2回線の同時待受が可能なDSDS(Dual SIM Dual Standby)機は2016年ごろからあり、1台のスマートフォンで2つの電話番号をフル活用したり、データ回線を2つのSIMに振り分けて効率的に使うことができた。
しかし、auネットワークの回線が絡むと2回線同時利用が難しい。そこで、登場したのがLTEを2回線同時待受できるDSDV(Dual SIM Dual VoLTE)機の「ZenFone 5(ZE620KL)」だ。早速、au回線で試してみた。
auはVoLTE必須なので、2回線利用にはDSDV機が必要
auネットワークの回線が絡むと同時利用が難しくなる理由は、au回線はごく一部の例外を除いて音声通話はVoLTEとなるため。従来のDSDS機ではau回線を有効にするとLTE回線を占有してしまい、もう片方は3Gしか使えない。もう片方はau以外の音声回線を使うしかなかったのだ。
そのため、たとえばau回線とドコモ回線での2回線同時待受は以下のパターンに限られていた。
・(SIM1)au VoLTEの音声とデータ通信
・(SIM2)ドコモの3G音声
VoLTEはその名称のとおり音声にもLTEを使うため、VoLTEの音声回線とデータ回線の両方を活かすには両方のLTEが同時に使えないといけない。
ドコモ回線であれば、音声は3Gで利用できるため、片方のSIMで音声通話とLTEによるデータ通信、もう片方のSIMで3Gの音声回線というような2回線同時待受が可能だったのだ。
それが、新登場のDSDV機、ZenFone 5では2つのLTEを同時に有効にできるため、以下のようなau系ネットワークの2つの電話番号を同時待受が可能になる。
・(SIM1)au VoLTEの音声とデータ通信
・(SIM2)au VoLTEの音声
さらに、音声の2回線待受ということではなく、au回線をメインの音声とし、データは別で使うということも可能になる。
・(SIM1)au VoLTEの音声
・(SIM2)auのデータ通信
・(SIM1)au VoLTEの音声
・(SIM2)ドコモの(LTEでの)データ通信
たとえばUQmobileなどでデータ量の小さいプランで契約しておき、足りなくなったらドコモネットワークの格安SIMでデータ通信部分を補い、低コストでデータ通信容量を増やすことが可能になる。
UQmobileだけでない。auの「ピタットプラン」の契約にも有利だ。ピタットプランは容量を使うと割高になってしまうが、データ部分を格安SIMで補えばauとの契約を安いままで維持でき、その一方でたくさんのデータ通信が可能になる。
国際ローミングをはじめ付随サービスの利用が便利など、さまざまな事情でauと直接契約した回線を維持しておかなければならない場合でも、データはMVNOの回線を使うことができる。
また、auと契約した回線をSIMフリー機で使う場合、APN設定情報などが非公開のため、データ通信をするには月額500円の「LTE NET for DATA」を別途契約する必要がある。
しかし、音声通話だけならこれは不要。むしろ、「LTE NET for DATA」を契約しないことでデータが流れないため、パケット代がかかってしまうことがない。