格安SIMやDSDV対応スマホの活用で回線障害に強くなる

文●正田拓也 編集● ASCII編集部

2018年12月20日 12時00分

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 12月6日にソフトバンクネットワークに大規模な通信障害があり、そのネットワークを使っているMVNOの格安SIMにも影響があった。しかし、DSDV対応のSIMフリー機+複数のSIMを使うことで問題を小さくできたかもしれない。

DSDV対応スマホでは異なるネットワーク回線のSIMを2枚同時に利用できる

異なるネットワークの回線を確保するのに格安SIMは有効

 通信障害時には異なるネットワークを利用するSIMを持っていると安心感が高まる。今回はソフトバンク回線に障害が発生したが、別のキャリアの回線にトラブルが発生しないとも限らない。無線部分だけでなく、その上流でトラブルが起こる場合もあるため、まったく異なる無線ネットワーク、プロバイダーで揃えておくとより安心だ。

 今回の通信障害によって大事な連絡がとれなかったり、経済的損失を被った人は本当にお気の毒だが、一方で世の中に完璧というものはなく、24時間365日、常に順調とは限らない。実際にソフトバンクの約款では「当社が認知した時刻から起算して24時間以上その状態が連続したときに限り、当該契約者の損害を賠償」とある。その場合に賠償される「損害」も、あくまでソフトバンクに支払う基本料や通信料だけなので、おそらくは使えなかった日数分、払い戻されたりタダになったりするだけだろう。

 つまり、通信がまったくできないことによって重大な損害が見込まれるようなら、ある程度はユーザー側で対策すべきということになる。

 そこで低コストなバックアップ回線と言えるのが、MVNOの格安SIMだ。データ通信のみで音声通話は不要というのなら、月1000円でお釣りがくる。非常時以外まったく使わないというのなら、月500MBまで基本料0円のnuroモバイルの「0 SIM」を契約しておくという方法もある。070/080/090番号の音声通話が必要なら「0 SIM」のオプション付きで月700円から。3GBのデータ通信量が付く一般的な格安SIMでも月1600円程度だ。

バックアップ回線は違うネットワーク、違うサービスで

 格安SIMなどバックアップ回線を選ぶ際の注意だが、メインの回線とはまったく別のネットワークのものを選ぶことが重要だ。たとえば、メインはドコモ契約で、サブもドコモ網の格安SIMではドコモネットワークそのものにトラブルがあれば共倒れだ。また、auとドコモのネットワークに分けたとしても、たとえばともにmineoであればmineo側の設備にトラブルがあればどちらも使えなくなるかもしれない。

SIMを複数用意しておくと安心だ

 さらにMVNOの格安SIMのなかには、ネットワーク接続を別のMVNO(これをMVNEと呼ぶ)に依頼しているケースもあるので、これも注意だ。たとえば「BIC SIM」の中には、サービスの中身自体はIIJmioとまったく同じものもあるので、IIJmioのSIMとの組み合わせではバックアップにならない。

 格安SIM同士でもネットワークが別のサービスを組み合わせてもよいし、サブブランドを組み合わせてもよいだろう。万全を来たすなら、さらに回線数を増やしてもいい。ドコモ/au/ソフトバンクと3つのネットワークのサービスと契約すればより安心だ。

 障害時にはWi-Fiスポットで対応するという考えもあるが、今回の通信障害で露呈したように、実際にはWi-Fiスポットのバックボーンが実はソフトバンクのLTE回線だったというものもある。同様にドコモやauのLTE回線を利用しているWi-Fiスポットも存在している。

複数SIMを同時に使うのに便利なDSDV対応SIMフリースマホ

 複数のSIMを同時に使うとなると、スマホの「2台持ち」がまず思いつくが、「DSDS」や「DSDV」と呼ばれる機能に対応したスマホであれば1台で2枚のSIMが挿入できて同時に待ち受けできる。DSDSとDSDVの違いは2枚同時にLTEでの待ち受けが可能かどうか。音声通話はVoLTEになるauネットワークを使う場合はDSDV機でないと都合が悪いことが多い。

 DSDV対応スマホはドコモ/au/ソフトバンクといった主要キャリアから販売されているモデルにはなく、基本的にSIMフリー機の中から選ぶことになる。お手頃なDSDV対応スマホとしては、OPPO「R15 Neo」があり、2万5000円ほどから入手できる。しかもドコモ/au/ソフトバンク、3キャリアのネットワークに対応しており、2枚のSIMを同時に使える。

ソフトバンクとauのSIMで同時に待受している。APNなどはそれぞれ設定する

 DSDVって設定が難しいのでは? と思うかもしれないが、格安SIMを利用するときのAPN設定をSIM2枚分するだけ。必要に応じて回線に「メイン」や「予備」といった名前を付けておけば間違えることも少なくなる。

 注意すべき点は、実際の利用でどちらの回線でデータ通信をするかといったことや、電話発信時に発信元の回線を間違えないようにすることくらい。これはあらかじめ端末でどちらを利用するか、通話でどちらを優先するかなどを設定できる。また、2枚目は完全にサブなのであれば、必要ない場面では無効にしておくことも可能だ。

 ちなみにR15 Neoでは、発信時にSIMに付けた名前で選ぶことができるが、着信時は「1」か「2」といったSIMを挿入したスロットの番号しか表示されない。2枚のSIMを使い分けている場合は、どちらの番号にかかってきたのかをよく確認してから電話に出るようにしたい。

どちらのSIMで発信するかを毎回選ぶことも可能。どちらのSIMでの着信かは小さな数字でしか表示されないので、若干注意が必要だ

着信転送サービスでサブ回線に転送も

 2枚のSIMをより便利に使うなら、着信転送サービスも活用したい。圏外になったときにもう片方に電話を転送して確実に連絡を受けることもできるのだ。

 たとえばメイン回線が行動範囲で圏外になる可能性があれば、事前にメイン→サブへの転送設定をセットしておけばいい。やり方はメイン回線の着信転送サービス設定次第になるが、たとえばauネットワークなら1422+転送先電話番号をダイヤルし、解除は1420をダイヤルする。圏外のときに設定した番号に転送される。

 着信転送サービスを用いた転送先への通話料は基本的に有料だが、通話定額などに入っていれば定額の範囲に入ることもある。大手キャリアの国内通話定額でも転送分は対象だ(Y!mobileでは対象外)。

バックアップも低コストでできる格安SIM

 QRコード決済の普及開始による決済サービスなど、ネット接続環境がなければ何もできないという世の中になりつつあり、ネットワークインフラに対する信頼性はますます求められている。

 バックアップ回線の確保というとコストが増えたり、機器が増えたり持ち歩くものが増えるという印象があるが、格安SIMをうまく使えば比較的手軽に実現できる。ぜひ低コストで信頼性の高いネット環境を実現してほしい。

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