松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析

アップル新iPhone発売が危ぶまれる国際事情 (1/4)

文●松村太郎 @taromatsumura

2018年07月24日 09時00分

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 米国が中国や欧州などと展開している貿易戦争は、連日ニュースで注目されています。

 米トランプ政権は、米国の貿易赤字の圧縮という公約実現に向け、巨大な貿易相手国である中国を標的にしつつ、世界中の国々を巻き込みながら、関税のかけあいを展開しています。

 米国は洗濯機とソーラーパネルに対する関税から貿易戦争の口火を切りました。つづいて鉄鋼とアルミニウムに対し関税をかけ、中国は報復として米国の農産物に対して関税をかけ、品目は次々と拡大をつづけています。

 米国の輸入額に対する関税は500億ドル相当から2000億ドル相当へと拡大を続けており、中国が米国から輸入する5055億ドルの半分に相当する金額に関税がかかることとなりました。トランプ大統領は対中貿易の全品目に対する課税の可能性もちらつかせています。

貿易戦争に巻き込まれる世界

 貿易戦争には様々なロジックが持ち出されます。前述の貿易赤字だけでなく、やはりトランプ政権がたびたび口にしている米国の雇用にも関係します。知財保護や安全保障といった分野からも、課税に向かう理由がつむぎ出されているのです。

 巨大自動車市場である米国では世界中の自動車メーカーが競り合っていますが、米国への輸入車にも関税をかけることで、米国メーカーや労働者を保護するとともに、貿易収支の改善を目指すことにしています。

 欧州は逆に、自動車関税で米国に報復。結果アメリカらしいバイクのブランド・ハーレーが米国外に工場を移す決定をすることになり、トランプ大統領の逆鱗に触れました。

 関税がかけられた場合、企業が関税分を吸収して耐えるか、消費者に転嫁する方法で急場をしのぐことになります。企業が吸収する場合、売上高が10〜25%減少するか、消費者の購入価格が上昇するか。いずれにしても、米国内の企業には不利益に移ります。

 一方、日本の自動車メーカーは、過去に日本が標的となった貿易摩擦の時代、米国に工場を移転しています。そうした企業は、今回の貿易戦争の影響を食いとめることができそうです。

 貿易戦争の概要が長くなってしまいました。では、iPhoneを販売するアップルはどんな影響を受けるのでしょうか?

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