アップル新iPhone発売で儲けた意外な企業

文●石川温

2018年10月01日 09時00分

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 iPhone XS、iPhone XS Maxが発売されて約10日。

 各キャリア関係者に話を聞いてみると、売れ行きはおおむね良好のようだ。

 iPhone XS Maxでは本体価格が17万円以上になるなど、今年はさらにiPhoneの高価格化が進んだ。KDDIやソフトバンクは端末の割引をやめ、通信料金を別立てにした「分離プラン」を本格的に導入したこともあり、10万円以下の値つけとなっているiPhone XRまで購入を控える買い控えが起きるかと思いきや、初速の売れ行きは悪くなく「思った以上に売れている」(キャリア関係者)とのことだ。

 ただ、発売初期は当然のことながらアップルやiPhoneのファンが飛びついているのは間違いないだけに、この勢いをどこまで継続できるかが、アップルと3キャリアにとっては重要といえるだろう。

 そんな中、アップルでもキャリアでもない、ある企業がiPhone景気に湧いているという。

 それは1億3000万以上のユーザーを抱える、世界最大の動画配信サービス「Netflix」だ。

 Netflix関係者は次のように語る。

 「iPhone人気がここまでとは思わなかった。iPhoneが発売された週末はNetflixの新規契約者が一気に跳ねた」

au「Netflixプラン」契約が後をたたない

 実は、NetflixはKDDIとパートナーを組み、この9月から新しい料金体系「Netflixプラン」を始めたばかりだ。

 Netflixプランは月間25GBのデータ容量とNetflix(800円)とビデオパス(562円)の視聴料を合わせ、初年度月額5000円から使えるプランだ(2年目以降は6000円。固定インターネット回線とのセット割引が適用された料金)。

 auショップにiPhone XS、iPhone XS Maxを機種変更や新規契約しに来て、店員にNetflixプランを勧められ、新たに契約する人が後をたたないようだ。

 これまで、Netflixは日本市場においてソフトバンクとパートナーを組んでいた。Netflixはネットで契約できるものの、ネットを使いこなしている人しか新規に契約しないという弱点が存在する。そのためキャリアショップのようなリアル店舗で販促をすることで、新たなユーザーを獲得する狙いがある。

 しかしソフトバンクとの提携では、あくまで「Netflixを商材の1つとして扱う」という関係であるため、店員が「Netflixの契約どうですか」と勧めても、ユーザーは「毎月の支払いが高くなるからいらない」と断ることができる。

 しかし、auのNetflixプランは「2つの動画配信サービスの視聴料がコミコミで、データ容量も大容量になってオトクですから、ぜひどうぞ」と店員が勧めることができるのだ。ユーザーとしては「視聴料がオトクなら、契約しようかな」という気になる。だからこそ、新規契約が一気に跳ねたというわけだ。

 Netflixプランは実はもう1つ、期待されている側面がある。

料金プランと紐つき解約しづらい

 通常キャリアショップの店頭でオプションを販売すると、数ヵ月後に解約されるケースが圧倒的に多い。機種変更時、「すぐに解約してもいいからオプションを契約してほしい。そうすれば端末代金を1000円割り引きます」といった勧誘を受けることがある。いわゆる「レ点商法」というもので、オプションの欄にチェック、レ点をつけることから名づけられた慣習だ。

 ショップとしては、解約することを忘れてもらったほうがありがたい。ユーザーも忘れてしまうことが多いのだが、もちろんきっちりと解約する人もいる。本来ならお試しで使ってもらい、気に入ったら継続してもらうのが狙いだ。しかし、もともと自分で使いたいと思っていたわけでもないオプションに契約させられたのだから、解約するのが当然だろう。

 しかしNetflixプランの場合は料金プランと紐ついているので、ユーザーがNetflixを解約しづらいという心理がはたらく。

 たとえば通話定額ではないシンプルプランの場合、20GBのフラットプランは3480円となるが、25GBでNetflixとビデオパスがついたNetflixプランだと、500円高くなり3980円となる。

 Netflixプランから500円を節約しようとすると月々5GBの容量が減り、さらにNetflixとビデオパスが別料金になってしまうというわけだ。ユーザーとしては一度契約するとNetflixプランがかなり得であることに気がつき、やめる方向に行きづらくなるというわけだ。

 Netflixなど、ネットでコンテンツを売る企業がキャリアと組みたがるのはこうした利点があるからだ。今回は特にショップというリアルの顧客接点で料金とバンドルしたユーザーにも企業側にもメリットのある施策を、iPhone商戦でショップに人が駆け込むタイミングに展開できたというのが功を奏したようだ。


筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)など、著書多数。

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