アップルはオーディオメーカーになっちまえ「HomePod」レビュー (1/4)

文●四本淑三 編集●飯島恵里子/ASCII

2019年11月16日 12時00分

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 なんだ、いまさらHomePodかよ〜。

 と、今あなたは思ったかも知れないが、それは私も同じだった。この製品が発表されたのは、今から2年前の2017年。以降、まったく国内での評判を聞かなかったので、きっとポシャったのだろう。アップルってたまにそういうこと、あるよね。

 なんて思っていたら、アップル「HomePod」、2019年8月日本国内で発売。それをいまごろ使ってみたというお話です。編集部から試してみる? ということで、豪華2台セットのHomePodが我が家にやってきたのだが、これが実に素晴らしい。

 スマートスピーカーとしての論評、セッティングの詳細はあちこちに上がっているので、まともな話はそっちで確認していただくとして、家に置いて約1ヵ月。ステレオペアにセットアップして、ただぼんやり使ってみた当座の結論は、これはスマートスピーカーじゃなくても良かったんじゃないの? ということ。最近はイヤホンもすごいし、アップルはいっそオーディオメーカーにでもなっちまえ。と、ここから先は、そんな乱暴な内容です。

iPod Hi-Fiの後継機種がHomePod

 スマートスピーカーでなければ何なのかと言えば、AirPlay 2に対応した「iPod Hi-Fi」の後継機種ではないか、と私は思っている。つまりSiriもApple Musicも要らんのだ。

2006年3月1日より、日本でも発売されたiPod Hi-Fi。Apple Remote、取り外し可能グリル、AC電源コード、ユニバーサルドックアダプタが10個付きで、税抜き価格4万0762円であった

 おっと、先を急ぎすぎた。その前に、いまどきの若い方はiPod Hi-Fiなんてご存知ないだろうから説明しておくと、2006年にアップルが発売したパワードスピーカーで、iPodの下に付いているコネクタをスピーカー天面に生えた剣山のような端子にグサッ、と刺して使う。現在のBluetoothスピーカーの先祖のようなもので、当時は同様のスピーカーを様々なオーディオブランドが販売していたのだ。

 そんな中でもiPod Hi-Fiは景気よく鳴る製品だったが、置く場所によって低域の特性がガラッと変わってしまうのが問題だった。底が平べったい上に広く、設置場所と面で接するため共振を誘いやすい。おかげで低域の要らぬ帯域が強調され、中音域を霞ませてしまうのだ。

 「アップルのテーブルって大理石かなんかで出来てるんじゃないの?」というのが当時の感想で、そのせいかどうかは知らないが、発売から2年もしないうちにフェードアウトしてしまった。アップルってたまにそういうこと、あるのだ。

 そのiPod Hi-Fiの弱点を、10年かけて潰してきたのがHomePodなのだと私は思っている。小型円筒形ワイヤレススピーカーとしては、BOSEも真っ青の完成度ではないだろうか。人の好みは色々あるだろうが、私はこのスピーカーの音がとても気に入っている。

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