末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢

進化の行き詰まりが懐古へ走る? 今度は「Palm」ブランドのスマホが登場する噂 (1/2)

文●末岡洋子 編集● ASCII編集部

2018年04月04日 12時00分

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 BlackBerry、Nokia、Palm……ブランドを並べると2000年代初めのように感じるが、2018年中にもこの3ブランドが市場に揃う可能性がある。BlackBerryとNokiaはすでに実現済みだが、Palmブランドを取得しているTCLから、2018年後半にPalmブランドのAndroidスマートフォンが登場するという憶測が広がっている。

PalmブランドのAndroidスマホが登場するというウワサが流れている。ペン入力はともかくGraffitiくらいは再現してくれるのだろうか?

Symbian、Windows CEとともに一時代を築いたPalm

 MWCが終わり、約束通り3月27日にHuaweiがトリプルカメラの「HUAWEI P20 Pro」などの新機種を発表した。スマートフォンはもはやカメラにしか目立った進化はないのだろうかという見方もできてしまうが、今回のPalm復活の報道はそんなタイミングで登場した。

 発端はAndroid情報サイトのAndroid Police。「信頼できる筋からの情報」としてTCLが「Palm」ブランドのAndroidスマートフォンを開発中と報じた(https://www.androidpolice.com/2018/03/28/not-2009-verizon-planning-launch-palm-smartphone-later-year/)。キャリアは当時Palm推しだったVerizonで、登場時期は2018年後半とのことだ。

 Palmは90年代後半にPDAとして登場し、人気を博した。ToDoリスト、メモ帳、スケジュール、連絡帳などの電子手帳の機能が中心で、「PalmPilot」「Tungsten」などのPalmの端末のほか、Palmの流れをくむHandspringの「Visor」やソニーの「CLIE」などのPalm OS搭載端末も各社から登場した。あのIBMも「WorkPad」ブランドでPalmベースのPDAを作成していた。

 このように、PalmはiPhoneが登場するまで、携帯電話の「Symbian」、そしてMicrosoftの「Windows CE」などとともに、携帯端末の多機能化、つまり”スマートフォン”の普及に至る過程で1つの役割を担ったベンダーだ。

2015年にPalmブランドを取得しているTCL

 Palmはスマートフォン時代に向けて「webOS」を開発、2009年に「Palm Pre」を発表した。しかし低迷は続く。身売り先を探していたPalmは結局、2010年にHPに売却を決定。12億ドルでHPの下に入った。

 HPとしてはwebOSを活用してモバイル分野の強化を図っての買収だったが、結局LGに売却した。2013年のことだ。LGはスマートTVでwebOSを採用してきたが、奇しくもLGも3月、webOSのオープンソース化を発表したところだ。

 一方でPalmブランドを2015年に取得したのがTCLだ。TCLはホワイトブランドのスマートフォンメーカーで、Alcatel-Lucent(当時)と出資関係があったことからフランスの携帯電話ブランド「Alcatel」(Alcatelはフランスの通信機器大手で、いっときはコンシューマー向けに固定電話や携帯端末も作成していた。通信機器事業はLucentと合併しAlcatel-Lucentに、その後Nokiaが買収している)ブランドで端末を販売しているほか(日本のも進出した)、BlackBerryともブランドライセンス契約を結んでおり、「DTEK50」などを製造している。Alcatelと聞いて「Firefox OS」を連想する方もいるかもしれない。TCLは「Altacel OneTouch」ブランドでFirefox OSスマホも作成していた。

 今回の憶測が正しければ、2015年の取得以降、動きのなかったPalmについて、Palmブランドのスマートフォンを作成すると理解してよさそうだ。買収時にTCLは、「買収後、Palm製品をハードウェア面で進化させるほか、ソフトウェアとサービスについてもユーザーのニーズに合うものを加える」としていた。市場としてはまず米国でリリースするとしていたので、そのときの戦略通りということだろうか。

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