Parallels Desktop for Mac 2.5 (1/3)

文●田中俊光

2007年03月19日 18時50分

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米パラレルズ(Parallels)社は27日、インテルMac用の仮想マシンソフト『Parallels Desktop for Mac』(以下、Parallels)のアップデート版(ビルド3186)を発表した。

価格は79.99ドル(約9550円)で、15日間の試用が可能。既存のユーザーは無償でアップデートできる。なお、(株)プロトンから発売されている日本語版のシリアルキーは、英語版では使えない。



“0.3”の差とは思えぬ大幅なアップデート


Parallels Desktop for Mac

『Parallels Desktop for Mac』の最新版となるバージョン2.5

今回のアップデートでParallelsのバージョン番号は“2.5”となった。昨年6月にリリースされた最初の製品(ビルド1848)は、先行リリ−スされていたWindows/Linux版と合わせるためバージョンが“2.1”となっていた。さらに同年秋に“2.2”(ビルド1940/1970)にアップデートされている。

バージョン表記だけを見れば、今回のアップデートはやや大きめのマイナーバージョンアップに見えるが、実はメジャーバージョンアップにも匹敵するほどの大幅な機能強化が行われている。数ある新機能のうち、今回は以下の3つを紹介していこう。

  • Boot Camp用ボリュームからWindowsを起動
  • “Coherence”モードでWindowsのデスクトップを表示せずにWindowsアプリケーションを使用
  • ホストOS/ゲストOS間をドラッグ&ドロップでファイルコピー



Boot Camp用のWindowsも起動できる


本バージョンでまず注目したいのが、『Boot Camp』用のボリュームをParallelsの起動ディスクとして指定できるようになったことだ。

Boot Campとは、インテルMacでMac OS XとWindows XPのデュアルブートを実現するアップル純正のβ版ツール。Boot Campでは、Macの内蔵HDDにWindows専用のボリュームを新たに作って、そこにWindowsを組み込むことになる。

一方、ParallelsもインテルMac上でほかのOSを動かせるようにする仮想マシンソフトなので、Windowsなどを使うには別途OSを用意してインストールする必要がある。

Parallelsのバージョン2.2以前では、このWindowsなどのOSを、“ホーム”フォルダー以下にある専用のディスクイメージ内に保存していた。最新版ではこのディスクイメージに加えて、Boot Camp用のボリュームも選べるようになったわけだ。



起動ボリュームの設定方法


ここで「なぜBoot CampとParallelsを併用するのか。Windowsを起動できるなら、片方だけ使えばいいのでは?」と疑問に感じる人がいるかもしれない。

Parallelsには、Mac OS X上でWindowsを起動し、両OSを同時に使えるというメリットがある反面、現状ではビデオカードの3DアクセラレーションやデュアルコアCPUの能力を活かすことができないデメリットもある。

つまりインテルMacでWindows用の最新3Dゲームなどを楽しむには、Boot Campを利用してWindowsを直接起動するほかなかったのだ。

今までParallelsとBoot Campを併用するには、両方の環境に対してWindowsのインストールと初期設定を済ませなければいけなかったが、今後はそのような手間が必要なくなる。

BootCamp1

本機能を利用するには、先にBoot Campを使ってボリュームを作成し、Windows XPをインストールしておく。次にParallelsで新規仮想マシンを作成し、ディスクイメージを指定する代わりに“Use Boot Camp”を選べばいい

BootCamp2

仮想マシンを起動すると、拡張機能“Parallels Tools”の組み込みが行われる。自動的に再起動されるまでそのまましばらく待とう。この間、仮想マシンを終了したり再起動したりしないこと

BootCamp3

Boot Camp用ボリュームを利用し、仮想マシンを立ち上げたところ。ちなみに通常、Finderに表示されているBoot Camp用ボリュームは、アンマウントされる

BootCamp4

インテルMacの実機と仮想マシンではハードウェア環境が異なるため、ライセンス認証の作業が必要となる。Boot Camp側とParallels側で1度づつ認証を行えば、その後再認証は必要ない

BootCamp5

あとはディスクイメージを利用した場合と同様に使用できるが、注意したいのはサスペンドは使わないということ。Boot Camp用ボリュームから起動した仮想マシンをサスペンドさせようとすると警告ダイアログが現われる。データを失う危険があるため、サスペンドさせずにシステム終了しよう

なお、マイクロソフトカスタマーインフォメーションセンターに確認したところ、Windowsのライセンスは、「インストールされたWindowsのコピーの数」だけ必要になるとのこと。つまり、Boot Camp用ボリュームにあるWindowsをParallelsで併用する場合はライセンスは1つでいいということだ。

一方、Boot Camp用パーティションとParallels用ディスクイメージの両方にそれぞれWindowsをインストールする場合は2つのライセンスが必要になる。


(次ページに続く)

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