最近はクルマにもネット化の波が押し寄せている。自動運転のような近未来といかなくてもカーナビがわかりやすい例。
情報伝達の手段としてインターネット経由で情報を取得しようというクルマがあるが、そこに格安SIMを使ってみた。
カーナビは道案内ではなく日常的に使える道路情報端末
カーナビは「VICS」(FMラジオ電波や道路脇の光。電波ビーコンから情報を得るシステム)が導入されたころから、知らないところへ行くためのものから渋滞情報をはじめクルマを利用する上での情報端末になっている。
毎日の仕事場への行き来でも毎回ルート案内をセットしておけば、突発的な交通障害があった場合でも迂回できる。目的地が近くなら地図をさっとスクロールして渋滞箇所を確認してから出発してもいいだろう。
ところが、従来のFMラジオ波を使ったVICSの情報では2.5分ごとの送信で、データが流れてくる間、安定してFMラジオ波を受信していることが必要。それまではたとえ近所であっても情報が表示されないことになる。
そこで、インターネット経由で情報を得れば、すぐ取得できるほか、ラジオよりも受信エリアは広く都道府県外でも受信可能。ラジオの入りにくい地下駐車場でもケータイのエリアならば安定してデータの受信もできる。
もちろんそれだけではなく、双方向通信のメリットを生かして必要な情報をリアルタイムで得ることもできるほか、VICSに含まれない天気情報などのそのほかの情報も得られるので、カーナビのネット化は非常に便利なのだ。
以前から通信モジュール内蔵のものがあったが、最近ではスマートフォンのテザリングを利用して使うものも出てきた。
たとえば今回試用したフォルクスワーゲン「Car-Net」はそうだ。しかし、毎回スマートフォンのテザリングをオンするのも面倒。そこで、クルマのエンジンをかけると自動でオンになり、エンジンを切るとオフになるモバイルルーターを利用してみた。
車載に適したモバイルルーター、ピクセラ「PIX-MT100」
この連載では何度か電源供給の入り切りに連動するモバイルルーターを探してきたが、筆者が見落としていた機種があった。ピクセラの「PIX-MT100」で、USBポートから電源を得て動作するモバイルルーターとなる。
ルーターではなくUSB形状のLTEモデムと思ってしまう外見ながら、実際にはルーターの動作をするもので、USBポートへの電源供給でオン/オフができる。
つまり、車載用のUSB電源アダプターを使えば、エンジンキーに連動して電源のオン/オフができることになる。
通常のモバイルルーターは電源オンはボタンの長押しをしなければならず、電源端子に電源を供給するか否かでは電源のオン/オフができないことに比べるとPIX-MT100は車載に適している。エンジンを切ってもモバイルルーターの電波がずっと出ているということがない。
ピクセラの製品情報を見ると「エンジン始動時にはシガーソケットから外してください」とあるので、セルモーターが回っている間、DC電源端子(シガライターソケットなど)の電源が途切れたり極端に電圧が下がるクルマでは使い方を工夫する必要があるが、ハイブリッドカーや電気自動車であれば特に気にする必要はないだろう。