松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」

人によって反応が異なるドコモの新料金プラン (1/2)

文●松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

2019年04月16日 17時00分

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 NTTドコモは4月15日に、新しい料金プランを発表しました。政府から携帯電話会社が利益を上げすぎており、4割程度値下げできるはずだと指摘され、ドコモも対応することになりました(同社は関連性を否定していますが)。

「最大4割オトク」とドコモは表現していますが、そもそも“値下げ”と言える無いようになっているのでしょうか?

 株式公開されている営利企業に対して行政が関与することを疑問視する声もあります。一方で、NTTドコモの株式の2/3は親会社の日本電信電話株式会社(NTT)が保有しており、そのNTTの1/3近くを政府が持っているのです。株主の言うことを聞くのも致し方なし、なのかもしれません。

 さて、ドコモユーザーの皆さんの反応を見ていると、この新料金プランはむしろ改悪、値上がりした、という声も多く聞かれました。通信料金と端末代金を分離するという要素も同時に実現した新プランということで、端末購入時に発生する割引サービスが消滅したことから、トータルでは同じか、むしろ値上げになってしまうケースもあるようです。

 たとえば現在ドコモユーザーとして、

●SIMフリーのスマホを家族2台で使っている(端末代のドコモ経由の支払いなし)
●国内通話5分まで無料のカケホーダイライトに2人とも入っている
●2人で毎月30GBつかえるウルトラシェアパック30に入っている
●ドコモ光でインターネットとひかり電話を利用している

という風に使っている場合、毎月の支払いは約2万円です。これを新料金プランの「ギガホ」と5分音声通話無料オプションに切り替えると、約1万7000円で、値下げは3000円程度。もちろんそれでもありがたいわけですが。

 つまり、すでにスマホを大活用している家族で、光回線も含めてドコモ経済圏にどっぷりと浸かっていなければ、なかなか値下げの恩恵を受けられないと考えて良さそうです。

 裏を返せば、ぜひ多くの顧客の皆様に、ドコモの深い活用をお願いいたしますというメッセージに見えます。

通信料金と端末代金の完全分離を目指す日本は
海外と比べても厳しすぎる?

 Appleは米国などでは、下取り価格を保証し、毎年iPhoneを交換できるiPhone Upgrade Programを展開中です。デバイスによって月額料金は変わりますが、12ヵ月支払っていれば、新モデルに乗り換えられます。

 仕組みとしては、iPhone購入時に24回払いのローン契約を結び、12回支払ったところでiPhoneを下取りに出すと、残債を相殺して、また新たなiPhoneのローンを組み直すという手続きになります。

 ほぼ半額でiPhoneを使い続けられ、しかもApple Care+まで付帯するお得なサービスですが、ローンがApple IDのアカウントで管理できない店、またApple Store店頭に在庫がないと手に入れられないことから入手が遅れてしまうなど、必ずしも良くできているサービスとは言えません。

 通信会社ではないAppleがこのようなサービスを提供する限りにおいては、日本の通信行政の方針である通信と端末の分離は成立していると言えます。では米国では、きちんと線引きされているかと言われると、そうでもありません。

 ローンと下取りの組み合わせだけでなく、「リース」契約も含めて、米国の携帯キャリアは端末販売施策を強化していますし、契約している人を優遇して割引販売するプランや、さらには1台買ったら1台タダといったキャンペーンを展開している例もあります。

 また英国のEEをみると、iPhone XS Maxを170ポンド(約2万5000円)で販売したうえで、(実質的に端末代金も含まれた)月額料金は70ポンド(約1万円)で30GB使い放題、というような日本のこれまでの販売方式と同じ通信と端末のセットも存在しています。

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