スマホ決済お得な「制限つきマネー」の難点

文●山口健太

2019年08月21日 17時00分

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 キャッシュレスの盛り上がりを背景に「なんとかペイ」の乱立が良くも悪くも話題になる中で、用途や期間に制限のあるマネーの存在感が高まっています。こうした制限つきマネーは使い方を誤ると簡単に価値を失ってしまうだけに、いかに貯めるかだけでなく「いかに使うか」が大事になってきました。

■用途や期間に制限のあるマネーが増加

 「なんとかペイ」が乱立する以前から、企業が発行するポイントにはさまざまな種類がありました。楽天やドコモのポイントを貯めている人なら、期間や用途の限定されたポイントをもらうことも多いはずです。

 たとえばdポイントの場合、通常のポイントは「dカードプリペイド」にチャージしてクレジットカードのように使えますが、キャンペーンなどでもらえる期間・用途限定のポイントではできないなど、明確な違いがあります。

 スマホ決済の増加に伴って、このように何らかの制限が付いたマネーは増える傾向にあります。先日、筆者が遭遇したのは、JCBカードとして使える「LINE Payカード」で大きな買い物をしようとしたとき、LINE Payの残高に含まれる「LINE Payボーナス」が使えなかったという問題です。

 「Payトク」などのキャンペーンに還元されたLINE Payボーナスは、LINE Payカードでは利用できません。これとは別に「LINEポイント」から交換した残高はLINE Payカードで問題なく使えていたので、すっかり勘違いしていました。

LINEアプリの残高画面にはボーナスの内訳が表示されている

 このときは、不足した金額をLINE Payに登録済みの銀行口座からチャージすることで瞬時にLINE Payの残高に反映され、無事に支払うことができました。このスピード感は評価したいところですが、買い物体験としては微妙な気持ちになったこともたしかです。

■貯まったポイントをいかに使うかが重要に

 最近はPayPayにも大きな変更がありました。7月29日にPayPayは残高の名称をリニューアルし、口座などからチャージした残高は「PayPayマネーライト」、キャンペーンによる還元分は有効期間によって2年間有効の「PayPayボーナス」と、60日間有効の「PayPayボーナスライト」の2種類が設けられました。

PayPayは残高の名称をリニューアルした(PayPayのプレスリリースより)

 さらに9月30日以降には、銀行口座への出金に対応したPayPay残高が「PayPayマネー」の名称で新たに加わり、ヤフーが運営するYahoo!マネーと統合する形で実現する予定となっています。

 たとえば毎月開催中の「ワクワクペイペイ」や、セブン-イレブンで開催中の毎週100円を還元するキャンペーンでは、2年間有効のPayPayボーナスがもらえます。しかしキャンペーンによっては60日間有効のPayPayボーナスライトが使われる場合も出てきています。

こちらのキャンペーンは「PayPayボーナス」で還元している

 これからのキャンペーンでは還元率の数字だけでなく、どういう素性のポイントなのかも確認する必要があるわけです。60日間しか使えないポイントは現金より大きく見劣りします。期間や用途が限定されたポイントの価値は低めに見積もるべきでしょう。

PayPay残高の明細。ボーナス分が含まれている

 他の事業者も同様に、口座などからチャージした現金相当のマネーと、それ以外の制限付きマネーは明確に分けられる傾向にあります。背景に法令遵守があることはもちろんですが、サービスのエコシステムの中でマネーを循環させたいという思惑もあるようです。

■使いこなせばトクができる

 一方で、期間や用途を限定したマネーは、制限があるからこそキャンペーンで大盤振る舞いしやすい側面もあるはずです。現金より見劣りするとはいえ、しっかり使いこなせば現金並みの価値を引き出すことは可能です。

 「使いこなせばトクができる」仕組みを面白いと感じる人もいれば、貯めるだけでなく使うのにも工夫が必要という点で二重に面倒くささと感じる人もいるでしょう。いかにして分かりやすく伝え、エコシステムに巻き込んでいくかが事業者の課題といえそうです。

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