Nokiaが迷走 買収から2年でWithingsを売却へ

文●末岡洋子 編集● ASCII編集部

2018年06月07日 12時00分

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 Nokiaがデジタルヘルス事業を手放す。携帯電話事業をMicrosoftに売却して以来のコンシューマー事業として注目していたのだが、わずか2年足らずでの撤退となった。英断というべきか、そもそもの戦略ミスというべきか。Nokia自体がコンシューマー事業を手がけるのは難しいと判断したということのようだ。

昨年末にドイツで見かけたWithingsあらためNokiaブランドのスマートウォッチの広告。ブランドは再びWithingsに戻ることになりそうだ

2年前にWithingsを買収、その後自社ブランドに変更

 Nokiaがデジタルヘルス事業を持っていることすら知らない人が多い段階で早くも撤退が決定された。5月31日にNokiaは、Nokia TechnologiesのCTO、Gregory Lee氏がNokiaを辞めることを発表した。Lee氏の後は、現在法務顧問を務めるMaria Varsellona氏が兼任する。

 Nokiaのデジタルヘルス事業とは、同社が2016年に買収したフランスのWithingsが中核となっている。Withingsは体重計、スマートウォッチ、フィットネストラッカー、睡眠状態を追跡するパットなどを展開しており、Nokiaは2016年4月、1億7000万ユーロで買収することを発表した。

 2017年初頭には、WithingsのブランドをNokiaに変更することを発表。Nokiaの名前がコンシューマー分野に戻ってくることになる。よく知られているとおりに、Nokiaは2014年に携帯電話事業をMicrosoftに売却している。一度は携帯電話市場を制した同社だが、Appleが仕掛けたタッチパネル主導の新しいスマートフォンの波に乗ることができなかった。

 NokiaのWithings買収とその後のNokiaブランドへの変更は、あの時の痛みが和らいだことの証明かとも思ったのだが……。

サムスン北米トップを招き入れたものの……

 Nokiaが、WithingsブランドをNokiaに変更するという発表は、2017年のMWCで行なわれた。2017年のMWCといえば、Nokiaブランドのスマートフォンをライセンスを受けて販売しているHMD Globalが、Androidスマートフォンに加えて、昔のフィーチャーフォンのリバイバルで話題を振りまいた。

 Nokia TechnologiesのCMO、Rob Le Bras-Brown氏(当時)に話を聞く機会があったが、データを集めるがゆえに信頼が必要な、フィットネスやヘルス関連事業ととNokiaブランドとの相性を強調していた。なぜ携帯電話も自社内で展開しないのかという疑問も持ったが、それに対する明確な回答はなかった。

 Samsung出身のGregory Lee氏の着任はその後のことだ。2017年6月、NokiaはLee氏をNokia Technologiesのトップに任命したことを発表した。なお、Lee氏は北米でSamsungのトップを務めるなどコンシューマー分野の人であり、本腰を入れたというメッセージに思えた。

 しかし、それから半年後の2018年2月、Nokiaはデジタルヘルス事業に対して「戦略的見直し」を進めていることを発表した。その間、NokiaはWithings買収について1億4100万ユーロの評価損を計上している。

 そして5月1日になって、Nokiaはデジタルヘルス事業の売却について独占的な話し合いに入っていると発表した。相手は、Withingsの共同創業者、Eric Carreel氏である。取引は2018年前半に完了を見込むという。売却金額などはその後にわかるだろう。ブランドについては、NokiaからWithingsに戻るようだ。Carreel氏はツイートで「2018年末にWithingsブランドが戻ってくる」と述べている。元の鞘に戻るわけだ。

再びB2B企業に戻るNokia
Nokiaスマホを展開するHMD Globalはユニコーン企業入り

 Nokiaそのものはデジタルヘルス事業を売却することで、B2B企業に戻る。具体的には通信事業者への通信機器などの提供だ。この分野では、Huawei、Ericssonに次ぐ3位だが、MWCのデモを見る限りAIの活用は競合を上回るペースで開発と製品化を進めているように見える。

 最後にNokiaの携帯電話について。上記のように、NokiaブランドのスマートフォンはHMD Globalが提供しているが、HMD Globalは5月22日、新たに1億ドルの資金調達に成功したことを発表した。評価額は10億ドルとユニコーン企業の仲間入りをしたという。

 HMD Globalは「Nokia 3310」「Nokia 8110」とNokiaの懐かしい旧モデルを現代風に生き返らせているが、Androidのスマートフォンでは主にミッドレンジ、エントリー向けの機種を、欧州、アジアなどで展開している。5月中旬にはシンガポールで、「Nokia 7 plus」「Nokia 6」「Nokia 1」そして「Nokia 8110」を発売したことを発表しいている。5月末には、「Nokia 5.1」などの最新機種を発表している。市場から見て、今のライバルはXiaomiやOppoなのだろう。

 HMDによると初年度となる2017年は7000万台の端末を売り上げた。展開しているのは80ヵ国だが、携帯電話のアクティベーションは170ヵ国に及ぶという。


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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