アメリカのシェア電動スクーターは、予想以上に街に放置されている

文●松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

2018年05月01日 10時00分

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フォートメイソン・センターの有料駐車場に乗り捨てられたLime-S電動スクーター。もし充電ステーションが近くにあれば、ここに乗り捨てられることはなかったでしょう

 とにかく所有しない時代。体験を大切にする時代。

 我々がすでに片足を踏み入れ、企業もそうした時代に対応するサービスを充実させているのが現代です。物を買って所有することよりも、自分が何をするか、何ができるか、という体験に重きを置く。確かに効率的で最適化の可能性があり、体験のために個人が初期投資を必要としないことで機会の均等化が図られる可能性があります。

 一方で、そのほころびも現れるようになりました。

 UberやLyftといったライドシェアは、車を所有していなかったり、レンタカーを借りなければならなかった旅先でも、必要なときに必要な移動を利用する事ができる仕組みとして、米国の都市に欠かせない存在になりました。

 その一方で、人々が集まりやすい空港や駅周辺では、ライドシェアの車による渋滞が引き起こされ、また地元の人以外のクルマが流入しやすくなり、住宅地が思わぬ渋滞に見舞われるなど、軋轢も起き始めています。

最新事情が放置シェア電動スクーター問題

 スクーターというと、日本では足を揃えて乗るスタイルのバイクを思い浮かべますが、米国では子供用から大人用まで、足で漕いで乗る二輪とハンドルがついた乗り物を指します。

 よく見かけるのはBirdとLime-S。いずれも電動スクーターで、アプリからアンロックして目的の場所まで行き、アプリで再度ロックする形で乗った分の料金を精算します。自動車と違って、駐車スポットを気にすることがないので、交通機関と組み合わせて、最後の1マイルの移動にぴったりな手段と言えます。

サンノゼ、Adobe本社のすぐ脇に止められたBird(手前)とLime-S(奥)。1台停めてあると、なんとなく近くに停めたくなるのでしょうか

 サービスが始まったことはニュースなどで耳にしていましたが、なかなか目の前で使われていないバイクを発見できず、試す機会がまだまだ少ないのが現状です。

 昨日も、サンフランシスコ市内のフォート・メイソン・センターの公園を訪れると、2台のLime-Sスクーターが放置されていて、その場でアプリをダウンロードして公園内を1周して乗り心地を試すという人が後を絶ちませんでした。

 Lime-Sの料金は解錠に1ドル、1分あたり15セント。例えば徒歩で10分の距離をLime-Sで5分で済ませた場合、1.75ドル(約200円)となり、バスの料金よりも安くなります。

 こうした電動スクーター、電動アシストスクーターは300ドル前後から1299ドルまでの価格レンジがあり、モーターやバッテリーの性能で価格が上がります。価格が安ければ航続距離が短く、常に持ち歩くには重たく、所有する旨みが薄い商品であり、時間貸しのレンタルにはちょうど良かったかもしれません。

放置スクーターに時間を急ぐ利用者の事故……
すでに見えてる未来

 さて、こうした電動スクーターは、都市での新しい移動手段として注目され、実際に使って見ると非常に快適な移動が可能です。ただ、バスが時間どおりに来ない米国の都市と同じように、自分が使いたい場所にスクーターがあるかどうか、という不確実性は残ります。

サンフランシスコ市内、ミッション地区はおしゃれなお店も多いエリアですが、平日も休日も全くクルマが止まらない場所。こうした場所では電動スクーターは有用そうです。ちなみに手前に止まるBirdは、奥のカップルが使っていたものです

 その一方で、使いたいところに常にあるほど、街中にばらまかれてしまうとなると、今度は歩道にたくさんのスクーターが放置されることになり、景観の面や安全性の面で問題が生じます。実際に前述の公園では、使い終わったLime-Sが芝生に横倒しに置かれたり、駐車スポットに放置されたりしていました。

 また、電動スクーターが公道に増えることで、それにともなう事故の危険性も考えられます。とくに時間貸しであることから、利用者はできるだけ短い時間で目的の移動を済ませようとします。信号待ちに引っかかりでもすれば、すぐに50円くらい損するわけですから。

 新しいモノである以上、人々がどう扱うべきかまだわからない部分を加味しても、ちょっと無対策に見えてしまいます。もちろん、試してみて、問題を解決するというプロセスに入っていること自体を評価すべきだと思いますが。

Birdの電動スクーター。ブレーキもついていて、乗りこなすのもさほど難しくはないでしょう

ポイントは、充電場所の広がり

 もう1つ、街中に放置する電動スクーターの問題点は、充電です。ステーションがあるタイプの電動自転車の場合、返却場所が決まっているので、放置自転車が広がる心配はありません。しかしスクーターの場合、充電しないまま放置されると、ユーザーが必要な距離分のバッテリーを得られないこともあるのです。

 そこで、各社は充電器を設置するパートナーを募集しています。街の至るところから乗り始められることが魅力の電動スクーターですが、確実に止まっている場所がわかることも、移動インフラの確実性を高めることになるでしょう。このあたりは、放置スクーター問題の解決につながる鍵になるかもしれません。

 あるいは、放置スクーター対策として自治体が手を組み、街角充電器を頻繁に設置する対策を講じたり、充電器に返した場合、利用料金から値引きされるインセンティブを導入するなど、やり方はいくらでもある、といったところでしょうか。

 そうしたプロセスが身近に見られる経験もなかなか少ないので、引き続き注目して生きたいと思います。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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