ドコモ値下げ 安くなるの?

文●石川温

2018年11月05日 16時00分

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 NTTドコモの吉澤和弘社長は10月31日、「2019年度第1四半期に、2〜4割の値下げを実施する」と発表。値下げによって4000億円相当のお客様還元をすると明らかにした。どんな料金プランで値下げするかは言及されなかったが、端末代金と料金プランを分けた「分離プラン」が本格的に導入されることになるのだろう。

●すでにdocomo withはある

 NTTドコモでは、すでに端末代金が4万円以下の機種に限定して「docomo with」というプランを提供中だ。端末代金に割引を適用しない代わりに、通信料金から毎月1500円を割引し続けるというものだ。割引期間は2年など限定したものではなく、契約期間中はずっと毎月1500円割引されるのが特徴だ。

 docomo withでは、サムスン電子やシャープが、コストパフォーマンスの高い製品を相次いで投入。今夏にはiPhone 6sも4万円以下に価格改定されて仲間入りした。ケータイからスマホへ乗り換えたいユーザーに支持されているようだ。

 ただ、NTTドコモとしては、docomo withを4万円以下の機種に限定し、ハイエンドモデルなどには適用しないというスタンスを貫いていた。「ハイエンドモデルは端末割引を適用したほうがユーザーのためにいいのではないか」という考えがあったからだ。

 実際iPhone XS 64GBモデルでは12万8952円の販売価格に対し、月々サポートによって24ヵ月で総額5万8968円の割引が適用される。ユーザーとしては2年間の縛りがつくものの、十分魅力的な割引となっているのは間違いない。

 だが、NTTドコモとしては菅官房長官の「携帯電話料金は4割程度、値下げできる余地がある」という発言の圧力に屈するしかなかったようで、このタイミングで「2019年度第1四半期に値下げをする」と言わざるを得なかったようだ。

 おそらく「これまで4万円以下に適用していたdocomo withを全機種に対応させることで月々1500円程度割り引く」あるいは「まったく新しい料金プランに刷新する」という2つの選択肢から選ぶことになるのではないか。

●分離プランは総務省の意向か

 分離プランが値下げへの切り札として注目されているが、これは総務省の意向によるところが大きい。

 総務省は「分離プランが導入されれば、通信料金は安くなる」と何年も主張しているのだ。

 NTTドコモ吉澤社長の「値下げする」発言を受けて、世間では「他キャリアも料金値下げに追随するのではないか」という期待感も高まっている。

 しかし、11月1日に決算会見を開いたKDDIの高橋誠社長は「我々は分離プランのトップランナー。すでにお客様の請求額は3割程度、下がっているというデータもある」と語っている。

 KDDIでは昨年、すでに「ピタットプラン/フラットプラン」によって分離プランを導入済みだ。ピタットプランはデータ利用量に応じた料金設計となっており、使った分だけ支払えばいいようになっている。

 高橋社長は「官邸からの宿題はすでに済ませた」と語り、NTTドコモの値下げには追随しない姿勢を示した。

●分離プランだから安いとは限らない

 ソフトバンクに関しても、この秋から「ウルトラギガモンスター+」で分離プランを始めている。端末代金は一切割引されないが、月間50GBでYouTubeやFacebookのデータを消費しないというものだ。

 KDDI、ソフトバンクともに分離プランを導入中だが、それで本当に安くなかったといえば、かなり首を傾げたくなる。

 KDDIでは「分離プランの導入で、以前よりもユーザーへの請求額が3割低下している。お客様が安さを実感している」とするが、ピタットプランへの変更直後は割引キャンペーンも適用されているため、ユーザーが割引キャンペーンのほうで安さを実感している可能性もありうる。

 また、ソフトバンクのウルトラギガモンスター+は、機種変更し、光回線を導入し、家族でまとめ、キャペーンが適用されれば月額2480円から利用できるが、もともとプランは5980円である。音声定額プランと組み合わせると基本のプランでも7480円、通話定額プランなら8980円にもなってしまう。

 分離プランだからといって、決して、安くなってはいないのだ。

●「安くないオチ」もありうる

 NTTドコモは「わかりやすくて、シンプルに。大胆に料金プランを見直す」(吉澤社長)としているが、分離プラン導入によって、結局KDDIやソフトバンクと同様に「そんなに安くならなかった」というオチが待っている可能性もある。

 分離プランが導入されるからと言って「ものすごく安くなる」と鵜呑みにすることだけはやめておいたほうが良さそうだ。


筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)など、著書多数。

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