Android ケータイ 特集・連載

【夏野 剛のモバイル業界への提言-第2回-】

どうなる? モバイル業界の勢力図(2011年10月掲載)

文●小林 誠

2011年10月03日 12時30分

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10年後に生き残れるか?
モバイル業界は統合が必要

 先日、ネット業界の雄であるGoogleが、世界の有力携帯電話メーカーであるモトローラ・モビリティを、総額125億ドルで買収して大きな話題になった。これは、インターネット事業を核とした新興勢力(=Google)が、旧勢力(=携帯電話メーカーやキャリア)を牽制する意味も込めた買収戦略といえる。もしGoogleがモトローラ・モビリティを買収しなければ、旧勢力のなかから同社買収の動きがあったはずだ。スマートフォンの普及が全世界的に急激に進むなか、効率的な経営を目指して今後も業界再編の動きはますます加速してくるだろう。

 一方、そうした再編がうまくいっていないのが日本の大企業だ。たとえば炊飯器メーカー業界の現状を見てみると、東芝、日立、パナソニック、三洋、シャープといった大手電機メーカーに加え、専業の象印やタイガーなど、買えば10年くらいは使える〝炊飯器〞にあまりにもメーカーが参入し、乱立したままである。これは、国内大手企業が「事業部制」になっているからこそ起こる事象だといえよう。大企業の大半は「アンブレラ経営」、いわば傘の下にいくつもの事業部がぶら下がっている状態で、各事業部は自分の事業の存続だけを考え、会社全体のことを考えない。逆に「傘」の頂点にいる経営者は、どこかの事業部がうまくいかなくても、ほかの事業部がうまくいっていれば良しとしてしまう。これでは、環境が大きく変化したときに、技術も人も分散したままの「事業部制」では大局的な視点からの決断ができず、スピード感を持って対応できないのは明らかである。業界再編の統廃合など、望むべくもない。

携帯電話メーカーは効率的な
統合でグローバル市場を目指せ

 そんな中、ソニー・東芝・日立が中小型液晶事業を統合し「ジャパンディスプレイ」を設立したというニュースがあった。これは産業革新機構と経産省が主導しておこなった業界再編だが、私は日本の携帯電話メーカーも自ら率先してこのような大連合をしていくべきだと思う。今はキャリア向けに端末を作っていればとりあえず商売はできるが、現状のままでは10年先まで生き残れないだろう。

 ここ数年、確かに国内の携帯電話メーカーは再編を繰り返してはいる。しかし今の合併では、今後の発展はあまり期待できない。かたやドコモ向け、かたやau向けがメインのメーカー同士が合併してもあまり効果はないだろうし、どちらの企業も雇用を守るためだけの雇用を続けている限り、効率的な削減ができるはずがない。今後はもっと大胆で効率的な統廃合を行い、グローバル市場においてスケールの大きな事業展開を視野に入れた活動をしていくべきだ。

 たとえば、ソニー・エリクソンやサムスンは、まずベースとなるプラットフォームを作り、各国のニーズにあわせてカスタマイズを行い端末を提供している。このように世界に向けて資源を効率的に使い端末を開発しているメーカーがある一方、日本の携帯電話メーカーは国内だけに向けた端末を開発し続けている。これでは生き残れない。内向きではダメなのだ。

 Androidという世界共通で使える汎用OSのおかげで、以前に比べグローバル展開は確実に楽になっている。ソニー・エリクソンやサムスンは、現にそれを実践している。日本メーカーにも、グローバル展開はできるはず。ソフト面では、DeNAやGREEが企業買収や提携を足がかりに世界進出を積極的に進めている。メーカーだけが遅れているのだ。モトローラ・モビリティの買収を1兆円近い金額で行ったGoogleのような大きな決断が、携帯電話メーカーに求められている。

夏野 剛

※この記事は「mobileASCII vol.6」の再掲載です。

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