データ専用の格安SIMをLTE内蔵PCで使う際の注意点は?

文●正田拓也 編集● ASCII編集部

2018年11月09日 12時00分

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 公衆Wi-Fiの普及やスマホのテザリング機能の利用により、持ち運んで利用するノートPCにはモバイルルーターは必須……という状況ではなくなってきたが、ここに来て、じわじわと広がっているのが、LTE機能を内蔵したノートPCだ。そこで、データ通信専用SIMのうちLTE内蔵ノートPCやデータ通信端末で使うのに適したサービスや注意点についてまとめた。

まだまだ主流とは言えない、LTE機能内蔵のノートPCだが、その利便性の高さは明らかだ

以前に比べると主流ではなくなったデータSIM
契約後に発送されるケースが増えている

 2年ほど前までは、格安SIMといえばデータ通信専用SIMが中心で、「月900円」といったデータSIMの低価格な料金がアピールされていた。しかし、格安SIMの普及とともに、今ではすっかり音声通話付きが基準になっている。しかも、「加入すると××ヵ月●●円割引」といったキャンペーンも音声SIMに限ったものが多く、データSIMはすっかり日陰の存在となってしまった。

 しかし、データSIMもちゃんとメニューに存在している。格安SIMはもともとデータ通信専用でスタートし、いつでも簡単に契約できて、すぐやめられるSIMとして重宝されていたが、短期間の利用でも違約金なく解約できる点は今でも変化はない。

 以前と変わったことといえば、昨年あたりから各社ともにSIMカード発行料が最初にかかるようになったこと。事業者やネットワークによって異なるが、ほとんどで300~400円程度かかる。そのほかに契約事務手数料(多くのケースで約3000円)が掲示されているが、実際にはAmazon.co.jpなどで販売されている“加入パック”を利用したり、キャンペーンなどで済ませられるケースが多い。

 また、SIMカードが加入パックに最初から入っているのではなく、契約手続後に発送されるパターンが増えたため、クレジットカード番号の登録と簡単なアクティベーションですぐ使えるというのが難しくなっている。量販店などではカウンターがあって、その場で加入することもできるが、SIM付きの加入パックでない場合、手続きなどで店での拘束時間が増えるため注意が必要だ。

 とはいえ、3大キャリアと契約するよりもずっと簡単にSIMが手に入るのが格安SIMのいいところ。配送タイプでも最近は当日か翌日に発送されるケースが多く、店頭で拘束されるならそのほうが手っ取り早いと感じるかもしれない。

速度に定評があるサブブランドのUQ mobileでも
縛りナシで利用できるデータSIMがある

 最近頻繁に言及されることとして、通信速度に代表される通信品質において、MVNOの格安SIMよりもUQ mobileやY!mobileといったサブブランドが優れているという話がある。具体的には混雑時間帯の通信速度低下が小さい。サブブランドの料金プランといえば、2年間の縛りあり+音声通話付きで、1年目が1980円~といったものがよく知られているが、実はUQ mobileについては最低利用期間や意訳期間がないデータ専用プランが残っている。

 具体的には、サイトの中の「その他の料金プラン」という括りの中に「データ高速プラン」があり、高速で利用できる通信量が月3GBで税抜月980円、ユニバーサルサービス料と消費税を入れても1061円だ。

音声通話機能や通話定額を含むY!mobile対抗のコミコミのプランが主流になっているUQ mobileだが、今でもデータ専用プランは残されている

 これならMVNOの格安SIMと同様の料金で気軽に使えるが(しかも通信速度も高速)、注意点もある。まず、月3GB以外のプランがなく(使い切ると200kbps)、データ量を追加すると割高になってしまうこと(500MBあたり税抜500円)。そして、auのネットワークに接続するため、au網に対応した通信端末が必要になる点だ。

UQ mobileのようにauネットワークに接続する場合は
対応バンドや動作確認に注意

 これはUQ mobileを使う場合の注意点でもあるが、ドコモやソフトバンクのネットワークであれば、かなり広い端末で通信できるが、auのネットワークでは少し違う。最近のLTE内蔵PCでは国内3大キャリアに対応していることが多く、au網への接続に必要なバンド1/18/26が使えたり、公式に対応をうたっていたりすることもあるのだが、そうでない機種もある。

