米国のファーウェイ攻撃は続く 英国では国防大臣の更迭も

文●末岡洋子 編集● ASCII編集部

2019年05月15日 16時00分

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 米中貿易戦争に関連したファーウェイ問題はいまだに継続中だ。ファーウェイの業績自体は堅調で、スマートフォンでも一人勝ちのような勢いだが、ネットワーク機器の安全性については証拠が少ない中で議論が進んでいる。

英国の5Gネットワークインフラにファーウェイ製機器が認められるという報道がなされたが、これが国防大臣によるリークとして更迭されることに。画像はそのギャビン・ウィリアムソン氏のサイト

ファーウェイを認める決定をリークしたとされる
英国の国防大臣が更迭

 5月1日、米国の盟友である英国で、国防大臣のギャビン・ウィリアムソン氏が解任された。英国の5Gネットワークにおけるファーウェイ製機器の可否についての、国家安全保障会議(NSC)での協議内容をリークしたからだという。本人は疑いを否定している。

 英国でのファーウェイ製機器の扱いについては、BTが排除する、Vodafoneが部分的に調達を停止するといった、通信事業者単位でのいくつかの動きがあるが、政府としての方針は春の終わりに決定することになっていた。NSCでの話し合いはその決定に向けたもので、リーク内容ではアンテナなど中核ではないインフラでファーウェイ製品の使用を認めるという方針になったという。

 このリークが引き金となったのか、まだ正式決定はしていない英政府に対して、米政府はファーウェイ製機器ボイコットのロビー活動を強化しているようだ。Gurdianによると、米国の政府関係者が4月末にブリーフィングを行なったという。「リスクに基づくセキュリティーフレームワークを持てば、ファーウェイの禁止は不可避とわかるだろう」という国務省次官補代理のロバート・ストレイヤー氏の発言を米政府の意見として引用している(https://www.theguardian.com/technology/2019/apr/30/us-lobbies-mobile-phone-firms-in-anti-huawei-campaign)。

 またGuardianは、オランダ最大手のKPNが5Gで西側企業を採用する方針を固めたことも紹介している。KPNのCEOは記者会見の席で、「自分たちのネットワークの安全性についての政治的な議論を認識しており、欧州と米国に5Gのネットワーク機器を供給できるサプライヤーがある」と語ったという(https://www.theguardian.pe.ca/business/dutch-telecom-kpn-wont-use-huawei-for-core-5g-network-305717/)。

ファーウェイ創業者の娘は米国への送還を拒否

 渦中のファーウェイにも動きがあった。5月8日、創業者の娘でCFOを務めるMeng Wanzhou(孟晩舟)氏の米国への強制送還についての予備審理が、Meng氏が拘留されているカナダで開かれたのだ。

 Meng氏は2018年末、移動中のカナダで逮捕されている。2週間後に保釈されたが、保釈金は1000万カナダドルでGPSを身につける、警備は自分が負担するなどの条件つきだ。

 予備審理でMeng氏の弁護士は、米国がイランに課す貿易制裁に反する取引を行なっていたとされるSkycomの事業やSkycomとファーウェイの関係を銀行も理解していたことなどを主張したという。Meng氏はSkycomの取締役を務めていたが、米国側はMeng氏は虚偽の説明を金融機関にしていたと主張していた。

 また、米国政府が主張しているのはイラン制裁の違反だが、「カナダではイランが関連した金融サービスについて制裁を行なっていない」とし、カナダでは有罪ではないので送還の必要はないとも主張している。

 弁護側は人権面からの主張もしている。拘留時にMeng氏の電話が取り上げられパスワードも開示させられたほか、所持品も調べられたことなどが、人権を侵害しているというのだ。この件について、Meng氏はカナダの入国管理局を提訴している。

 Meng氏は現在、自身がバンクーバーの自宅で軟禁されているが、市内に所有する2軒のうち、広くて門がある自宅に移っている模様。

一方で業績自体は好調なファーウェイ、Q1の売上高は約40%増

 そんな中にあっても、ファーウェイの勢いは衰えていない。4月末に発表した2019年第1四半期の業績では、グループの売上高は前年同期比39%増の1797億人民元(約2兆9668億円)とのこと。いくつかの数字を拾うと。

・2019年3月末時点で5Gでの商用契約のもとで累計7万局の基地局を出荷
・2019年第1四半期時点でWiFi6対応製品の出荷では世界一
・2019年第1四半期のスマートフォンの出荷台数は5900万台
・パブリッククラウド「Huawei Cloud」を利用する企業と開発者は100万以上

 報道ではアンチ旋風が吹き荒れているように見えるが、5Gのネットワークではすでに40以上の商用契約を結んでいる。

 ファーウェイが5Gにおける技術的/コスト的に重要な選択肢となっていることは間違いない。先のDell Technologiesのイベントで、この問題についてVIAVI Solutionsの幹部、Amit Malhotra氏は「5G技術を供給できるところは限られている。さまざまな議論が出ているが、時期とともに収束していくだろう」との見方を示した。一方で、楽天が採用するAltiostar Networks、Mavenirなど仮想化の動きにも期待が出ていた。


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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