アップルの「iCloud」が始まり、スマートフォンからも手軽に利用できるクラウドサービスにさらに注目が集まっている。とはいえiCloudは基本的にiPhone向けのサービス。Windows Phone向けには同じマイクロソフトの「SkyDrive」もあり、Android端末では利用できる機能は限定的。そこでOSを選ばずに利用できて、しかも人気が高い「Dropbox」も加え、最も頻繁に利用するであろう“ファイルのやり取り”について、3つのサービスを比較した。
意外と違いの大きい3つのサービス
比較したのは「iCloud」(iPhone 4でテスト)、「SkyDrive」(Windows Phone IS12Tでテスト)、「Dropbox」(auのAQUOS PHONE IS11SHでテスト)。まずそれぞれの料金、記憶容量を確認してみよう。
iCloud | SkyDrive | Dropbox | |
---|---|---|---|
無料時の容量 | 5GB | 25GB | 2GB~ |
有料時の容量 | 10GB(年1700円)/20GB(年3400円)/50GB(年8500円) | 無料サービスのみ | 50GB(月9.99ドル)/100GB(月19.99ドル) |
3つのサービスとも基本的には無料で使えるが、無料時のストレージ容量を見てみると、SkyDriveがもっとも大きい。一方で有料サービスを考慮すると、残りの2サービスもそれ以上の容量が使える。iCloudは年額なので、パッと見ではわかりにくいが、50GBでも月額では700円ほどだからDropboxとほぼ同じだ。一方Dropboxは100GB版もあるので大容量を求めるならこれだろう。
さて、次は実際にファイルのやり取りをしてみるとどうだろうか。ここからはWindows PCを使ってアップロードしたファイルをスマートフォン側から見る操作をしたあとで、スマートフォンからファイルをアップロードしてみた。
今回アップロードしたファイルは「.doc」「.xls」「.ppt」「.pdf」「.jpg」「.mpe」など。フォルダーごとのほか、フォルダーを丸ごとZIPに圧縮したものもアップロードした。
ファイルの共有という観点からは
意外と制約が多い「iCloud」
iCloudをWindows PCから使う場合、iCloudコントロールパネルというソフトをアップルのページからインストールする。ちょっと手間だし、ついでにWindows XPにも非対応である。
ファイルをアップロードする場合はウェブブラウザーで「iCloud.com」へ接続し、「iWork」からファイルをアップロードする。ただこのときWordファイルは「Pages」、Excelファイルは「Numbers」、PowerPointのファイルは「Keynote」からそれぞれアップロードする形になり、フォルダー丸ごとアップロードするような操作はできない。もちろんファイル形式が違うため圧縮したZIPファイルなどもダメだ。PDFや音楽ファイルも同様だが、これらはiTunesを使ってiPhoneに送るのがいいだろう。操作自体はドラッグ&ドロップでファイルをアップロードできるので簡単だ。
もうひとつ画像ファイルのアップロードだが、Windows PCからは、iCloudコントロールパネルであらかじめ指定したフォルダーに写真をコピーすることでアップロードする。MacならそもそもiPhotoを使うのでより簡単なのだが。
さてiCloudでアップロードしたファイルは、iPhoneの「Pages」「Numbers」「Keynote」といった各アプリで見られる。ただこれらのアプリ、すべて有料(各850円)なのだ。もちろんこれらの個別のアプリは有用な機能を持っており、PC向けのさまざまなオフィスソフトと比較すれば圧倒的安いのだが、ファイルを見たいだけなのならばちょっと惜しい。Wordのフォントなどは少し変更される部分はあるが、実用上それほど気になるわけではない。
写真はiPhone上の「ギャラリー」に「フォトストリーム」というアルバムが追加されるので、ここで写真を見ることができる。
逆にiPhone端末からはアプリレベルでiCloudに対応しており、「Pages」「Numbers」「Keynote」で作ったファイルはWord、Excel、Power Point、PDFといった形式でダウンロードできる。また写真は設定でフォトストリーム機能をオンにしていれば、端末を無線LANで接続した際に自動的にアップロードできる。