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インテル、東京五輪に向け5Gでドコモと協業 コネクテッドカーや8K動画配信に焦点

文●末岡洋子 編集● ASCII編集部

2018年02月26日 19時30分

 米Intelは25日(現地時間)、スペイン・バルセロナで五輪と5G技術について、プレス向けに説明会を開いた。翌日から開幕する「Mobile World Congress 2018」に合わせたものだが、折しも平昌五輪の閉幕式とほぼ同時間帯となった。

 平昌五輪で5Gの試験ネットワークを構築したKTと、2020年の東京オリンピックに合わせて5Gネットワークの商用サービスを提供することを明らかにしているNTTドコモ、それにコネクテッドカーで提携するトヨタ自動車と3社の幹部も参加した。

2020年の東京オリンピックではNTTドコモと5Gで協業する

2024年まで五輪の公式スポンサーを務めるIntel
平昌五輪では5Gを活かした映像の配信も

 Intelは2016年に、IOC(国際オリンピック委員会)と2024年までの五輪公式パートナーを務める契約を結んでいる。その最初の五輪となった平昌五輪では、10のサイトに22の5Gリンクを実装し、ネットワーク容量は3800TB、過去最大規模の5Gのトライアルとなった。Intelは韓国の通信事業者であるKTの5G試験ネットワークを利用して、さまざまな最新技術を試している。

 Intelの最高戦略責任者兼シニアバイスプレジデントのAicha Evans氏は、「5Gは通信だけではない。コンピュート、ワイヤレス、クラウドを合わせ、その上でAI、動画、分析などを利用できる」と語る。

IntelのAicha Evans氏

 冬季五輪でのフォーカスは観客の体験で、Intel Xeon、MEC(マルチアクセスエッジコンピューティング)、FlexRAN(5Gネットワークリファレンスアーキテクチャ)などさまざまな技術を活用した。

 平昌五輪会場で提供した技術を説明したのは、同社シニアバイスプレジデント兼ネットワークプラットフォームグループのゼネラルマネージャ、Sandra Rivera氏。たとえば、VR技術のIntel True VRではアイススケートの会場である江陵アイスアリーナに100台のカメラを設置し、360度ビューを提供した。

アイススケート場を100個のカメラで360度撮影

 アイススケート場ではまた、Interactive Time Sliceも使われた。多様な角度からキャプチャーしたHD動画を近くにあるエッジサーバーからストリーミングするというもの。データセンターではIntelのIntel Xeonを搭載したサーバーが使われており、ギガビット級の低遅延な5Gリンクを使ってストリームした。

 また、クロスカントリースキーではOmniViewとして、VIPゾーンにいる人がタブレットを利用して、ほぼリアルタイムでさまざまな角度から視聴できるようにした。

 具体的には、選手のアクションを捉えた動画を5G Mobile Trial Platformに送り、近くにある基地局で5Gリンクを構築。ネットワークのエッジで高解像度の動画を処理してストリームするというもの。基地局はIntelのプロセッサを利用して、低遅延、高速なネットワークを実現した。視聴者はそれだけでなく、選手のパフォーマンスデータもほぼリアルタイムで得られた。

平昌五輪の会場に設置された5Gの基地局

 Rivera氏が最後に紹介したのは、コネクテッドカーの実験だ。KTの5Gネットワーク、IntelのGo 5G Automotive Trialプラットフォームを利用したもので、車間通信によりユーザーが地図データをダウンロードしたり、交通情報を得たり、複雑な低遅延の4K UHD動画のストリーミングも実現できたという。

平昌では5Gコネクテッドカーの実験も実施した

 提携したKTのエグゼクティブバイスプレジデント、Dr. Jeon氏は、「広いスケールとしては初の5Gネットワークトライアルになった。課題も多かったが、実現できた」と述べた。五輪が終了したあと、商用実装に向けて作業を進めるという。

 韓国では2018年前半に5Gの周波数帯オークションが行なわれ、そのネットワーク構築を進めるとのこと。「商用サービスを2019年第1四半期にスタートできる」との見通しを示した。

ドコモも2020年東京五輪に向けた取り組みを開始
他社とのコラボレーションで5Gを本格的に立ち上げる

 平昌五輪の終了と同時に、Intelは次の東京五輪に向けた取り組みも進めている。IntelのEvans氏は、360度の8K動画ストリーミング、スマートシティセンサーとコネクテッドカー、選手向けのAIの利用の3つをフォーカスポイントにあげる。

 東京五輪における5G技術では、NTTドコモ、それにトヨタ自動車などと提携する。NTTドコモ 取締役常務執行役員兼CTOの中村寛氏は、「NTTドコモは、東京五輪が開催される2020年に5Gの商用サービスを提供する計画だ」とし、NTTドコモが見る5G、それに向けた取り組みについて語った。なお、NTTドコモは東京五輪でナショナルスポンサーを務める。

NTTドコモの中村寛氏は「次は我々の番。KTからどんな学びがあったのかを聞きたいと思っている」と語る

 中村氏は、5Gは「コンシューマーのライフスタイル」「産業革命」の2つに大きな影響を与えるとしながら、「これらの新しいサービスを市場にもたらすことは、オペレーター1社ではできない。コラボレーションが必要だ」と述べる。同社は2018年1月に「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」をスタート、すでに600社が参加しており、これらのメンバーと「新しい市場を共同で作っていく」とした。

 2020年に開始予定の5G商用サービスは、それだけが独立したスタンドアロンなものではない点も強調する。「4Gネットワークとのコラボレーションが必要」として、4Gでできること、5Gである必要があるものなどについてもプログラムで見ていると述べた。

ドコモの5Gの取り組み。コンシューマー向けから自動車、遠隔医療まで幅広い

コネクテッドカー100%を目標とするトヨタ
大量のデータの処理にエッジコンピューティングを活用

 トヨタ自動車でコネクティッド統括部コネクティッド戦略企画グループ長を務める村田賢一氏は、2017年秋に立ち上げたAutomotive Edge Computing Consortium(AECC)のプレジデントも務めており、ここではAECCを中心に話をした。

トヨタ自動車の村田賢一氏はAutomotive Edge Computing Consortiumのプレジデントも務める。エッジコンピューティングの重要性について語った

 トヨタ自動車は日本と米国市場で提供する車の100%をコネクテッドにする目標を掲げているが、「接続性は自動車とネットワークだけではない」とする。データのサイズが増えており、このデータをマネタイズしたり、顧客サービスに使ったり、次世代の車の設計に役立てることができるとする一方で、データの増加は同時に処理の問題をもたらす。すべてを中央のデータセンターに送るのではなく、ネットワークのエッジで処理するエッジコンピューティングの活用が必須という考えからAECC立ち上げに至った、と説明した。

 「5Gは広帯域、低遅延を提供する重要な技術だ。活用するためには、状況を計算しなければならない」と語る。

 AECCはトヨタ、Intel、NTTドコモのほか、デンソー、Ericsson、トヨタIT開発センター、NTTなどが設立メンバーで、その後KDDI、AT&Tなども加わっていると報告した。

 Intelにとって、これらの取り組みはポストPC時代に向けたものとなる。Evans氏は、「PC中心の企業からデータ中心の企業になる。メモリ、自律性、AI、VR、5Gなどに取り組んでおり、新しい技術の活用をプッシュする」と述べた。

平昌オリンピックの閉会式とほぼ同時に行なわれた今回のイベントでは、Intelの技術を使って300機のドローンが空にマスコット「スホラン」の姿を描くところがライブ中継された


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