スマートフォンで対応がはじまったばかり。サービス開始に合わせて新周波数帯に対応した新端末の提供など、乗り換え優遇が行なわれる可能性が高いと予想する。

 それでも、あくまでもこれは総務省の周波数割当次第。新規参入を認められたとしてもエリア展開などが思うようにいかないと危惧する声もあるが、楽天という会社の規模やこれまで各種サービスを切り開いてきた実績からすれば十分なサービス展開ができる可能性はあると筆者は見ている。

販売はよりリアル店舗へ、音声通話付きにシフトはさらに進む

mineoは小規模ながらもリアル店舗を展開
mineoは小規模ながらもリアル店舗を展開

 一方、回線についてはより格安SIMの加入がリアル店舗にシフトし、音声通話付きのSIMがほとんど占めるとみている。

 音声通話付きの回線比率が高い楽天モバイルがシェアを伸ばしている現状があり、音声通話付きのほうがその分だけ客単価は高くなる。しかも、半年から1年、またはそれ以上の最低契約期間や、端末同時購入による回線維持などもある。

 格安SIMを研究している人以外では、SIMフリー端末の意味もよくわかっておらず、従来どおりキャリア乗り換えは端末もセットとしか理解してない人もいる。

 格安SIM移行時に端末セットを買えば、それを使っている間はずっと格安SIMに縛られると思っている人もいる。端末のローン期間中や端末が実働する限りは乗り換えないという人は少なくない。そのような人たちが回線を維持してくれるというわけだ。

 そのため、商売としては端末セットで販売するリアル店舗で客を集めることも重要になるのは間違いない。

 そこまで音声通話付き回線や一般ユーザー向けにシフトすると、データのみの回線がなくなってしまわないか心配するところだが、それはないと考えている。

 タブレットはもちろん、IoT機器などデータだけで事足りる機器は今後増えており、その活用にどこかの時期で需要が増えてくると思っているからだ。

3大キャリアの反撃がはじまり、3大キャリアへ回帰も進む

 月間20GBや30GBといった大容量プランを利用するなら、端末割引や混雑時の速度などを含めて3大キャリアが有利という状況だったが、いよいよ3大キャリアの反撃がはじまってくるのが2018年と予想する。

 そこで3大キャリアに戻ってみようという人も増えてくるのも2018年だと見ている。ドコモやauが示す安い金額はもちろんだが、混雑時のデータの安定性といった格安SIMの酸いも甘いも知ってしまった人には、多少お金を多く払ってでも3大キャリアにしようという人も出てくるだろう。

「auピタットプラン」を発表。1980円という文字を強調
「auピタットプラン」発表。1980円という文字を強調

 金額面においても、「auピタットプラン」はデータ量を使ったり2年目の料金を考えると決して割安なものではないが、データ量に注意して使えば安く使うことは可能。

 また、動画にハマってしまい大容量が必要になった場合は50GBが安いソフトバンクも有利。家族にデータ容量を分けてもらえるならドコモも悪くない。

 それでも、単体で月間3GB程度の利用では格安SIMが圧倒的に安いが、筆者はそこにも3大キャリアの反撃が本格化してくると予想する。

 2017年はauピタットプランが格安SIM対抗という形になり、最低が「1980円」という料金で注目されたが、次は格安SIMに詳しい人でも割安感を感じられる対抗策を出してくると思われる。

 そのひとつが端末施策で、これまでよりもより低価格帯にシフトし、定価を下げて料金面での割引を抑えていくと思われる。

 そう考える理由は、いよいよauが格安SIMで提供されるようなグローバル端末、「HUAWEI nova 2」を扱いはじめるほか、すでにauは月々の端末購入に関する割引がauピタットプランやauフラットプランにおいては消滅しているからだ。

 ドコモは、iPhone 8/iPhone 8 Plusを月々に割り引く「毎月割」から購入時に一括で価格を割り引く「端末購入サポート」に切り替えたことからも変化が伺える。

 実際の使い方に応じた支払い額で比べていくと、どんな施策が打たれても金額はあまり変わらないという結果になるかもしれないが、見かけ上の安さを追求するために、さまざまな策を打ってくると思われる。

最新情報で判断して間違いない回線選びを

 以上のように2018年はサービス選びが多少難しくなると予想するが、判断するためには最新情報を自分の使い方に照らし合わせるということが重要なのはこれまでと変わらない。

 「980円」や「1980円」の文字が舞っていても、自分の使い方に合わせてみて判断することが重要だ。

 格安SIMも次々と新たなサービスが出てくる可能性もある。選ぶ際は常に最新情報を得て、選んでほしい。

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