実際に利用する機器がどのネットワークに対応しているかは重要だ

 たとえば、LTE内蔵でないPCで手軽にLTEを使えるUSBドングル型端末、ピクセラ「PIX-MT100」はSIMフリーでバンド1に対応しているが、auネットワークの格安SIMを入れても接続できない。ドコモネットワークに対応のみをうたっていて、試すとソフトバンク回線には接続できるが、auだけ使えない。

 別の端末では、auではバンド1では接続もできるが、エリアの問題で非常に不利になることもあった。LTE内蔵ノートPCでの利用となると屋外や交通機関の中ではなく、カフェの奥のほうの席で通信するケースも想定される。モバイルルータならば窓際に置いて使うこともできるが、ノートPCはテーブルに置いて使うしかない。エリアの問題は非常にシビアになるため、各ネットワークの主要バンドは対応していることが不可欠となる。

現行のWindows 10はLTE接続に関する機能を搭載している

 また、ドコモ/ソフトバンクのネットワークでも対応バンドが問題になることもある。少し前の製品になるが、マイクロソフトのSurface 3はバンド1/3/8のみ対応。そのため、ドコモのネットワークでは広いエリアを確保するのに必要な、800MHz帯のバンド19が使えないため速度が遅くなったり圏外になりやすい傾向にあった。

 つまり、対応バンドとネットワークの関係は注意するしなければならないということ。特にプラチナバンドと呼ばれる周波数には対応していることが望ましく、ドコモならバンド19、auならバンド18/26、ソフトバンクならバンド8への対応の有無は必ず確認したい。

月50GB使うような超ヘビーユーザーの場合は
テザリングがお得な場合も

 またノートPCで使う場合、気になるのはデータ通信の量だ。スマホ単体以上に使い方によってはあっという間にギガが減ってしまう。筆者の経験上、ノートPCでの利用で“ギガ泥棒”となるのは動画配信ではなく、オンラインストレージとそれを活用するアプリケーションだ。

 たとえば、Adobe Lightroom CCのようなクラウド型の写真編集ソフトを利用していると、すべて写真をアップロードするような設定だった場合、当たり前ながら扱った写真の量だけデータを消費してしまう。単純に計算しても、5MBの写真が200枚なら1GB。RAWデータだと……想像したくない通信量となってしまう。

 クラウドの便利さには代えがたいというのなら、それに対応したデータ通信プランを選ぶしかない。MVNOの格安SIMの場合、容量が多くなればなるほど高くなるので、場合によっては内蔵LTEよりもスマートフォンのテザリングを選んだほうが安くなる場合もある。たとえば、イオンモバイルで50GBのプランを選ぶと月額1万1126円かかってしまうが、ソフトバンクの「ウルトラギガモンスター+」なら50GB使える上に、テザリングオプションを含めても月額合計8621円。家族割引や固定回線のセットなどでさらに割引が発生するなど、案外安く感じる。

 これならばSIMだけPCに挿して、データ通信だけを使いたいところだが、利用端末が4Gスマートフォンに限定されているためそれはできそうにない。また公衆Wi-Fiとの併用も現実的な選択だろう。

さまざまなケースを想定して便利なSIMを

 内蔵LTEのPCの便利さは、実は使ってみないとわからない部分がある。筆者も一時期使っていたことがあるが、ほかに何か持ち歩かずにどこでも通信できるのは非常に便利だ。

 それまでモバイルルータを使っていたならば、必要なデータ通信量は想像できるが、初めてモバイルでPCを利用したり、Wi-Fiで通信量を考えずに使っていた場合はおおまかな想定も難しい。

 できれば、データ量が想定と違った場合に備えて解約しやすい格安SIMで加入して使い始め、使用状況によってプランを変更したり、サービスの乗り換え、果ては内蔵LTEの利用を抑えるなど、柔軟に動ける体制がおすすめだ。

 格安SIM事業者選びは、容量メニューが豊富にあるところが望ましい。エキサイトモバイルは高速通信分が0GBから50GBまで10段階あり、イオンモバイルもやはり1GBから50GBで10段階だ。

 すぐに他社に乗り換えてしまう可能性が高かったり、お試し程度の利用を想定するなら、格安な加入パックが出回っているmineoやBIGLOBE、加入初月無料のLINEモバイル、Nifmo、OCNモバイルONEがオススメとなる。

 LTE内蔵PCを使う場合は、ぜひ格安SIMのデータ通信専用プランを活用してほしい。

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