折りたたみスマホの日本導入はありえる! サムスン海外トップが語るGalaxyの国内展開

文●山根康宏 編集● ASCII編集部

2019年03月14日 10時00分

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サムスン電子のモバイル部門CEO、DJ Koh氏

 3月8日にグローバル市場でGalaxy S10シリーズの販売を開始したサムスン電子。4月には折りたたみ型スマートフォン「Galaxy Fold」も登場予定です。話題の新製品の日本動向や、原宿にオープンさせた「Galaxy Harajuku」の狙いなどを、同社のモバイル部門トップ、DJ Koh(DJコー)CEOに聞いてみました。

Galaxy Foldはこうして開発された

───大きな話題となっているGalaxy Foldですが、日本でも気にしている消費者は多くいます。ずばり、日本で発売する予定はあるのでしょうか?

DJ Koh氏 日本で発売するために、キャリアとも調整を行なっているのは事実です。ですがGalaxy Foldの数がグローバル市場で非常に限られているため、世界各国すべてのキャリアに出すことはできません。日本では年内に出せることを希望しています。

日本でGalaxy Foldを出すと明言してくれた

───Galaxy Foldはどのような経緯で開発されたのでしょうか?

DJ Koh氏 Galaxy Foldよりもはるかに昔、10年前に我々はGalaxy Noteを開発しました。当時4型前後が主流だったスマートフォンの世界に5型という大型ディスプレーを搭載することで画面への没入感を増し、さらにワコムと共同開発したペンを付属させまったく新しいカテゴリの製品を生み出しました。そしてGalaxy Noteはメインストリームの製品となり、他社が似たような製品で追従をしています。

 Galaxy Foldの開発は、Galaxy Noteよりも大きいディスプレー体験を提供するにはどうしたらいいのか、という点からスタートしました。当時、人の手で持てるスマートフォンのディスプレーの最大サイズは6~7型が限界と考えていました。しかし、それより大きい画面を搭載するためにはどうすればいいのか。その答えが折りたたみ型でした。とはいえディスプレーを曲げるには多くの技術が必要です。ヒンジのメカニズムはもちろん、20万回、30万回といった開閉に対しての耐久性、本体のバッテリーをどうするかなど、乗り越えなくてはならない壁は数多くありました。

───Galaxy Foldはディスプレーが内側に折り曲がります。なぜこのような構造にしたのでしょうか? また優位性はどこにあるのでしょうか?

DJ Koh氏 Galaxy Foldの開発は、ディスプレー部分も含め実は8年くらい前から着手していました。そして昨年(2018年)11月のデベロッパー会議でようやく製品を披露することができたのです。ハードウェアをただ作るだけではなく、ディスプレーを開くことができ、そして開いた状態で4:3のアスペクト比を有効利用できるアプリケーションなどがそろわないとお客様には製品として出せません。Galaxy Foldの3つの画面(アプリ)を同時に開く機能は1年前からグーグルと協業して開発しました。

 さまざまな検証をした結果、我々は内側に折りたたむ方式のほうが優位と判断したのです。もちろんこのデザインが主流になるかどうかはこれからの検証も必要です。

折りたたみディスプレーを採用したGalaxy Fold

───Galaxy Foldはどのような使い道を想定されていますか?

DJ Koh氏 さまざまなユーザビリティーが考えられます。1つが発表会でも披露した3つのアプリの同時起動です。PCのようなマルチタスク環境を手軽に使うことができます。また、開いた状態でソフトウェアキーボードを表示すると快適なタイピングも可能です。これもPCと同じ体験を提供できると考えています。

 たとえば車の中で閉じた状態で地図を見て、より詳細が見たくなったら開いて使うことで没入感も体感できます。私自身は毎朝運動をしているのですが、フィットネスマシンの上にGalaxy Foldを広げてコンテンツを見たりしています。「大画面ならタブレットでもいいのでは?」ともいわれますが、Galaxy Foldならこれ1台でスマートフォンとタブレットを兼用できるメリットがあります。

日本でも海外モデルの修理を可能に

───今回原宿に大規模な店舗をオープンしましたが、他の都市への展開は考えていますか?

DJ Koh氏 これまでこうした体験空間は新製品の発売ごとに展開してきました。ですがそれらは限定的、3ヵ月や6ヵ月というものでした。今回は弊社の製品を消費者が直接体験できる場所を作ろうと、2年くらい前から展開を考えていました。この体験空間を10年のスパンで展開を考えています。現時点では原宿以外への展開は未定ですが、評判が良ければほかの都市への展開もしたいですね。これからの皆様の反応をみて考えたいと思います。

───Galaxy Harajukuでは端末の1時間での修理が可能とのこと。日本以外、海外で販売されたモデルも修理をしてくれるのでしょうか?

