2年契約も1000円の解除料も無し!? 契約に自由があるMVNOの格安SIM

文●正田拓也 編集● ASCII編集部

2019年07月14日 12時00分

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 携帯電話の2年契約を途中で解約する際の違約金が、現行の3キャリアの9500円から上限1000円へと、法的に強制されようとしていることが話題になっている(今回の料金はすべて税抜)。

 しかし、MVNOの格安SIMであれば、一定期間を過ぎた場合には違約金がなく解約できるほか、一部のサービスではいつ解約しても違約金はなし。2年契約が自動で更新されて、一定期間だけがタダで解約できる3大キャリアとは大きな違いだ。そこであらためて違約金の状況についてまとめた。

2年契約+自動更新がサービスの流動性を妨げていると考えているのか、途中解約にともなう違約金の上限を1000円にしようと国が動いている

格安SIMは解約金がかからないのは本当?

 最初に区別しておくと、一般には格安SIMと分類されるものの、大手キャリアによる“サブブランド”のUQ mobileとY!mobileは別に考えてほしい。この両サービスは一部プランを除き、3大キャリアと原則同じ。つまり2年契約が前提で2年経過後は自動更新され、解除料などが不要で解約できるタイミングは2年に1度の更新月前後のみとなる。

 一定期間が経過すれば解除料などかからずに解約できるのはIIJmioや楽天モバイルをはじめとするほとんどのMVNOの格安SIM。しかも、一定期間内に解除料が必要なのは音声通話付きの契約のみで、データ通信だけの契約では短期解約の違約金などはないのが大半だ。

 必要な違約金だが、音声契約付きの多くは、最初の1年間は解約時に1万円程度というのが主流。期間や制度は事業者によって違いがあり、主要サービスのうち、楽天モバイルの「スーパーホーダイ」に2年や3年といった契約もあるが、OCN モバイル ONEは6ヵ月と短い。また、IIJmioは契約月に解約すると1万2000円の違約金がかかるが、毎月1000円ずつ減額して契約してから12ヵ月目なら違約金は1000円、13ヵ月目からは不要となる。

音声通話付きのSIMでも
違約金なしで解約できる格安SIMもある

 格安SIMのなかには、いつ解約しても解除料も違約金もないものもある。最も自由なのがb-mobile「Start SIM」やnuroモバイルの「お試しプラン」でいつ解約しても違約金がない。MNPで転出する場合も短期解約が理由としての手数料の割増もない。

 MNP転出ではなく、純粋に回線を止めて電話番号をなくす「解約」であれば、mineoやイオンモバイルも違約金がない。MNP転出の場合の金額は、mineoは12ヵ月以内のMNP転出のみ、転出手数料のほかに解除料の9500円がかかる。イオンモバイルはもう少し複雑で、イオンモバイルで新規に契約した電話番号は、契約から90日以内のMNP転出は転出手数料込みで1万5000円と高額。しかし、MNPで転入した番号での契約なら、すぐに転出しても転出手数料は通常の3000円となる。

たとえばmineoは、1年以内でのMNPでの転出の場合のみ、比較的高額なMNP転出手数料が設定されており、通常の解約の場合は無料で可能だ

 つまり、イオンモバイルであれば、大手キャリアからMNPで転入して、期待どおりのサービスでなかった場合は、すぐに別のところに乗り換えても高額な違約金が発生しない、という状況を保証したサービスと言える。

違約金はなぜ必要か? ユーザーにメリットはあるのか?

 もともとデータ通信のみの提供だった格安SIMは、長期契約という発想がなく、すぐ解約しても違約金そのものがなかった。それが、音声通話付きのプランが登場したタイミングで、短期で解約すると違約金が必要となっていった。

 MVNOの格安SIMが短期解約の違約金を徴収する理由については明らかにされていないが、一説には格安SIMで発行した電話番号を持ってMNPで3大キャリアに乗り換えることで、3大キャリアと新規契約するよりもMNPでの乗り換え特典を多く獲得するユーザーが発生することを阻止するためとも言われているが、真相は不明だ。

 また最近はMVNOの格安SIMでも、加入時の端末の格安販売や高額特典、加入後一定期間の月額費用の割引施策などを実施している。短期解約を阻止する制度がなければ、このような特典は生まれてこなかった可能性もあり、違約金を設定しているがゆえの恩恵とも言える。

“違約金1000円”で格安SIMへの影響は

 さて冒頭の内容に戻り、2年契約の途中解約での違約金を上限1000円までとする施策が総務省によって推進されている。ドコモ、au、ソフトバンクなどの大手キャリアを想定した変更案だ。ただし、100万契約以上の事業者やMNOの関連会社にも適用されるので、楽天モバイルやIIJmio、OCN、mineo、LINEモバイル、BIGLOBEなども対象となる。

 違約金が問題となるのは1年を超える契約の場合なので、MVNOの格安SIMの場合はそのままになるかもしれないが、いずれにせよ、もし実施されれば、短期利用の違約金の逆転現象が起こってしまう。音声通話付きの場合、前述した違約金なしのサービス以外では、約1万円の違約金が残ってしまうため、短期利用なら3大キャリアのほうが安価になる可能性もある。

短期利用では2年契約なしでも
約1万円の違約金がかかるキャリアがある

 どうしても短期利用のための回線が必要な場合、一部を除いた格安SIMでは違約金がかかるため、3大キャリアの2年契約なしで加入する方法を検討している人には注意がある。

 2年契約なしであっても解約すれば高額な違約金がかかることがある。たとえばソフトバンクでは2年契約が前提ではないプランでも、契約1ヵ月目に解約すると9500円、2ヵ月目なら7200円、3カ月目は5000円の解除料がかかり、実質的な3ヵ月縛りとなっている。ソフトバンクの「ウルトラギガモンスター+」は大量通信には便利なプランで、SIMだけの契約では2年縛りなしの契約が優遇される制度があるが、ごく短期間だけ利用するには注意が必要だ。

 また、短期間でMNP転出をした場合の費用増額もある。たとえばドコモのMNP転出料は通常2000円だが、機種購入なしの新規契約については契約日から90日間は転出料が5000円に増額される。ソフトバンクも同様で、機種購入なしの新規契約、つまりSIMだけの契約では契約後翌々請求月末までのMNP転出には転出料が5000円と通常の3000円よりも増額となる。

結局、今後の違約金はどうなる

 3大キャリアの2年契約の違約金は、政府の意向もあって、報道されている案どおりに違約金の上限1000円となることは考えられる。端末購入と通信料金を完全分離すれば2年契約自体の意味も薄れているほか、加入時に契約事務手数料を徴収している以上、短期で解約されても実際にはキャリアへの損害は大きくないはずだからだ。また、携帯電話事業は公共の電波を使う許認可事業であり、ユーザーに不利な状況なら国が是正措置を検討するのは理解できる。

 しかし、MVNOの格安SIMについてはどうなるわからない。携帯電話事業者の乗り換えを推進することが目的であることからすると、格安SIMも違約金を含めた制度を変更したうえで自社サービスをアピールする可能性も考えられる。

 ただし、2年契約に限って違約金を1000円にするということになった場合、ソフトバンクのように2年契約ではないプランでも、短期解約の違約金を制度に盛り込む可能性がある。こういうことが許されるかどうは政府の制度設計にかかっており、抜け道的な縛りが施されるかどうかはユーザーの監視と声を上げていく姿勢が重要となる。

 また、これまでの通信料金の変遷からすれば、政府介入による制度変更は混乱が生じるもの。損をしないためにも携帯電話をとりまく動きにはしばらくは十分注意したほうがよいだろう。

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