モバイル業界に今秋殴り込みをかける楽天、三木谷氏「通信に革命を起こす」

文●小山安博 編集● ASCII編集部

2019年08月02日 16時00分

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 楽天が開催した自社イベント「Rakuten Optimism」では、10月の開始が近づく携帯電話事業などについて、トップの三木谷浩史氏らが紹介。インテルやクアルコムなど、楽天のパートナーとなる各社も登壇して、5Gが実現する世界をアピールした。

オープニングキーノートとして講演する楽天 代表取締役会長兼社長最高執行役員 三木谷浩史氏

楽天の創業から約20年
5Gの時代に向けて通信速度は約100万倍に

 オープニングキーノートで登壇した三木谷氏は、1997年に2人で始めたという同社の歴史に触れ、当時出店数は13、1ヵ月の売上は32万円(ちなみに、そのうち三木谷氏が20万円ほど購入していたので、実際の売上は12万円)だったそうだ。そのときの通信速度は固定回線でも28.8kbpsという速度だった。それが、今や無線回線でさえ4Gのスマートフォンで10~20Mbpsといった速度となっており、「1000倍の高速化」(三木谷氏)と語る。

楽天創業初期の写真。たった2人から始まった

 約20年の間に通信速度は1000倍となったが、今回のイベントのテーマでもある5Gの時代になると、さらに1000倍、97年当時から比較すると「100万倍、インターネットのスピードは速くなる」と三木谷氏は強調。これによって「人力車から新幹線やジェット機(への変化)というぐらい、情報通信網はまったく違うものへ進化しようとしている」とする。

 こうした5Gへの進化を実現するために、楽天はMNOとして参入する。「10月から徐々にサービスイン」と三木谷氏は話し、当初は4Gから徐々に5Gに移行していく方向性を示しつつ、既存のMNOに対して「言葉は悪いが、殴り込みをかけようとしている」と意気込む。続くパネルディスカッションに登場した楽天副社長執行役員CAOで楽天モバイルのCTOであるタレック・アミン氏も、「テレコム業界は過去20年間何も変わっていない」と強調し、楽天モバイルがもたらそうとする変革に自信を見せる。

楽天モバイルのCTOであるタレック・アミン氏

 その変革における目標は「モバイルネットワークの民主化」だ。高速な通信網を安価に提供することで、「新しい使い方のできるネットワーク」の実現を目指す。

完全仮想化のネットワークで通信に革命を起こす
エッジコンピューティングにも力を入れる

 その際に、常々アピールされているのが「完全仮想化」と表現するネットワーク。従来のMNOが大がかりなハードウェアで実現してきたネットワークをソフトウェア化することで、ネットワークやサービスの柔軟性、投資金額の抑制、メンテナンスなどの変動費の削減などが可能になるという。「完全仮想化は全世界のネットワーク技術者の夢だった」と三木谷氏は語る。

完全仮想化ネットワークを目指す楽天モバイル

 「通信ネットワークの常識がひっくり返る。iPhoneがデバイス上のレボリューション(を実現したもの)であれば、道路(通信)自体に革命を起こす」とアピールする。

 まずは10月の参入時は4Gネットワークでこれを実現するが、この新しいネットワークは「5Gネットワークにも大きなインパクトがある」という。ソフトウェアによる仮想化で、5Gでも、そしてそのさらに先にある6Gでもソフトウェアがすべてを制御し、これまでできなかったようなネットワークが可能になる、というのが三木谷氏による主張だ。

「真の5G」を目指す楽天モバイル

 このネットワークでは、「モバイルエッジコンピューティング」も重要なキーワードとなる。エンドユーザーの持つスマートフォンのような端末は、ネットワーク上のサーバーとデータをやりとりする。この際の処理を行なうのは、現状ではこうしたサーバーか端末だったが、三木谷氏は「モバイルエッジサーバー」を多数設置し、端末ではできなかったような高度な処理を肩代わりし、より低いレイテンシでデータをやりとりするネットワークを構築する。

モバイルエッジコンピューティングによって、より高度なサービスをさらに低遅延で実現できる。端末自体のパワーは最小限で済むため、さまざまなデバイスで5Gサービスを実現できる

 「全国に4000以上のモバイルエッジサーバーを設置する。大体、自分の周囲2~5km以内に大規模なコンピュータが存在しているようなもの」と表現し、超大容量のゲームを長時間かけてダウンロードする必要もなく、高性能なスマートフォンでなければ処理できないような高度なグラフィックスのゲームも、低スペックのスマートフォンで遊べるようになるという。「ハンドセットは何もしなくていい」(同)という仕組みを構築する。

 単に通信速度が1Gbpsというだけなら、既存の技術の改善だけでも実現できる。「真の5Gは、技術の革命。進歩ではなく革新」と強調するアミン氏。ゲストスピーカーとして登壇した米インテルのCEOであるロバート・スワン氏も、インテルと楽天とのパートナーシップで、エッジコンピューティングを推進することを強調した。

インテルCEOのロバート・スワン氏

 米クアルコムのシニアバイスプレジデント兼4G/5G担当ジェネラルマネージャーのドゥルガ・マラーディ氏は、米国や韓国、豪州など7つの地域で5Gが始まっており、2020年にかけては日本をはじめ、さらに5Gのサービスが世界で広がる。その際に重視するのは「5Gで何ができるのか」という点。5Gを活用したさまざまなアプリケーションが登場しているものの、「まだ始まったばかり」と指摘し、今までにない、新しいアプリケーションの登場に期待し、「発明の時代へようこそ」と聴衆を鼓舞する。

クアルコムのドゥルガ・マラーディ氏
商用化やプレサービスなど、各国で5Gが始まる2019年
すでに75以上の5G対応端末が発売中または開発中で、5Gは「いいスタートを切った」とマラーディ氏は話す

 こうしたネットワークの進化に対して、「インターネットの根本は変わらない」と三木谷氏は話す。ただ、「従来の進化の延長線上に未来はない」というのが三木谷氏の考えだ。通信が速くなり、便利になり、自動化する、といっただけの進化ではなく、「通貨もなくなる。国という定義も変わるかもしれない」と、社会構造自体への変化にも繋がるとみている。

 三木谷氏が描く未来の世界を実現するための第一歩として、今秋から参入する楽天モバイルがどのようなサービスを展開するか。自らハードルを上げる三木谷氏の意気込みを超えることができるか、実際のサービス開始を楽しみに待ちたい。


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