ちょうど1年前、東京からカリフォルニア州バークレーに移り住むときのことです。32年間東京で暮らしてきた筆者は、違う街に引っ越すこと自体が初めて。しかもその行き先が海外と言うことで、都内で引っ越すのとは違う荷造りへのプレッシャーを感じていました。船便ということもあって費用もかかるため、夫婦で話し合った結果、2人分の荷物があるにも関わらず、「海外単身引っ越しパック」に済ませようという話になりました。
東京の部屋にもIKEAの安くて大きな本棚がいくつかあり、そこには本やCD、DVDが詰まっていました。また42型の薄型テレビとこれに直接接続して番組録画ができるHDD、DVDプレイヤーなどもありましたが、なにしろ「海外単身引っ越しパック」です。ここに書いたものはすべて友人に譲ったり、ブックオフに回収しに来てもらったりして、持って行くのを諦めました。
海外への引越で手離さずに済んだのは音楽だけ
その中ではCDが一番単純明快でした。iPod以来、買ったCDをMacに取り込んで聞いていたため、持っているCDすべてを聞ける状態で米国に持ってくることができました。ジャケ買いなんかも好きだったので、本当は手元にとっておきたかったのですが……。一部はiTunesから購入しているため、もしデバイス上で消してしまっても再ダウンロードは可能です。iTunes 11からは、購入済の曲もライブラリから見られるようになり、その便利さが増しています。
同じ光ディスクであるDVDはあきらめが早かったです。PCなどに取り込むことは認められていませんし、たとえ法的にOKであったとしても、大容量のデータを保存するHDDを買ってくるのも大変です。大好きなミュージシャンのライブDVDはファン仲間の友人に預かってもらって、他の映画やドラマなどのDVDはブックオフ行きでした。
一番困ったのは本でした。CD、DVDと比べて、メディアそのものが大きくかさばり、デジタル化もCDほど手軽ではありません。大学や大学院の時に読んだお気に入りの本など、一部は段ボールの貴重なスペースを確保して持ってきましたが、こちらは少し後ろ髪を引かれながらも、処分することにしました。
こうして考えると、持って行く荷物を限りなく制限した状態での海外引っ越しだったので、うまく持ち運べたのは音楽だけでした。しかしこれは筆者の体験として、iPodをきっかけとした2001年から10年以上の長い移行期間があったことがポイントだったと考えられます。