松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析

アップルの支配色が強くなった「サブスク」戦略 (1/4)

文●松村太郎 @taromatsumura

2019年04月18日 09時00分

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 アップルは3月25日のイベントで、雑誌、ゲーム、クレジットカード、テレビの各種サービスを発表しました。雑誌はすぐにスタートし、カードは夏から、そしてゲームとテレビは秋からのスタートとなります。

 サービスとして見るのではなく、iPhoneのユーザー体験として見てみるとどうでしょうか。すると、アップルが既に提供している音楽のサブスクリプションサービス、Apple Musicの設計と同じであることが分かります。

 Apple Musicは、iOS標準のアプリである「ミュージック」と統合されたサービスであり、追加アプリをダウンロードすることなく、そして多くの場合、追加でクレジットカード番号を入力する必要もなく、すぐに5000万曲という膨大なタイトルを楽しむことができるようになります。

 ここで重要なのは、

1. 「Apple MusicをiPhone以外の手段がなくても知ること」ができる
2. 「追加アプリをApp Storeからダウンロードする」必要がない
3. 「新たにアカウントを作成」する必要もない
4. 「カード番号を入力」せずに使い始められる

 という4点です。

 裏を返せば、Apple Musicの競合となるサービスは、この4つのハードルを乗り越えなければ、サービスに登録することができないことになります。

 イベントでティム・クックCEOは、ハードウェア、ソフトウェア、サービスの三位一体の開発を標榜し、これによって優れたユーザー体験を実現するアップルならではの方針を打ち出しました。

 確かに、純粋に音楽を聴き始めるまでのハードルはなくなりました。

 同様に、雑誌であればNewsアプリ、クレジットカードであればWalletアプリ(クレジットカードを作成するところからして、このアプリだけで完結します)、ゲームであればApp Storeアプリ、テレビであればTVアプリを開けば、すぐに洗練された体験を楽しめる環境を整備しているわけです。

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