DJ Koh氏 原宿という場所を選んだのは日本の方はもちろん、世界各国からお客様が集まる場所だからです。まずは日本販売モデルの修理を受け付けますが、現在、6月をめどにグローバル販売端末の修理を受け付ける準備を進めています。

 「Galaxyブランドをお客様に愛される製品とブランドにする」。これが私の経営哲学です。Galaxyを使われているお客様がいつでも安心して使えることを考え、サービスやサポートを展開したいと考えています。

Galaxy HarajukuはGalaxyの情報発信やサポートを行なう

───日本市場は間もなく料金の完全分離モデルが導入されます。御社の製品販売に影響が出ると思われますか?

DJ Koh氏 料金分離は、すでに韓国市場で経験しております。ある程度影響が出るかもしれませんが、最も重要なのは、革新的な製品を作るということです。いい製品を作ることができれば、環境や制度の変化が多少あっても消費者の皆様に受け入れられてもらえると考えています。

───日本市場へのSIMフリー端末の投入は検討されていますか?

DJ Koh氏 韓国では「自給制」という名前でSIMフリー型の販売もしており、Galaxy S10の発売時には消費者の方もそちらを選ぶケースがありました。SIMフリー販売は消費者の購入選択の幅を広げるものと感じています。

───日本ではGalaxy Feelなどミッドレンジモデルも人気ですが、今後の製品展開はどのように行っていくのでしょうか?

DJ Koh氏 実は日本市場はこれからフラッグシップモデルで勝負をしたいと考えております。とはいえ、パートナーの方が求める価格や性能を満たした製品を提供することで消費者の方々も喜んでいただくことができると考えています。Galaxy Feelなどはパートナーの料金制度との組み合わせでいい反応をいただいているとも聞いております。

 ですから今後の製品展開は、ミッドレンジやハイエンド、といった製品そのものにフォーカスするというよりも、パートナーやお客様の声に耳を傾け、その要求を実現できる製品を投入することが一番だと考えています。たとえば、日本ではまだフィーチャーフォンユーザーが多いですから、その方々の乗り換え先としてミッドレンジモデルを出すことも一つの回答になるでしょう。

───日本ではハイエンドはiPhoneが強く、ローエンドは中国メーカーが台頭しています。どのように対抗していきますか?

DJ Koh氏 我々がやるべきことはお客様に信頼されて愛される製品を作ることが第一だと考えています。Galaxy Harajukuでサムスン製品の革新性をお客様に伝えることも重要だと思います。

Galaxy S10eはなぜ生まれた?
シェア1位を守るための秘策は?

───これまで2つのモデル展開だったGalaxy Sシリーズですが、今回は小型モデルの「Galaxy S10e」が加わっています。

DJ Koh氏 Galaxy S10eはお客様からの3つの要望の声にこたえて製品化しました。

 まずGalaxy S8以降、弊社の製品はエッジスクリーンと大画面モデルを基本としています。しかし、一部の消費者の方々から「フラットスクリーンのモデルも欲しい」という声が聞かれました。

 2つ目は女性のお客様を中心に、より小さいサイズのモデルを作ってほしいという声も多く聞かれました。

 そして3つめはフラッグシップモデルの仕様を若干変更することで、より適切な価格で製品を展開してほしいという意見も聞かれたのです。

Galaxy S10eは市場の声から生まれたとDJ Koh CEOは話す

───2月の発表会では5Gモデルも含め5機種が登場しました。今後もモデル数は増やしていく方向でしょうか?

DJ Koh氏 消費者の皆様のスマートフォンに対する要求は多様化しています。さまざまな要求条件に対応するのは正直大変なところもあります。しかしお客様に愛され、信用されるためには、その声にこたえるのがサムスンのやるべきことと考えています。

───御社はスマートフォンのグローバルシェア1位です。それを維持するためにこれからどのようなことをされていくのでしょうか

DJ Koh氏 No.1を守り続けることは非常に難しいことです。なぜなら、現在スマートフォンの技術のほとんどは一般化していて、多くのメーカーが市場に参入しています。お客様の考えやご意見に対して迅速に対応できなければ市場1位をキープするのは大変でしょう。

 インド市場ではオンライン販売に特化したモデル「Galaxy M」シリーズを出して成功しました。グローバルではGalaxy Sシリーズの性能要求には満たないものの、革新的な技術を先取りして搭載する「Galaxy A」シリーズも展開しています。お客様の要求・需要に常に対応できる体制をとること。これがシェア1位をこれからも維持するために重要なことだと考えています。

───ありがとうございました。

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