松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」

ローテクのコインランドリーをApple Payに対応させたIoTの仕組み (1/2)

文●松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

2018年01月24日 12時00分

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 カード社会のアメリカで生活していても、どうしようもなく絶対に必要になるお金があります。それはクォーター。25セントの価値を持つコインです。このコインはいろいろな場面で使われますが、もっとも生活に直結する場面はランドリー、つまり洗濯です。

はた目には普通の洗濯機。でもApple Payに対応したのです

 こちらでは一軒家はもちろん、アパートによってもあらかじめ洗濯機が備え付けられていることがありますが、洗濯機を置くスペースが用意されていないこともあります。その場合、アパートの共同ランドリーを利用するか、街にあるコインランドリーを使わなければなりません。

 コインランドリーを回すと、洗濯でだいたい2ドル程度、乾燥を1時間回すと1.5ドル程度です。水不足のタイミングで、このコストは上昇しています。ただこれは0.25ドルずつコインを入れる必要があるわけで、洗濯で8枚、乾燥で6枚が必要となってしまいます。

 このコインを集めるのは、実はなかなか大変なのです。

 先ほども書きましたようにアメリカ社会では日々の買い物はカードで支払ってしまうため、通常「おつり」という概念がないのです。日本であれば、100円玉はとても身近ですし、コンビニで1000円札で買い物をする機会もあるため、コインを得にくいという経験はあまりなかったように記憶しています。

アパートの共同ランドリーが刷新されて……

 筆者は長らくクオーター獲得に苦心する生活を続けていましたが、その苦労にも終止符が打たれそうです。なんと、アパートの共同ランドリーが、Apple Pay/Android Payに対応したのです。

 しかしその対応の方法は、アプリを介したものでした。

 洗濯機や乾燥機には、QRコードがついたステッカーが貼られています。それを読み込むと「PayRange」というアプリのダウンロードを促されます。このアプリでアカウントを作ると、クレジットカードやモバイル決済から入金し、対応ランドリーでコインを使わずに利用する事ができる仕組み、だそうです。

 ちなみにPayRangeはランドリーのほかに、コイン洗車や掃除機、自動販売機といったコインで動作する仕組みを、非常に小さなデバイスで実現しており、アメリカで最も成功したIoTソリューションの1つとされています。

 使い方は前述のとおりにアプリをダウンロードしてアカウントを設定し、Apple Payやクレジットカードで残高を追加したら、ランドリーまで行ってマシン番号を選ぶだけです。

 うちのアパートでは、1~3が洗濯機、4~6が乾燥機に割り当てられており、Bluetoothで自動的に近くのマシンを選ぶことができるほか、アプリからQRコードを読み取ってもOKです。たとえばランドリーから遠い自宅の中からPayRangeを立ち上げても、「周囲にデバイスがない」としてマシンにチャージできません。とにかく、そのマシンの近くにいないと利用できない仕組みになっているようです。

あらかじめアプリをインストールして、チャージしておく必要があります

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