iPadは10年ごしで「コンピュータ」になってきた Apple
2010年にiPadが登場した時、「PCは死んだ」と声高に叫ばれていました。The New Republicの「The PC Officially Died Today」という記事は、Steve JobsがiPadを、ソファに座ってデモした1月27日に掲載されたものです。
CNNもForbesもWiredもそう書いたし、誰もが「iPadによってコンピュータは消えゆく存在になるんだ」「ソファに腰掛けてタッチ操作で、いまコンピュータでやっていたことがこなせるんだ」という夢を抱いたことは間違いありません。
しかしそれから10年近くが過ぎようとしている今日を見ると、かなり違った景色が広がっています。iPadは2014年を境に3年間の低迷を経て、ようやく復活の兆しを見せ始めました。
またPCはゲーム市場向けにハイエンドモデルが伸び、モバイルモデルを中心に2in1やデタッチャブルといった、モバイルノートパソコンとタブレットを掛け合わせたような形態進化を遂げ、いずれもMac失権を演出しています。
もう少し整理すると、iPadの登場で危機感をおぼえたPCが、ゲーミング需要を満たすグラフィックスを中心とした処理性能に特化したモデルをそろえ、結果的にクリエイティブプロの市場をMacから奪いました。またアップルはiPadとMacの融合は「ない」と繰り返し述べたことで、タッチ操作もしたいがPCソフトも動かしたいという需要は、WindowsベースのモバイルPCのみが選択肢となりました。
ちょうど2016年頃にユーザーや株主から「Mac軽視」の批判が上がってきましたが、その頃にはすべて済んでいた出来事だった、と振り返ることができます。