ソフトバンク、公開初日は大幅下落も増収増益の好調さを強くアピール

文●オカモト/ASCII編集部

2018年12月19日 20時30分

 ソフトバンクグループの通信子会社であるソフトバンクは、19日に東証一部上場を果たした。売出価格1500円に対し、初値は1463円、19日の終値は1282円と大幅な下落で終了している。なお、今回の上場による市場からの資金調達は2兆円を超える。

現在もソフトバンクの会長である孫正義氏は今回の発表会には登場せず。宮内社長は自らを「(孫氏の)女房役のイメージが強い」としながらも、今後は独立した企業として経営していくと説明。四半期ごとの決算説明会なども個々に行なっていくという

Y!mobileをはじめ、好調な既存の通信事業
親会社の投資先と組んでの新規事業で拡大を目指す

 これに合わせて、ソフトバンクは記者発表会を開催した。同社代表取締役社長執行役員兼CEO(ソフトバンクグループ取締役を兼任)の宮内 謙氏は、あらためてソフトバンク単体の業績予想を公表。2018年度の見通しは売上高3兆7000億円、営業利益7000億円、純利益4200億円といずれも前年度の実績を上回る。2018年度上半期の純利益はすでに2947億円。2018年度全体における進捗度はすでに70%に達している。契約数も順調に増加。特にY!mobileの伸びが大きく、契約者数は第2四半期に400万契約を突破。大容量プランに特化しつつあるSoftBankブランドでも着実に純増を積み上げているという。

通信事業の顧客基盤を強化・活用しつつ、新規事業を創出する。他キャリアでも同種の内容はしばしば語られる

今年度については増収増益を見込んでいる

利益についても着実に推移している

動画見放題などリッチなプランに特化するSoftBank、中容量のY!mobile、エントリークラスのLINEモバイル、3つのブランドで確実に契約数を増やしている

 ソフトバンクの戦略は通信事業を基盤として、しっかりと強化しつつ、このネットワークを活用した新規事業で拡大を目指す。具体的なキーワードはIoT、ビッグデータ、AIの3つ。ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)が出資する、さまざまなユニコーン企業のうち日本の環境に合うビジネスを、ソフトバンクが持つプラットフォーム、具体的には営業部隊、エンジニア、大企業との取引関係などを活用して成功に導く。

海外の最先端ビジネスモデルをソフトバンクのリリースを用いて、日本で成功させるというモデルを拡大していく

 実例もすでに増加している。大きな話題になったPayPayは、SVFが出資したインドの決済企業Paytmからの技術提供により、開発に取り組んで約3ヵ月でサービス開始。コワーキングスペースのWeWorkも1年で国内8拠点に1万2800席を提供。2019年はさらに2倍のペースで開設を計画している。トヨタ自動車との提携によるMONETも年度内に事業開始予定だ。

不正利用についても報道されているPayPayについては至らない部分があったと謝罪したが、今回のキャンペーン自体は認知度アップなどで大きな成功を得たという見解を示した

コワーキングプレースWeWorkの展開をさらに加速する

 こうした実績にも関わらず、売出価格に対し、公開初日は大きな下落となったのも事実。質疑応答ではこの点について問われ、「マーケットの評価については、我々も真摯に受け止めて、これをスタート地点として取り組んでいきたい」と回答。

 また、新規事業においてはSVF関連の案件が目立つ点、そもそも親子上場の是否について問われると、社外取締役を4人選任するなど、独立した企業として自主的な判断に基づく経営をしていくことを強調。海外の機関投資家にもしっかりと説明をして理解を得ているとした。


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